おもらし

 一口におもらしと言っても、原因もいろいろ、程度も様々、よく観察して慎重に扱ってください。ごく普通に見られるのは、トイレのしつけも一通り完了と思われる三歳過ぎごろからはじまるものです。これは、子どもの生活圏がぐんと広がり、友だちもできて、夢中になる遊びもたくさんあるというところではじまるおもらしです。何かに熱中していて、トイレが間に合わないといった状態。なにしろ、幼児は、注意をあちこち分散するのが難しい。一つのことに熱中したら、他のことには気がまわりません。よくあるパターンです。これは、うまく扱えば、そのうち治ってしまうものですから、心配無用です。
 次が、トイレのしつけを、むやみに厳しくして、叱ったり、脅かしたり、叩いたりした結果、子どもがトイレ嫌い、排泄恐怖になってしまったパターン。
 そして、この厳しい親は、おもらしにも厳しく「なぜ早く行かないの」とせめたてます。子どもは恐ろしさのあまり、トイレを避け、ぎりぎりまでがまんして、かえってもらすのです。
 もう一つは、幼稚園や他家で失敗し、笑われたり、叱られたりして、ひどくプライドを傷つけられた子ども。こんな恥ずかしいことはこりごりと深く思いこみ、失敗しないように緊張して、トイレ、トイレと考えて、そのために尿意をもよおします。だから、しょっちゅうトイレにいきたい。尿意頻発といわれるのがこれで、不安の現れです。
 どちらかといえば、神経過敏なプライドの高い子どもに多いようです。

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 尿意をもよおしてもモジモジしているくせに、友だち遊びに熱中していたり、テレビに夢中の時は、なかなかトイレヘ行こうとしません。
 こんな時、親は失敗させないようにと考えるあまり、大声で注意します。早くいかないともらしちゃうわよ。すぐにもらすくせになどと、子どものプライドを傷つけるようなことを平気で言います。でも、子どもはオシッコで失敗するのは、赤ちゃんだけと思っているので面目まるつぶれ。とくに、友だちの前などでは、恥ずかしいやら、かっこ悪いやらで、大いに傷つけられます。
 注意してやる時は、たとえ他人がいなくても、こっそり小声で言ってやるのが思いやり、友だちがいたら、そっと肩をたたいて合図する位の気は使ってやりたいものです。
 また、ひとりで脱ぎ着ができる子どもなら、失敗した時は、ここに着替えの下着があるから、自分で着がえてね。ぬれたのは、あそこに入れるのよと、下着の収納場所を教えて、なるべく、ひとりで始末できるように考えてやります。まさに、見て見ぬ振り。
 幼稚園に入ったら大変などと親がさわぎたてなければ、プライドも傷つかず、自立心も育ち、第一おもらしも長びきません。
 トイレのしつけに厳しい親には、教えればこの問題もうまくいくものと思いこんでいる人が多いようです。だから、うまくいかないのは、教え方が悪いか、子どものおぼえが悪いからだろうとやっきになります。
 こうして、子どもはすっかり排泄恐怖に陥り、トイレヘ行くこと、排泄することを一寸のばしにします。その結果がおもらしです。そして、おもらしをすれば、またまた、厳しく叱られて、トイレ怖さがつのる一方、おもらしもそれにつれて多くなります。
 子どもをよく見ると、トイレのことを言われるたびにビクビクし、恐ろしそうに親をみるのは、このタイプです。
 トイレのことも、おもらしのことも一切口にしないことにしてください。おもらしをしても、失敗をしても、にこにこして後始末をしてやり、なんにも言わないこと。
 不安や恐怖が薄らいできたら、誰でもみんなトイレでは失敗するの。気にしなくていいのよと安心するような言葉をかけてやります。
 また、ふざけんぼうの親になって、わいわい子どもと遊んでやり、気持をほぐしてやるのも役立ちます。
 失敗に懲りて、いつもトイレのことが頭を離れない子どもには、まず、不安を取りのぞいてやるのが先決です。不安が消えれば尿意頻発もおもらしも消えていきます。そこで、たびたびトイレヘ行ってはだめなどと言わないで、いきたいときは、いつでもいってらっしやい。下着がぬれたら、ここに入れておくから、ひとりではきかえてね。たくさんあるから大丈夫よと安心させます。
 また、幼稚園児なら、先生に話して、友だちに気づかれないように、そっとトイレヘ行けるような席にしてもらうこと。そして、先生にも「いきたくなったら、いつでも自分で行きなさいと言ってもらって安心させます。おもらしでぬれた下着をポリ袋にに入れて渡され、恥ずかしさでショックを受けた子どももいますから、よく先生と相談しましょう。
 失敗しても、ごく自然に、あたたかく扱って、決して目立つことはしないこと。といって、わざとらしく見て見ぬふりも変なもの。大丈夫よ。気にしなくてと労りをこめてさりげなく扱ってください。
 外出のときは、特に不安になりますから、トイレはあそこよと教えて安心させ、下着もたくさん用意してやりましょう。

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