子どもが生まれた場合

民法一条の三では「私権の享有は出生に始まる」と規定しています。すなわち、人は、誰でも生まれたときから権利者となれる旨を定めたものです。このように、出生したときから、人としていろいろな法律関係にかかわってくるわけですが、ここでは、まず生まれてきた赤ちゃんに、親として何をしてあげなければならないかをみていきましょう。
 まず、子どもが生まれたときは、一四日以内に生まれた場所の市区町村長に出生届をしなければなりません。
 嫡出子の場合の届出義務者は原則として父または母です。子どもの出生前に父母が離婚をした場合には、母が届出をすることになっています。
 また、父母が共に届出をすることができないときには、第一に同居者、第二に出産に立ち会った医師あるいは助産婦またはその他の者が届出人となります。
 ここでいう届出義務者というのは、実際に届書を役場へ持参するという意味ではありません。持参するのは代わりの者でもよいのです。その際に、添付書類として出産証明書が必要です。出生届は本籍地へ届ける場合は一通、その他の場合には二通が必要です。
 しかし、この届出をする前にすることがあります。すなわち、名前をつけることです。名前をつけなければ出生届はできません。
 ところで、出生した子どもに名前をつける権利(命名権)が誰にあるかについて争いがあります。それは、親としての固有の権利であり、親権の有無とは関係かないとする説、親権から派生する一つの権利であり、親権についての考え方がそのままあてはまるとする説、被命名者である子自身の権利であり、その父母または養育者が慣行上これを代行するにすぎないとする説があります。いずれにしろ、命名は子の幸福を考えてなされるべきことについては異論がありません。

スポンサーリンク

名前は原則として自由につけられることになっています。しかし、親の趣味によりかわった名前をつけると、将来、子どもが一生いろいろと困ることが起こるかもしれません。
 また、名前にあまり難解、難読な文字を用いると、将来、自他共に迷惑するでしょうから、平易な文字を用いなければならないことになっています。子の名に使える文字は当用漢字、人名用漢字別表、片かな、平かなのなかから選ぶことになっており、この範囲外の文字を子の名に用いた出生届は、受理してはならないことになっています。だからといって公序良俗に反するような名前や、不当に長い名前、ローマ字などの外国文字、同じ戸籍内の同じ名前をつけることは音訓をかえても許されません。
 出生届が出され、これが受理されると、その子どもは父母の戸籍へ記載されることになります。父母の戸籍へ入る子は、正式の結婚届を出した夫婦の間に生まれた子だけです。
 戸籍へ記載されることと、生まれた子どもの権利関係とは、直接には何の関係もありません。たとえば、出生届を出す前に、その子の父が死亡したという場合、その子が戸籍へ記載されていなくとも、自分の身分を証拠などにより証明できれば相続人となり相続権を主張できることに変わりありません。
 ただ、戸籍へ記載してあれば、戸籍にはいちおうの推定力かありますので、これによって嫡出子であることを証明できるわけです。
 また、戸籍へ記載されたからといって何ら新しい権利関係がつくり出されるわけではありません。たとえば、自分たち夫婦の間に生まれた子を、第三者の子として届出ても、法律上、その子が第三者の子となるわけではなく、戸籍の記載は、これと利害関係にある者が家庭裁判所の許可を得て、戸籍の訂正をすることができるのです。
 では、その場合の具体的方法ですが、まず戸籍上の父母との間に親子関係がないことの確認を求める調停を家庭裁判所に申し立てることです。この段階で合意が成立し、間違いないと認められると、家庭裁判所は「当事借間に親子関係か存在しないことを確認する」という審判をします。この審判に対し、二週間内に異議の申立てがなければ、確定判決と同一の効力を持つことになります。
 これに反し、当事者間で争いがあり合意が成立しない場合には、地方裁判所に同様の訴訟を起こし、その旨の判決を得なければなりません。
 審判、または判決を得たときは、確定してから一ヵ月以内にその謄本を添えて、本籍地または所在地の市区町村役場に戸籍訂正の申請をし、不実の親子関係の記載を抹消してもらうことになります。その上で、改めて真実の出生届を出してもらえば、戸籍と真実が一致することになります。

親が子供を養育する場合、育てていく義務がある/ 教育を受けさせる場合/ 養育するのが困難な場合/ 子供が連れ去られた場合、引渡請求権を行使する/ 養子をむかえる場合/ 子どもが生まれた場合/ 胎児と子どもの権利/ 結婚前に生まれた場合/ 結婚外で生まれた場合/

       copyrght(c).子育てと育児.all rights reserved

スポンサーリンク