箸の使えない子

 箸の使い方がよその子と比べて、遅れていたりうまくできなかったりすると、親はイライラしてつい叱ることが多くなります。でも、叱れば叱るほど子どもはやる気を失います。
 特に、○○ちゃんはできるのに、それより大きいあなたができないなんて、どうかしてるわ。などと、よその子と比較してしかるのは、子どもを傷つけ劣等感を抱かせることにもなりかねません。小さな子どもでも、自分か他人より劣っていると言われることにはひどく敏感です。
 親としては、子どもの一時の遅れを決定的なものときめこまないように、また、くよくよ気にしないようにして、現在の子どものレベルに合わせて指導していくことが大切です。
 それにはどこでつまずいているかを、よく観察して、躾の手がかりを探すこと。失敗してもケチをつけてはいけません。
 また、親は子どもができないとこぼしながら、すぐ手を貸すことが多いものですが、手を貸してやったら、子どもは大事な練習の機会を奪われることになります。そのうえ、悪いことに、子どもが自分はひとりでできないダメな子なんだと思うでしょう。
 子どもの上達を願いながら、叱ってやる気を失わせ、手を貸して練習のチャンスを奪うとあっては、おはなしになりません。口ではやさしく励まして子どもの気持を引き立てても、手は出さない。言葉はやさしく、手は厳しくが上達させるコツです。

スポンサーリンク

 しつけは現場でが原則ですが、食事に関するものは例外。なにしろ、食卓でうるさく言われたら、食欲もなくなり、楽しみも失われます。食卓は教室ではありません。食事のしつけの基礎は、まず、健康な食欲であり、次に食卓での楽しいふれあい、楽しいムードだからです。
 そこで、お箸の使い方も、食事中にやかましく注意したり、細かく指導したりは御法度。気分よく食べさせてあげることが第一です。指導は、食卓でなく、遊びの中で練習させた方が抵抗なくいくでしょう。
 はじめは使いやすいお箸で、ビーズ、ボタン、小さくまるめた紙、ちぎった粘土の玉などつまんで箱に入れる訓練をさせてみましょう。いろいろの素材を使わせれば、食卓でお はしを使うための下地ができます。
 そして、少しでも上達したら、必ず認めてやり励ましてやることです。
 幼児や小学生は、認められ励まされると驚くほどがんばります。ただ、ほかの子と一緒のときは、一人だけほめるのは禁物です。
 また、お母さんのお箸の使い方をよく見せて、コツを教え、子どもにその使い方の違いを気付かせてやることも必要です。
 食卓では、食欲も意欲もある食事のはじめにお箸を使わせ、そのあとは多少手でつまんでも見逃してください。ただし、大人が手を出さないこと。
 また、来客があったり、他家の食卓に招かれたりすると、うまくやろうと努力することもあります。
 お箸の使い方がうまくいかないだけで、うちの子は不器用ときめてしまってはこまります。お箸というのは、特別に難しい道具です。外国人が日本人の箸づかいを見て感心するほどのものなのです。
 どんな躾も時間がかかるものですが、なかでも、箸づかいは三、四年がかりが普通です。そこで、難しい箸だけに焦点を合わせていないで、いろいろの道具に親しませてみると、意欲が出てくることが多いようです。つぎつぎ家庭内で目につくものに触れさせてみてください。
 ハサミ、ナイフ、カナヅチ、ノコギリと、親が危ないと思う道具は、意外に、子どもが注意深く使うので器用さを伸ばします。
 紙や布でお弁当箱を包んでみるのも、紐を結ぶのも、みんな結構。お母さんの使う料理用具の、あわたてき、すりこぎ、おろし金。また、ナフキンたたみや茶わん拭き、なんでも器用さを伸ばすでしょう。
 そして、道具類は子どもに合ったサイズのものを選ぶこと。特徴や使い方を丁寧に教えて、危険のないように使わせること。
 一方、手先の器用さは、からだ全体の身のこなしと深くかか わっていますから、よく運動をさせ、特に、腕の力をつけることは忘れたくない配慮。おはしだけでなく、少し視野を広げて考えてみることです。
 ゆったりと楽しい気分の食卓なら、子どもはその気分に引き立てられて、上手に食べようと努力します。でも、疲れているとき、不安や恐れのあるとき、ひどく興奮しているとき、おなかがすいていないとき、睡眠不足でイライラしているとき、怒っているとき、寂しいとき、悲しいときいずれも、かっこよく食べようという気にはなりません。
 となると、親は食事のタイミングを考え、楽しいムードづくりをし、面白い話題も用意して、デザートなど子どもの期待のもてる食べ物も献立に組みこんで、食卓を心のはずむ場所にしてやることが必要です。
 親が心を配れば、子どもは自分がどう振舞うべきかを、自然に考えて努力するようになるものです。

躾とは/ 躾と発達段階/ 家庭の躾・学校の躾/ 上手なしつけ方/ ほめ方について/ 叱り方について/ 体罰/ 過保護と放任/ 箸の使えない子/ 食卓のマナーが悪い/ 偏食、小食/ 食事の遅い子/ 排泄のしつけ/ おもらし/ 夜更かしと睡眠のしつけ/ そい寝について/ 物をしゃぶりながら寝る子/ 衣服が汚れても平気な子/ 脱ぎ着のしつけ/ 片付けのしつけ/ だらしのない子/ 友だちの物を平気で使ったり、持ち帰ったりする子/ 子ども部屋を作るとき/ 時間にルーズな子/ あいさつの躾/ 目上の人に対する言葉と態度/ 家族の一員としての躾/ 家庭のルールと躾/ 家での手伝い/ 勉強と手伝いの問題/ 小遣いの与え方/ 無駄使いをする子/ 物を粗末にする子/ 高価な物の与え方/ 子どもへのプレゼント/ 外での躾/ 公共の場の躾/ よその子の躾/ 他人の奉仕を躾ける/ 来客のとき/ 訪問のとき/ 留守番の躾/ 共働きの家庭の躾/ 家の中の事故防止/ 交通事故を防ぐ躾/ 水の事故を防ぐ躾/

       copyrght(c).子育てと育児.all rights reserved

スポンサーリンク