家庭の躾・学校の躾

 躾にはは家庭でした方が効果のあがるものと、学校でした方が効果のあがるものとがあります。むろん、両方共通して躾た方がより効果のあがるものもあります。
 しかし、日本の教育は、知育偏重、成績重視の傾向が非常に強く、なかでも受験勉強などは異常とも言える過熱状態でしたから、自然、学校教育は教科中心、成績尊重に傾き、躾が手薄になったと思われるところがありました。
 むろん、そうなったのは学校の責任ですが、しかし、その背後には、知育偏重を要請した家庭や社会の姿勢が大きく係っているものと思われます。
 しかし、最近、特に激しくなった子どもの問題に対応するために、どの学校も目下、反省期に入った様子です。おそらく躾についても、再認識されていることと思います。
 なかでも、これからお子さんが入学される小学校には、躾を重視してきた伝統もあり、また、中学、高校と比べて、教科学習の量も少なく、生活指導や躾にかなりの比重をかけていいはずです。
 また、学校教育には、社会の期待や親の願いを汲みながら進めていく面もありますから、お子さんを入学させてから、析をみて先生とも話し合って、躾の計画を充実してもらうようにお願いしてみるのもいいでしょう。

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 家庭と学校の躾の違いをひとことで言うとしたら、家庭では、子ども個人の躾に重点がおかれるのに比べ、学校は、子どもの集団の躾に 重点がおかれます。
 また、家庭の躾は、幼児期から青年期までの全成長期に係るものですが、学校は、幼・小・中・高のそれぞれ特定の発達段階を扱うという点でも大きく違っています。
 家庭が躾の立役者のように見なされるのも、おそらくこの長期にわたる役割を背負っているからでしょう。
 しかし、どんなに家庭が躾に力を入れたとしても、家庭という場ではできにくい躾がたくさんあります。それが、社会を場とした躾、集団を対象とした躾です。これは学校で荷負っていただきたいものです。
 家庭も最小の社会と言われてきましたが、核家族化の現代では、あまりにも小さな集まりで、もはや、社会の躾、集団の躾はおぼつかないのが実情です。
 そのうえ、血族集団で他人的要素も乏しく、ルールも節度もなしですんでしまう風があります。子どもに気をつかってくれる人ばかりで、遂に子どもが気をつかわなければならない老人や兄弟もいないでは、この種のしつけはどうしても手薄になります。
 でも、学校社会はこれではすまされません。例えば、数に限りのある学校の備品や設備を大勢で使うなら、当然、そこに規則が必要になり、規則違反は許されない。こうして、公共の共有物を扱う躾がされることになります。
 また、家庭は両親二人に子ど、もが一人で、手厚く保護され、世話をやかれますが、学校は先生一人に子どもが四十数人となると、先生を当てにしないで自主的、自律的に行動しなければなりません。
 しかも、子ども間に競争も反発も嫉妬もあって、他人社会はなかなか円滑にはいかない。当然、子どもはそこで、他人との協力、協調の技術も躾られていきます。
 さらに、学校は目的のある集団ですから、その目的に沿った躾、すなわち、学習に係る躾は、学校が主役になりま す。
 学校はこのように集団を対象として、躾や指導をしますが、といって、ひとりひとりの子どもの躾をおざなりにしているわけではありません。ひとりひとりがきちんと躾られていなければ、集団としてのレベルも高くならないからです。いわば、集団の中の個として躾るわけです。ここが、家庭と異なるところです。
 世間には躾は家庭、勉強は学校と割り切った言い方をする人もいるようですが、きっと、親が家庭の躾を放棄して、勉強に目の色を変えている態度をいましめて言った言葉だろうと思います。
 実際には、学校にも家庭にも、それぞれ躾もあれば勉強もあり、その内容も、それぞれれ違っているものもあれば、両者共通のものを重複させていることもあります。
 なぜ、重複させてやるかですが、しつけは機会を逃さないでその場でやるのが効果的ですから、見かけた側でやるのがいいと考えてのことです。また、しつけの筋を通すとか、一貫性を保つとかいう意味でも歩調をそろえるのが効果的です。人としてすべきことは、どこでも同じだと、子どもも納得します。
 例えば、善悪についての躾などは、両方で徹底してやったら、世界の国々の子どもと比べて、見劣りがすると言われる日本の子どもも成長するに違い ありません。
 一方、躾には、学校と家庭で重点のおきどころが違い、子どもが面くらうものもあります。とくに、個人の好みが出る躾にはこれが多いようです。
例えば、うちの食事は、ゆっくりおしゃべりを楽しんでと躾られているのに、学校は、おしゃべりしないで早くと言われる。家庭が団らんにポイントをおくのに比べて、学校は多人数の食事を短時間にかたづけるという点にポイントがおかれているのでしょう。
 そこで、子どもが違いに面くらっていたら、よく学校の状態を聞いて、違いの起こる理由を説明してやり、場所と条件が変われば、しつけの重点のおきどころも変わることを理解させてください。こうして、柔軟な考え方と、より多くの躾を受け入れさせる方が、豊かな成長が望めるからです。
 したがって、学校のやり方と違うからといって、家庭の躾の方針を変更する必要はありません。うちの躾に問題があるなら別ですが。個人の家庭の躾と、集団の学校のしつけは違うのが当たり前で、それぞれの躾を尊重しあいたいものです。それを通して、うちと外の区別や節度をしつけた方がいいではないでしょうか。

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