優秀児教育

知能指数は、数量的に測定されます。数は連続的なものですから、どこまでが普通児で、どこからが優秀児であるかということは、必ずしもはっきりしません。そのうえ、いま多く使用されているビネー方式の知能検査法は、現在判明している人間の知能因子の三分の一しか測定できないし、測定される知能もかたよっているので、図形や記号で考えるのに得意な子供や創造性の豊かな子供は指数に現われてこない、という欠陥を持っています。ですから極端にいえば、知能指数の高い子供でも、測定されていない知能の領域では劣っているかもしれないし、その反対に、知能の低い子供でも、測定されていない分野では優れているかもしれないのです。ですから、現在のビネー方式の知能指数だけを標準にして、いくつまでが普通児であり、いくつからが優秀児ということは決められません。
そこでここでは、このビネー方式の欠陥を是正し、図形、記号で考える問題、創造性につながる問題も含み、現在わかっている知能因子のでぎるだけ多くを取り上げた英研式知能検査法によって測定された指数一四〇以上を、優秀児と名づけることにしました。これに対しては、それでは知的優秀児であって、性格上はどうか、体育の方はどうか、という人もありましょうが、今までの外国のデータや英才教育研究所の実践研究から、一四〇以上の子供は、情緒も安定しているし、身体の発達もいいということで、この基準にしたのです。

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日本の学校では、暦年齢の同じ子供を集めて何十人かの学級を作り、そこで同一の教育を施しています。暦年齢が同じだといっても、そこにはたいへんな能力差があります。同じ七歳でも、指数が八〇から一四〇にわたっていたとしますと、知能年齢では五歳七ヵ月から九歳一〇ヵ月の子供がいることになって、四歳以上の開きがあることになります。学級ではこれをいっしょに教えているのですから、どうしても無理がでます。教師は、どうしても、学級の平均を対象として学習を進めますから、知能の低い子供は追いつけませんし、知能の高い子供は退屈するのです。現に、聖徳学園小学校「はつかり」組(平均知能指敬一五〇・八)は優秀児ばかりですが、その中には、幼稚園時代に幼稚園へ行かなかった子供、通園を嫌がった子供が多くいますし、幼稚園で困って相談を受けその原因がわかって入学した子供もいるのです。この組は普通の小学校の三、四年生に当たりますが、東京大学入試における数学の図形の課題を楽々と解く子供いるのです。
ところで、知能の低い子供のためには十分とはいえなくても特別な低段が講ぜられていますが、優秀児のためにはなんらの処置も行なわれていないのが現状です。どの幼稚園、学校にも指数一四〇以上の優秀児はいるはずですが、これらの子供も、低い知的環境の中では、当然伸びるものも伸びません。中には、環境不適応のために問題児になる場合すらあります。ですから、優秀児をどう教育するかは、現在の幼稚園、学校の大きな課題の一つになります。
ある幼稚園での英研式知能検査の結果をみますと、年少組は、知能指数が最低八九から最高一四五までにわたって散在しています。ところが年長組は、最低一〇三から最高一三〇となり、ぐっと集中しています。一年間の幼稚園の教育によって、低い方は高くなったが、高い方もいなくなったのです。平均化されたのです。低い方はいいが高い方はどうなったのでしょう。このあたりに一つの問題があるのです。
幼稚園は幼稚園教育要領、小学校は小学校学習指導要領によって子供たちの指導を行なうのが普通です。教科書もこれに準処して作られています。しかし、優秀児にこれに即した授業をすると退屈してしまいます。そこでどんどん先に進め、一年には三年生のものを、二年には四年生のものを与えていくのも、一つの方法でしょう。現に外国でやっている特別コースもこのやり方です。しかし、小学校は六ヵ年いなければならないという現行の教育制度からすると、現実性がなく、問題点も多くでてきましょう。
そればかりか、もっと根本的な問題があります。学習指導要領に示された内容、具体的には実際の授業に、知能の働きからいうと偏っていることかあるのです。それは、極端にいって、認知力、記憶力に関する授業がほとんどを占めているということです。
幼稚園でも小学校でもその授業をみますと、覚えましたか、わかりましたかという記憶、認知の授業が主体となっています。拡散思考や集中思考を必要とするような課題は、きわめて少ないのです。
したがって、原理や原則も、教え込み、憶え込ませるのではなく、発見させるように指導の重点を考案すべきです。
英才教育研究所の教室では、九〇の知能因子をとりあげ、その一つ一つの因子に刺激を与えるような課題を考案し、優秀児の教育をしています。具体的には、ある刺激を与える場合、一因子について五〜六段階のカリキュラムを組んでいます。例えば、図形による分類を認知するという因子に対しては、三歳=三角形遊び、四歳児=はっぱ遊び、五歳児=英研サイコロ、六、七歳児=立体図形遊び、八、九歳以上児=同一の面積さがしというように、子供が知的興味を持ち、それが後の学習に役立つものを考案して与えるのです。
一週間に一因子ですから、九〇因子一巡するには二年かかります。幼稚園や小学校で刺激されない知能因子に刺激を与え、知的要求を満足させていくのです。このような刺激に意欲や興味が伴ってはじめて、自主学習に発展していくのです。
家庭教育をみますと、過保護、干渉 過多でセカセカした教育ママには優秀児は生まれません。教育ママは、覚えること、理解させることにだけしか目をくばらないからです。優秀児を持つ母親は、子供が何に興味を持っているかを発見し、発見できれば徹底的に一つのテーマに集中させ、できるだけ子供を一人にしておき、干渉をさけます。そして、子供と対話を通して対等につきあい、子供が創造的思考をした場合、純粋に喜んでやり、教えるというより考えさせることを重点にし、ごまかさないで真理を相互に探究することが、優秀児を育てるのです。

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