過保護と放任

 過保護は、親自身で気づきにくい問題です。先生の話もよく聞いて、じっくり考えてみることをおすすめいたします。
 第一が、親の不安、心配、恐怖が原因の場合。
 例えば、親が病弱だったとかケガをしたとかの過去があり、極度にそれを警戒して過保護になるタイプです。子どもの病気やケガを恐れ、小さなことでも 大さわぎします。
 第二が、親の過去の不満、不幸の埋め合わせとして、自分の子どもを幸福にすることに熱中し、子どもを放っておけないタイプです。
 例えば、子ども時代に親の愛情が乏しかったとか、親に早く別れたとかの心の傷を、現在の自分の子どもをかわいがることでいやそうとして過保護に陥るのです。しかし、過去の心の傷をいま子どもでいやすことは不可能です。で、ますます過保護の度合いがひどくなります。
 第三は、親自身の現在の不満、寂しさ、不幸を、子どもへの世話で忘れようとか、代償的に満たされようとかしているタイプです。
 例えば、夫婦の不和、夫以外の他の家族との不調、夫との離別などから起こった心の空洞を、子どもをかわいがること、世話することで埋めようとしているのです。
 第四は、このような不満、不幸を合理的に処理できない、感情的傾向の強いタイプであることも原因の一つです。
 でも、実際には、このような典型的な過保護は少なくて、次のタイプが多いようです。
 子どものそばへつききりでワ イワイ世話をやき、ついには手を貸してしまうタイプ。
 親も過保護どころか、子どもを厳しく躾けていると思っていますし、子どもも、怖いお母さんと感じていますが、やはり、世話のやきすぎ、目の届き過ぎの点で過保護の変種と思われます。また、自分の感情を抑えられない点も似ています。
 しかし、あまり暖かい感じではありませんから、過干渉とか過指導とか呼ぶのがふさわしいかもしれません。
 このタイプは、自分で自分がヨメれば、典型的な過保護の親より、自己改善がおこなわれやすいようです。

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 親の過保護から起こる子どもの問題は、実に、痛ましいものが多いのです。
 その一つが、年令以下の扱いで、自立の訓練がされなかった子ども。万事、赤ちゃんぽく、要領が悪く、自主性も乏しければ、自立の実力もない。何でも他人を当てにして、自分で責任を持とうとしません。
 次が、不安や心配で外へ出してもらえない、親の寂しさで相手をさせられ、友だちとつき合えない子ども、社会性の遅れが目立ち、外で失敗ばかりして、ますます家に引きこもることになります。とくに、友だち関係で対等のつき合いができず、仲間外れになったり、浮いた存在になったり、だまされたり、ごま化されたり、外で傷を受けることが多いでしょう。
 さらに、親が子どもを手許におきたくて、機嫌をとったり、金品を与えられたりしたために、わがままで要求不満に耐える力のない子ども。過保護に育てられた子どもは、概して気弱ですから、小さいうちは、せいぜい親に物をねだる程度ですが、青年期に入ると親をおどかし、要求が入れられないと暴力を振ったりする子どもも現れます。
 このように過保護の害を書きますと、多くの親は、過保護に対して神経過敏になり、なかには過剰反応をする人も現れます。
 その一つが冷淡な親。
まるで、子どもをかわいがることが罪悪でてもあるかのようにに思いこみ、もっぱら、厳しくすればいいと考えるのです。ひどい場合は、ことさら冷淡な態度をとったり、わざわざ意地悪く扱ったりしている親もいます。なるべく困らせるようにして、幼稚園も甘やかさない意地悪保育を看板にしているところへ入れました。などと言う人もいます。
 だが、冷淡、意地悪は過保護より恐ろしい。子どもは人間の暖かさに飢え、やさしさを知らずに育ち、大人を恨み、社会を憎んで、乱暴な行動や反社会的な行動に走ることが多いからです。
 一言でいうなら、過保護は子ども自らを阻害し、冷淡は他人に危害をおよぼすわけです。
 また、過保護と反対の放任も非常に危険です。昔は、極貧が放任の原因となることが多く、子どもも状況を理解して、親に協力 し、問題も少なかったようです。だが、現代の放任は、子どもぎらいで、子どもに対する無関心、無責任が多く、親との心のきずなを失った子どもは必ず問題を起こします。この種の親は、利己的で、子どものためでも、少しの犠牲も払おうとはしません。
 また、一部にうちは放任主義と標榜する親もいますが、これは、むしろ子ども中心、自由主義と呼ぶべきもので、本物の放任には、そんな意識すらないのが普通です。
 さて、放任された子どもは、極度の不安に陥り、安定感を失い、親も社会も憎悪し、生きる目標もなく街へさまよい出ますから、非行化の率も大へん高いのです。攻撃的、挑戦的で悪への歯止めがない感じですが、これは、良心が形成されていないのですから当然です。
 手本として見習うべき親は逃げ、教育もしつけも不充分とあっては、子どもはまともに生きる意欲も実力も身につけようが ありません。

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