養子をむかえる場合

実際に血のつなかりはないが、法律上親子関係が認められる制度が養子制度です。戦前の旧民法の時代には、養子は「家を継ぐため」「親のため」あるいは「家名を絶やさないため」の目的で養子は考えられていましたが、現在の民法では「親のない子に親を」という言葉に示されるように「子のため」の養子を認めるようになってきています。
 ただ民法では、未成年の子を養子にする場合には、家庭裁判所の許可を必要とするとし、未成年の子を養子にすることがその子にとって幸せになるかどうかを監督する一方、成年の養子を認め、親のための養子や財産あるいは家名をつぐための養子というものも残しているので、わが国の養子制度は、「子のため」の未成年養子と、それほど厳格なものを必要としない成年の養子の二本建てということができます。
 養子縁組みは、養親および養子になろうとする者か縁組みの合意をし、これを届け出ることによって成立します。成年に達した者は誰でも養親になることができ、また一五歳以上の者は自分の意思で養子縁組みをすることができます。しかし、一五歳未満の者が養子となる場合には、法定代理人(親権者、後見者、児童福祉施設に子どもが入ってるときはそこの所長)が子に代わって縁組みの承諾をすることになります。もちろん、親の承諾が得られない場合には縁組みを結ぶことはできませんし、また、その場合に必要な家庭裁判所の許可が得られない場合も同様です。
 縁組みの届出が受理されるためにはつぎに述べる要件を満たしていることが必要です。
 (1) 養子が自分の尊属(父母、祖父母、おじ、おばなど)あるいは年長者でないこと。自分と同じ年令の者を養子にすることはできますが、たとえ年下でもおじやおばなどの尊属は養子にできません。
 (2) 後見人が被後見人を養子にする場合には、家庭裁判所の許可が必要です。
 (3) 配偶者のある者が養子となる場合も、あるいは配偶者のある者が養子を迎える場合も、夫婦一緒に養子縁組みをしなければなりません。
 ただし、夫婦の一方が、他の一方のいわゆる連れ子を養子にする場合には夫婦共同でする必要はありません。養子縁組み後に養子あるいは養親が結婚する場合には、改めてその人と養子縁組みをしなければ、養親、養子という関係は生じません。その場合には、一般の結婚の場合と同様、一親等の姻族関係(義理の父、子という関係)になるにすぎません。
 (4) 未成年の子を養子とするには家庭裁判所の許可が必要です。許可するかどうかは、未成年者の幸福ということに重点をおいて判断され、養親側の家名や財産をついでもらうため、あるいは越境入学のための縁組みは許可されません。

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養子は、養子縁組届出が受け付けられた日から、養親の嫡出子となります。すなわち、血のつながりはなくても、法律上の親子という関係が発生します。したがって、実の親子と同じように、互いに扶養の義務を負ったり、養子は相続の権利を有したり、養親は親権を行使したり、また人身事故にあった場合には、被害者の親または子として、相手方に対して慰謝料の請求かできるなどの関係が生じます。
 また養子は、養親の氏を名のり、養親の戸籍に入りますが、実の親との関係が全く絶たれるわけではなく、相続や扶養については、実親との親子関係は存続するとされています。
 ですから、養子は、相続については実父母と養父母より相続できるし、また扶養については、実父母と養父母に対し扶養義務を負うことになります。
 たとえば本人の知らないうちに養子縁組届が出されたという場合、それか受け付けられ戸籍上その旨の表示がされても、当事者間に養子縁組みをする意思がなかったときは、その縁組みは無効になり、縁組みの効力のないものとして扱われます。
 判例により無効とされたものとして「方便のための縁組み」があります。
 A女が結婚の相手方の家格に釣り合わせる目的で、B・C夫婦の娘分(年令差はBと八歳、Cと四歳)として嫁入りすることとし、B、Cか仮親となって挙式・披露を行なった後、正式に養子縁組届をし、ついで婚姻届がされました。ところが後になって、Cの遺産を相続した実子に対して、Aが養子として自分の相続分を争った事件があります。大審院はAかB・Cを兄・姉とよんでいた点、通常の親子間の情愛ないし行動がなかった点を重視して、養子縁組みは「形式上婚家(稼ぎ先)に対して女性の実家をして家格あらしめんとする手段たるに止まり、当事者間に真に養子縁組みを生ぜしめる意思なし」として、無効であると判断しました。
 その他、縁組意思を欠き無効とした判例として、庶子(認知は受けたか嫡出でない子)を戸籍から除去する目的でなされた縁組み、高校への進学率の高い中学へ入れたいが学区割があるため入学できないので、これを潜脱するためになされた養子縁組みなどがあります。
 また、生まれたばかりの子を養子とする場合、養子として届けず、実子として届けるということは、世間にありがちなことです。また実際上、実子として届けたほうか親子関係がうまくいくという例もあります。
 しかし、その後に実子か生まれたとか、あるいは一緒に生活をしているうちに親子間の折合がうまくいかなくなった場合に、この子を追い出す目的で、実子として出した届出は虚偽のものであり、親子関係は存在しないという訴え(親子関係不存在確認の訴)がされるケースが出てきました。このように戸籍上は実子という概観を作り、後に「生さぬ仲」であることを子に知らせないようにしたいという配慮からされた嫡出子出生届に養子縁組みとしての効力かあるか、です。
 最高裁は、たとえ養子をする意図で他人の子を自己の嫡出子として届けても、それによって養子縁組みは成立せず、成立するためには、その手続きを踏むことが必要であるとして、養子縁組みの効力を認めない判断をしています。
 しかし、学者の多くは、この最高裁の判断に批判的で、虚偽の出生届をする際には、少なくとも養子縁組みとする意思はあったのだから、出生届に縁組の効力を認めればよいと主張しています。また、この批判を認める下級審の判決も最近出されている一方、最高裁の判断を支持する判決もあり、新しい最高裁の判断を待たれていましたが、昭和五〇年四月八日に、後者の大阪高裁の事件について、養子縁組みの効力を認めないというこれまで通りの判決が出されました。

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