体罰

 子さんは親とは違う自分の意見や要求があるのが当然です。それに耳を貸してもらえないとき、反抗的になります。じっくり子どもの話を聞いてから、良い点、悪い点、認められる点、認められない点を整理してやり、なぜいけないか、なぜ認めてやれないかの親の考え方や事情をよく説明してあげてください。
 よほどのことでもない限り、体罰には賛成しかねます。たとえ、その時、反抗的な態度をとっても、ちゃんと話してやれば、後でゆっくり考えてまともな判断ができるのがこの時期の子どもです。
 また、よほどのこととは、子どもの身に危険が迫っているような場合、悪の誘惑にのせられそうな場合など、一刻の猶予も許されないときです。いわば、もはや躾の技術など考えていられない差し迫ったときの非常手段です。そして、こんなことは、長い子どもの成長過程で、めったにあることではありません。
 しかし、実際には、体罰はよく用いられ、そしてもっともらしい理由もつけられているようです。が、これは、一言でいって、親の忍耐のなさ、未熟さのせいではないでしょうか。

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 わかりやすい両親教育や躾の本を書いたアメリカの心理学者ダドソン博士は、体罰について、こんなことを言っています。
 体罰は、とてもまずい効果のない躾の方法だと思います。もし、両親が完全な人間だったら、全く体罰の必要はないでしょう。が、実際には、両親は過ちを犯しやすい人間ですから、がまんできなくて体罰を用いることになります。私は、体罰が効果的だから認めるのではなく、親の不完全さゆえに、それを認めたいと思います。だから、躾の技術として、体罰を肯定する親たちと、私は全く異なる立場なのです。
 ほんとうに、人間の親がもっとよいできだったら、体罰など用いないでしょう。でも、親はみんな素人で、そして、人間的にも未完成です。
 このへんの事情を親よりも、よく知っているのは子どもかも知れません。
 体罰は、文字どおり罰だと思います。
 そこには、親の怒り、非難、こらしめ、憎しみなどがこめられていますから、小さな子どもがしょっちゅう体罰を与えられたら、自信を失い、萎縮し、不安や恐怖におびやかされるようになります。また、親よりも体力のあるような大きな子どもなら、反発、反抗、怒り、憎悪をつのらせて、逆に親を攻撃するようになるかもしれません。
 そして、現代には、この種の親と子の問題が非常に多いのです。
 また、子どもが非力の小さい時から、ずっと長い間にわたり体罰を与えていると、子どもは体罰に対して要領よく振るまうようになります。親の目の前では従っているが、目のないところでは、少しも守ろうとしない。
 要するに、善悪に対する自主的な判断も、自律的な行動も芽生えないのです。うそやごま化しを平気でやる人たちの小さい時の育てられ方を調べた学者がいますが、特徴的なことは、親がむやみに体罰その他の罰を与えていたことだったそうです。要するに、良心が育っていなかったのでしょう。
 これでは、躾をしたとは言えません。なにしろ、躾の到達目標は、他人に指図されなくとも、自律的に判断し、行動できる人間に育てることです。
 体罰の一番の問題点はここに あるのです。
 どうしても許せない、直してやりたいというような子どもの問題があり、一通り知る限りの躾の技術を使ったが、子どもは反省の色もなく繰り返す、もう万策つきた気持ちになって、親は悲しみと怒りで自分を押さえられなくなり体罰を与えたとします。
 もちろん、それは、親の悲しみ、嘆き、怒りの爆発で、躾ではありません。で、親は、自分を抑えられなかったことを恥じたり、後悔したりして、ごめんなさい。ママ、恥ずかしいことしてしまったと、子どもに謝りたくなります。
 でも、謝るだけでは子どもは誤解しないともかぎりません。なんだ、悪いのはママじやないかと、謝る前にはっきりさせなければならないことが あるのです。ママが、あなたのその問題でずっと苦しんでいたの分かるでしょ。なんとか直してもらいたいと。だから、いろいろのことを言ったし、してもらおうと努力したわ、でもあなたは聞き入れない、反省しているふうもない、ママは、悲しくもなったし、どうしたらいいのかと困ってもいたの。それに、どんなにあなたがかわいくても、そのことは許せない。だからカツと怒ったんです。怒ったことは、よくないことだから謝ります。ごめんなさい。
 これで、お芝居のように、子どもが翻然と非を改めるとは思いませんが、少なくとも、親が自分のために苦しみ、悲しみ、悩んでいることは分かるはずです。それを知らせることは、子どもに考えさせるきっかけを与えることになるかもしれません。

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