叱り方について

 子どもが萎縮してしまうほど、興奮して大声で叱るのは考えものですが、といって、平静におだやかに叱るのは、実際問題として大変難しいことだと思います。なにしろ、親は叱るとき、たいてい、子どものしたことに腹をたてているのですから。多少感情的になるのは仕方がないような気がします。
 ただ、次のことは気をつけていただきたい。
 その一つは、どんなにカツとなっていても、何故こんなことをしたのと尋ねて、子どもに話させるゆとりをもつこと。とんでもない取り違いをしないともかぎりませんからです。
 その二は、あまりに興奮してわめきたてると、子どもは恐ろしいとは感じても、なぜしかられているのかが分からなくなってしまいます。これでは本末転倒です。ほどほどが肝心です。
 その三は、ひどく叱られると、子どもは自分がきらわれ、憎まれていると思いやすいことです。「ママは僕が嫌いなんだ。だって、いつもすごくしかるから」というのが子どもの受け取り方。そして、きらわれ、憎まれていると思いこんだら、よくなろうという意欲を失ってしまいます。
 極めてエレガントな叱り方は、子どもを叱る時は、なるべく小さな声で子どもの名前を呼びます。と、子どもがやってきます。なぜ、ママが呼んだか分かるでしょうと問いかけてやれば、たいてい、子どもが問題に気づきます。大声でわめくとき、私はみにくい表情になり、子どもの心を荒してしまうような気がするからですというものです。

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 褒める時と同様に、叱る時もなにを叱られているかはっきり分からせることがポイントで、情理をつくして説明し納得させることが大切です。
 したがって、問題が起こったすぐ後がタイミングとして一番いいのです。例外として、年長の子どもの場合は、場所を変えてゆっくり話し合ってみた方がいいこともあります。
 また、直後ですと、親も興奮していて、どうしても厳しくなりがちですが、それがかえって子どもに事の重大さを感じさせ、緊張させプラスになるのです。叱りに厳しさのあるのは当然で、ニヤニヤしたり、からかい半分だったりでは効果は期待できません。
 また、重要なことは、しかるのは子どもの行動だということ。子どもの感情までしかるわけではありません。行動と感情はきっかりと区別して扱うわけです。
 あなたは赤ちゃんが憎らしいと思っているでしょ。それは悪いことよ、いけません。としかるのは行きすぎ。これでは、親が子どもの気持ちまで管理することになって、子どもは気持ちをごまかすか、あるいは、そんな気持ちの自分を悪い子と思い傷つくか、いずれにしても危険です。人の感情は、親でも侵すことはできません。行動だけを叱るのです。
 この点が、ほめ方と異なるところです。
 二度とこんなことをさせたくないと考えて、親は念には念を入れて叱ることになります。つい、りきみ過ぎて、目の前の行動だけでなく、あんなこともあった、こんなこともしたと拾いあげることになる。いわば、精算済のことまで引き合いに出すことになります。
 聞いている子どもは、自分は悪いことばかりしている。全くダメな人間だと思い込んでしまうでしょう。あるいは、親は自分を困った子、悪い子と思っているらしいと、こうなると、子どもは悪い行動を改めて、よくなろうという気を失ってしまいます。そんなにいろいろだめなら、少しぐらいがんばっても間に合わないだろう。自分はとことんできが悪いんだと、自分を投げてしまいます。
 これでは、よくするために叱ったはずが、結果は、全く裏目に出ることになります。
 そこで、叱る時には、必ず救いがあるように、希望がもてるように考えてやるのがコツなのです。ママはカッカと叱ったけど、それは、あなたがこんなことするのはおかしい。残念だと思うからよ。あなたにはいいところがいっぱいあるし、ママはそれを自慢に思っていたの。ねえ、これ一つぐらい直せるでしょう、がんばって。これでがんばらないと言う子はいないでしょう。
 叱るにも救いがあり希望がもてることが大切です。
 どんなにカツとなって叱る時でも、絶対、言ってはならな いタブーがあります。
 一つは、愛情を否定するような言葉。憎らしい子、ちっともかわい気がないなどと言うのは大へん危険です。なにしろ、子どもにとって、何よりも大切なのが親の愛情です。それを否定しては大打撃を与えます。
 次が、養育を放棄するような言葉。どこへでも出ていきなさい。育てる気がしないわ。ほんとに捨てたいような子。これは子どもにとって痛手であるばかりか、法的にも親の口にしてはならない言葉でしょう。
 そして、もう一つは子どもの人格を非難する言葉、なんてできの悪い子かしら、とことんダメな性格ね。しかし、その子を生み、育てたのは親なのですから、いささかナンセンスな言い方です。
 いずれも、子どもはよくなろうとする意欲を失い、自暴自棄に陥り、そして、親に強い反感と憎しみを抱くようになります。
 だが、ひどい言葉を吐いている親自身は、案外、気づいていないこともあって、私は、一度しかっているとき録音テをとってみることをおすすめしたいと思います。

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