食卓のマナーが悪い

 躾は、子どもの発達段階に合わせて、そのとき、そのときいろいろの角度から、繰り返し躾てようやく身につくものです。しかし、小学校といえば、友だちも増え、活動の範囲も広がって、とにかく忙しい時期。食卓でも心は外へ向いています。
 特に、友だち遊びの最中やテレビやマンガに熱中しているときに、食事だと、中断させて、食卓に連れてきたりすると、気持の方は食事の方に向かず、遊びの方に残っている。マナーどころか、時には、ロヘ押しこんでいるだけで、何を食べているのやら、何を言われているのやら、さっぱりわからない。
 だが、マナーを躾けるには、子どもをまず平静な気持にすることが必要。そこで、食事の前に、多少時間のゆとりをとって、ゆったりした気持で食卓につくように工夫してみることです。
 たとえば、食事の三十分前には、家へ呼びこんで、手や顔を洗わせ、うがいをさせ、鏡の前で身づくろいをさせて、食卓につく準備をさせます。
 そのほか、食事の前に手伝いをさせるのも一方法です。母親が苦心して心のこもった食事を用意していることがわかり、食事に対して感謝と関心を抱くようになります。この気持が躾を受け入れる下地です。
 また、マナーは善悪の躾と違い、親が強制するわけにはいかない。しかし、食卓での親自身のマナーや話題の影響は、非常に大きな力をもっていて、多くのことを子どもに伝えています。親の願いを理解するのも こんなときではないでしょうか。

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 あわてふためいて、気がそぞろの時は何を言っても無駄。また、他の家族、特に兄弟が同席しているときもダメ。
 お母さんと二人だけで、ゆったり食事をしているときに、お母さんがちょっと気になっていることがあるけど、わかるかしらと尋ね、子ども自身に自分 のマナーの悪い点に気づかせてやります。
 お母さんがやって見せて、他人が見たらどんな感じがするかを悟らせるのも一つの手ですが、その時あまり意地悪い感じを与えないように、注意することです。
 こうして、子どもが感じが悪い、みっともないと気がついたら、その次の段階へ進むことができます。
 お母さんはあなたのマナーをよくすることに力を貸してあげたいと思うの。でも、みんなが一緒に食事をしているとき、あなたに注意したら、きっとあなたは嫌な気持になるでしょう。それに、ほかの人もあなたを気の毒だと思って悲しい気持になるはずよ。これでは、せっかくの楽しいお食事がめちやめちやになってしまうと思うの。だから、お母さんは、こっそりあなたにだけ分かる方法で、あなたのマナーの悪いのを知らせてあげようと考えたの。どうやって知らせてもらいたい。
 こんなふうに話し合ってみてはいかがでしょうか。子どもの気持を、大切にそっと扱っている親の心づかいが伝わってきます。
 要は、子どもに直そうという気持を起こさせ、それに親が協力するということ。これが逆に、親があせって直そうとしても、子どもがそっぽを向いてはおはなしになりません。
 マナーとは、ヒューマニズムだと言われます。たしかに、マナーの基本にあるものは、人間的な心であり心づかいでしょう。他人とのかかわりあいでの敏感さ、自己抑制、他人に対する思いやり、それを行動に結びつけるセンス。言い方をかえれば、自分をよりよく演出し、他人に心よい印象を与えるアピールの仕方とも考えられます。
 ですが、子どもは自分中心で、なかなか他人の気持や立場を考えるゆとりがありません。だから、他人への配慮なしに行動します。マナーが身につかないのも、この自分中心の心理状態によるところが大きいでしょう。
 しかし、子どもも三歳を過ぎれば、他人の存在を意識しはじめ、お父さんがのどかかわいたと言えば、お水もってきてあげるね。などと言うようになります。そこで、いろいろの場面で、他人がどんな感じを受けたか、どうしてもらいたがっているかなどを教えてやるのがいいのです。
 また、自分が悪いマナーでも、他人と関係ないと考える子どもには、それを見た他人が傷つき、不快感を抱かせられることを説明してやる必要があります。
 どちらかというば、親は子ども自身にさせたいことをマメに指導しますが、子どものしたことが他人にどんな影響を与えているかの説明は不足しがちです。
 でも、マナーは、他人への影響に敏感にならなければ、完熟はおぼつかないのです。その意味で、親は他人の代表者、社会の代弁者となって、子どもから受けた印象や影響を、細かく情理をつくして伝えてやることが必要です。

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