知能の高い子供と創造的な子供

創造的な子供と知能の高い子供とには、どのような違いがあるでしょうか。創造性テストの成績と知能テストの成績とは、ほとんど無関係でした。そこで、創造性テストの成績が高い子どもと低い子どもに二等分し、知能テストの成績についても同じように二等分すると、結局、次のようなほぼ等しい人数の四つのグループに分けることができます。
第一の群は、創造性も高く知能も高い者、第二群は、創造性は高いが知能は低い者、第三群は、創造性は低いが知能は高い者、第四群は、創造性も知能もともに低い者です。
これら各群の子供について、どんな点に違いがあるかをくわしく検討してみたのです。例えば、学校生活ではどのようにふるまっているか、ものごとに対する感受性はどうか、概念形成の能力とかそのありかた、不安が高いかそれとも弱いか、内的な不安にどのように対処しようとしているか等々です。その結果、これら四郡の子供たちの性格の特徴はおおまかに次のようであることがわかりました。

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まず、高創造性、高知能群ですが、これらの子どもたちは、一ロにいって、たいへん成熟した安定性の高い性格の持主でした。彼らは、必要に応じて、リーダーの役割を果たすこともできれば、服従者の地位にたつこともできました。怒るべき場面では怒り、怒りの許されない状況では我慢することもできました。遊びやスポーツなどのなかでは、子供らしくのびのびとふるまうけれども、授業その他の真剣な場面では、落ち着いて静かに考え深く行動しました。彼らのふるまいは、いかにも自由自在であり、状況にふさわしいものであったわけです。
高創造性、低知能群はどうでしょうか。彼らは、自分白身にも、学校という環境にも、常に反完と不満を感じ、いらいらと落ちつかないところがありました。不安定度が高く、自信がないために、成績が問題とされたり競争しなければならない場面では、持っている能力を十分に発揮することができないのです。しかし、テスト時間その他の制限がなく自由に考えてよいときには、一番良い面をたすことができました。コーガンらの創造性テストは、通常のテストと違って、競争的雰囲気や時間判限を除いて、自由に、またできるまで考えさせる、という条件で行なわれています。
一方、低創造性、高知能群には、次のような特徽がみられました。これらの子供は、学校の成績を何よりもまずいちばん気にするタイプです。成績が悪くて叱られることに強い恐れの気持をもち、そのために一生懸命勉強をします。悪くいえば、ガリガリの点取生ですが、むしろ、いじらしいほどテストのことが気になってたまらない子供といったほうがよいかもしれません。
最後の、創造性も知能もともに低い子供は、たいへん不安定な性格の持主でした。彼らは、何ごとにも受身で積極性を欠き、外的な強制がなければ動こうとはしません。また、心理的な不安やショックがもとになっていろいろな身体的病気をおこすこと多いのです。このように、不適応な面が目立つといいます。
以上の各タイプの特徴は、それぞれに興味深いし、日常うなずける点も多いように思われます。例えば、創造性は低いが知能テストの成績だけは良い子供の記述は、いかにもいわゆるテスト型の人間を思いださせるではありませんか。また、反対に、創造性は高くて知能テスト得点の低い型の子供は、私たちのまわりにもたくさんいるのでしようが、たぶん彼らは、学校ではあまり評刊がよくないことでしょう。落着きがないとか、やらせればでぎるのに努力しないとか、ムラが目立つとか、このような評語を与えられているにちがいありません。
学校では、なんといっても堅実によく勉強しよく覚えることがまず奨励されがちです。こういう受験競争の時代には、これもやむをえないことかもしれません。しかし、それを口実にして、私たちは、ひょっとすると大事な才能の芽を見落としているかもしれません。学校だけではなく、自分の子供についてたって、とんでもない見当ちがいを犯していないのかどうか、よくよく考え直してみる必要があるでしょう。
この子供たちは、窮屈な制約のない事態では、のびのびと才能を発揮できたことを、忘れてはなりません。テストの成績をどうこういうまえに、この子供の本当に優れたところ、逆に欠けているところ、それは何かを考えてみようではありませんか。

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