食事の遅い子

 お茶わんとお箸を持ったまま、テレビの画面をのぞきこんだり、さっきまで作っていた積木の自動車をいじってみたり、飼い猫の食事の世話をやいたり、子どもとしては、どれも気になる楽しいことばかり、あっちに気をとられ、こっちに心を奪われて、とても食事一途にはいかないのが幼児です。
 それも、幼稚園に入ったころの四歳児によく見られる傾向です。
 なにしろ、目に映るものはなんでも珍しい、それも質問時代と言われるほど、疑問も多く、知りたがり、不思議に思ったら、すぐに観察に出かけていって、自分がいま何をしているのか、すべきなのかなど考えません。おとなは、これを気が散りやすいとか、落ち着きがないとか言うのですが、要するに、探究心旺盛で積極的なのです。
 いま何をすべきかという目的意識、課題意識が芽を出すのは、小学校入学のころですが、それが、かなりはっきりしてくるのは、やっぱり小学校中学年からです。
 その上、幼児は時間の観念も乏しく、他人の思惑にも鈍感とあれば、食事にどんなに時間がかかろうと平気と言うことになるでしょう。
 また、これにはかなり個人差があって、他の面はしっかりしていても、他人との関係や協調性などの面で幼稚で赤ちゃんぽいタイプですとこんなときうまくいきません。だから、家庭で末っ子として赤ちゃんぽく扱われた子は、自分は例外、遅れてもいいんだと思っていることがあります。友だち遊びを活発にして、自分もグループのメンバー一人という意識を育ててやることが必要です。遅れをとっては、みんなが迷惑する、みっともないなどとだんだん思うようになっていくはずです。

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 先生に注意されたからといって、それをストレートに子どもにぶつけてはいけません。これでは叱るだけになりますから。
 それまで、のんびり遊びながら食事をすることを承認されていたのに、ある日、突然、まるで悪事を働いたように叱られる。子どもは自分が悪い子になったと思って、自己評価を狂わせ、自信を失います。
 第一、食事をゆっくりする、楽しくするというのは、決して悪いことではありません。欧米人の食事と比べると、日本人の食事はなんとなくそそくさと急いで、食事を楽しもうという習慣がないみたいです。食事は一つの文化ですから、ゆったり、丁寧に楽しむべきです。
 ただ、遊びながら食べるのをやめさせるようにもっていき、ショックを与えないように、小さな声でちょっと気付かせてやればいいのです。叱ってはいけません。オロオロするようになります。
 それから、先生に言われたら、まず、言われたことをじっくり考え、お父さんとも相談し、親が改めることをまず、探してみること。それから、子どもに対して、どうするかを研究しましょう。先生も子どもをよくしたくて注意するわけですから、あわてないで根本対策を考えてから指導したいものです。
 早く、なにしているのと、怒鳴られては、食欲もなくなり、そのうち食事嫌いにもなりかねません。
 遊びが始まったら、しからないで、もう、ごちそうさま、と尋ねてください。そして、いらないなら、それでは、ごちそうさまのごあいさつをして、おしまいにしましょうと節度をもたせるように躾ます。食べる途中なら、食べてから、遊びましょうと、持ってやります。
 そして、いらないと分かったら、さっさとかたづける。できれば捨てるのがいい。というのは、子どもに、いつでも、食べたいときに残したのを食べればいいといったルーズな気持を植えつけるからです。
 むろん、食べ残して、次の食事まで持てないときもあるでしょう。同情してやっても、特別、作ったりしないこと。ここで叱っては、お母さんを意地悪な人とうらむようになります。だから、気持は汲んで同情してやりながら何も与えないのがいいのです。子どもは「お母さんはやさしい。ぼくが食べなかったのが、いけなかった」と反省します。
 問題の原因は自分だと気付かせるのが、この場合のポイントです。

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