脱ぎ着のしつけ

 どんなことでも、はじめからうまくやれる子はいません。だから練習が必要です。それには意欲をつみとらないことです。
 普通、子どもは一歳半から二歳ごろ、脱ぐことに興味をもち、しきりにやってみて、だんだん衣服の扱いになれていくものです。
 二歳になったら、着ることに興味が移り、一人でやるとがんばります。この興味と意欲が、うまくなる原動力です。
 その時、手順やコツを簡単に指示します。「先に着る順に並べてから、着ましょうね。セーターは、手を通してから頭よ」と、コツを教えることに重点をおき、目立たないように助けてやればプライドを傷つけることもないでしょう。
 うまくいかなくても、けっして叱らないこと。時間がかかっても、せきたてないこと。このことは、年令の高い子どもほど気をつけねばならない点です。
 そして、何歳ならこのレベルをなどと、あせらないで、できるところを出発点と考えて、丁寧にしつけていくことが大切です。
 また、子どものやることにはムラがあるのが普通で、ある日は意欲的にやっても、次の日は全くダメということは珍しくありません。うまくやった日は、大いに励まし認めてやっても、やる気のない日は、そしらぬ顔で無視してください。いちいち取りあげていては、うるさく言うことになり、それだけ子どもに依頼心を植えつけます。

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 子どもの脱ぎ着の様子を、黙って見ていると、どこが難しくてつまずき、どこでかんしやくを起こしているかがわかります。
 たとえば、ボタンかけ、ファスナーの扱い、セーターやシャツの前後の区別など、どの子もつまずきになる個所があるはずです。
 でも、その都度叱っていては、親も子も脱ぎ着が重荷になってしまいます。そこで、遊びのように、ボタンかけやファスナーの扱いを、着る物を使って練習してみてはいかがでしょうか。はじめは大きめのうす手のボタンで練習し、慣れたらパパのワイシャツやママのブラウス の小さなボタンやファスナーを使ってやらせてみましょう。
 このようなことは、普通、三歳過ぎの子どもが興味をもってやるようです。
 また、四、五歳の子どもをしつける時は、きちんと理屈にあった説明をしてやると、応用力をつけることにつながります。
「シャッの首のところは、体の形に合わせて前の方が大き くあいているの。着るときは前を下にして置いてから着ると、間違わないで着られます」「ズボンはふくらんでいる方がうしろ。お尻がふくらんでいるから、それに合わせて作ってあるの」「上着のボタンをかけるときは、下の方からかけていくと、仲間外れができませんよ。ファスナーは、片方をしっかり持っていて引っぱるとうまくいくのよ」
 こうして、うまくやる工夫をいろいろさせてみると、面倒がっている子どもでも興味をもつようになります。いわば、脱ぎ着の技術を一つ一つ身につけさせる方法です。
 大人が見てイライラするような状態でも、一つ一つの技術が身につけば、少しずつ要領もよくなり、慣れればスピードアップもするはずです。半年前、三か月前と比べて、少しでもうまくなっていたら、具体的にその点を認め、励ましてやりましょう。
 また、少しぐらいうまくいかない点があっても、手は貸さないこと。なかでも叱りながら手を貸すのは最低で、子どものやる気を失い、しかも親をあてにするようになります。励まし、認め、そして、手は貸さないのがコツです。
 五歳ともなれば一通り自立し、親の手はあまりいらなくなりますが、脱ぎ着の途中で他のことに気をとられ手間どることがよくあります。そんなとき叱ったり、手を貸したりしないで、それだけのゆとりをみて仕度させるのがいいでしょう。特に、朝、登園するときは、親も子もあわてて、つい手を出しがちで すが、これを繰り返していては、いつまでたっても自立化は無理です。早目に起床させ、あわてないで、気分よくやれるように配慮してやりたいものです。
 何かに気をとられている時は、先に期待がもてるように声をかけてやります。このへんの演出はセンスよくやってください。
 子どもに気分よくひとりでやれたと思わせるのも、親の心づかい次第です。

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