幼稚園ぎらい
今年、幼稚園に子供を入れましたが、男の子ひとりで甘やかして育てたせいか、内弁慶で外では弱いのです。お友だちにいじめられたせいかどうか、一月ばかりし
てから幼稚園にいかないとぐずり始めて、てこでも動かず困っています。どうしたらよいのでしょうか
幼稚園ぎらいは、どの子にも多少ともみられるといってよい。入園したては、新しい場所や友だちへの魅力もあり、幼稚園生になったという幼いプライドも手伝って比較的元気に通うのですが、一ヵ月ばかりだつとぐずり始める子供がでてきます。
これは、幼稚園に慣れて当初の魅力が薄らぐ反面、朝早く起こされるなど生活習慣の規律化が重荷になって、生じてくるのであろう。一ふ月日くらいの軽い幼稚園ぎらいは、むしろあたりまえであり、ほっておいてもそのうちには収まっていくものです。
ところが、なかには、幼稚園ぎらいが慢性化して、何か月たってもぐずり、泣き叫び、反抗を止めない子供がいます。毎朝毎日、同じ騒ぎをくり返し、親のほうもすっかり疲れ果てるという例が珍しくありません。
この原因には、大別して、子供あるいは家庭の側の条件と、幼稚園側の条件との二つがあります。そうして、多くは、この二条件が重なりあってますます幼稚園ぎらいを強めていると考えられます。
子供の側の条件とは、一口にいって、社会的適応性の乏しさです。ひとりっ子で甘やかされて育ち、家のなかでは何でも自分の意志が通る、反面、依存的で内気、外ではろくにものもいえない。そのため、同年輩の仲間ができないとか、遊んだ経験がほとんどないとかいう子供は、平等な仲間つきあいができず幼稚園ぎらいになりやすい。
もう一つ、こういう子供の場合、母親も神経質で心配性であり、知らず知らず過保護に傾いていることが多い。ところが、反面、子供を甘やかしすぎているのではないかという迷いも大きいため、特定の場合にだけ過度に厳しくしてしまうことがあります。一度ぐずるのを受けいれたら、もう幼稚園にいかせることができなくなりはしないかと心配し、叱ったりなだめすかしたりして何としてでも幼稚園に行かせようと努めるのです。こういう片手落ちが幼稚園ぎらいになお拍車をかけるようです。
一方、子供の数が多すぎて、一人一人にまで先生の目がいき届かない幼稚園では、このような子供の不適応性はますますひどくなります。集団の規律のかかに入れない子供は、しぜん放任されがちだからです。また、稀ではありますが、先生と子供の相性が悪くて、幼稚園ではなお尻ごみがひどくなるという例もみうけられます。
対策としては、まず幼稚園とよく連絡して、何か主な原因になっているかをしっかりみきわめねばなりません。園ではひとりポツンとして、いつも指をくわえているようなら、先生に頼んで指導に気をつけてもらうとか、リーダーシップのある友だちをみつけて、その手引で仲間に入れてもらうなど適応性の乏しさを袖うような方策をとってみるとよい。
また、園では規律や指導によく従い、一見何の障害もないようにみえることもあります。こういうときは、むしろ、母子関係そのもののなかに問題が潜んでいるようです。
いずれにしても、躾の態勢全般について反省の余地がないかどうか考えてみる必要があります。そのうえで、あまりひどくてどうしても収まらないようなら、思い切って休ませてみるのも一策です。親もゆとりをとり返し子供も自発的に通うようになったという例は、案外少なくないのです。
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