躾と発達段階

 教育や躾には、大人が自分の理想で枠組を作り、子どもに強制的に押しつけようとする一面があります。
 しかし、いくら枠に組み入れようとしても、それが子どもの発達からみて無理な場合は、躾は身につきません。
 そこで、考えたいのが発達段階と発達課題です。
 発達段階とは、普通、発達は連続した一つの流れになっていますが、よくみると、その流れの中でも他と区別できるほどはっきりした特徴のある時期、特定の面が際立って伸びる時期があることに気づきます。
 そこで、指導や研究の便宜上、特徴のある時期に区切りをつけて、それを発達段階と呼んでいます。大まかには、乳児期、または乳幼児期、幼児期、児童期、青年期、成人期などと区分しています。
 発達課題とは、子どもはこの発達段階の一つ一つを登って成長していきますが、成長のためには、それぞれの発達の段階で、新しい課題をこなし、次の段階を登る準備をする必要があります。この、それぞれの段階で身につける課題のことを、発達課題と呼んでいるのです。
 ところで、この課題については、およそ次の二つの面から考えてみる必要があります。
 一つは、子どもの発達の状態、子どもの意欲、他の一つは、社会の期待や要求で、その二つがうまくかみ合ったとき、躾が効果的にいくと言われています。
 むろん、二つのうちでは、子どもの発達が最重要で、ある課題を身につけさせるには、最も感度がよく効果のあがる適熟期(適期)を選ぶことが大切です。
 このことは、躾られる子どもの側からみても、躾る大人の側から言っても、最も苦労少なくして効果のあがる方法です。

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 目の前の子どもにとって、どんな課題が適期かを選ぶのは、正直いって、親には気の重い仕事でしょう。そこで、一般に言われている 発達課題を利用するのが一つの手。それには、親が多少学習する必要はありますが、もう一つは、子どもをよく見ること。いまどんなことに興味があり、何に熱中しているか、よろこんでやってくれる仕事は何かなど、日常生活での変化や特徴をつかんで、それと共通性のあるものを課題に選んでみるのです。
 ちなみに、幼児の発達課題として、普通、次のようなものが考えられています。

 (1) 体の健康と身のこなし
 (2) 基本的な生活習慣
 (3) 言葉や数の基礎となる学習
 (4) 身近な環境の理解
 (5) 身近な人との情緒的な交流
 (6) 友だちづき合いや遊びの基礎
 (7) 男女の区別や性的なつつしみ
 (8) 善悪の基礎

 また、小学生の発達課題としては、次のものが考えられています。

 (1) 運動に必要な技能
 (2) 健全な生活習慣
 (3) 友だちづきあいの技能
 (4) 家庭における役割学習
 (5) 近隣の社会生活に必要な知識と技能
 (6) 読み、書き、計算の基礎的技能
 (7) 価値判断や良心の基礎
 (8) 自立、独立の意識と技能の基礎

 そこで、躾もこの発達課題と関逓づけて考えてみるのがいいでしょう。
 ここで、くれぐれも注意してほしいことは、発達から見て、早過ぎるしつけを無理強いしないことです。日本の母親は、とかく、早教育に走りがちで、近所の同年の子どもと比べて、競争させたりあせったりします。
 でも、しかったり、強制したりの躾は、子どもをいやな気分にしますから、躾の歩留りが悪くて長持ちしません。子どもの個人差に合わせて考えてください。
 遂に、甘やかしたりのんびりしたりで、躾の適期を逃してしまうのも困ったことです。手遅れの幼稚な課題を青年期になって躾けうとしても、子どもテレて乗ってきませんが、親にとっても気乗りのしない仕事のようです。
 そして、ある段階のブランクは、単にその時期に実りがなかったというだけでなく、次の段階のつまずきの原因になると言われています。その子どもなりに、それぞれの段階を充実させて、一段一段成長していくことが大切です。
 発達段階を考えに入れることのメリットは、躾が先走らないこと、手遅れにならないこと、見落としのないことですが、といって、ただ、標準的、機械的に躾ればいいという意味ではありません。
 何しろ、ひとりひとりの子どもの発達は、それぞれ異なっているうえに、発達の仕方もジグザグで、伸びる時もあれば、休んでいる時もあり、時には後退もあって、まさに乱調です。
 親はいちいちいら立たないように、ゆったり見ている姿勢が必要です。長い目で見れば、すべての子どもが確実に伸びていくのですから。
 また、反抗期のように、ある発達段階で起きる特殊な問題も、一見、躾のじやまになるように思われますが、子どもがそれを乗り越えることにより、内面的にも対外的にも、一段と成長し自主独立の能力を高めていくのです。

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