友だちの物を平気で使ったり、持ち帰ったりする子

 二、三歳の子どもに「これは誰の物」と尋ねてみると「それパパの物。これは私の物」などと、だれに所属するものかを認識しています。また、五、六歳にもなれば「人のものを黙って持ち帰ってはいけない」ことも、よくわきまえていて、他人の所有権を侵してはならないと認識しています。きっと、お子さんも知識としては「物にはそれぞれ所有者がある」ことも「所有権を侵してはならない」ことも、よく知っていらっしやると思います。そのへんのことは、お子さんと話し合ってみればすぐに分かります。
 しかし、知っていることが、すぐに行動に結びつかないのが、幼児から小学校の低学年の子どもにはとても多いのです。
 隣の席の子どもと親しくなってしまうと、他人の所有物などと思わなくなり、ほとんど無意識に手を出している。これは、家庭で家族の物を使うのに、いちいち承諾を得ないのと同じ気持です。
 また、注意があちこち分散し、ゆき渡らないのもこの時期の特徴です。一つのことをしているときには、ほかのことは考えられない。忙しく机の上で作業している時は、だれの所有などと考えるゆとりもなく、手近なものを使ってしまう。その点、隣の席の男の子も同じ状態で、だから文句も言わず、トラブルも起こら ず、他人の物は自分の物、自分の物は自分の物と相互に利用しあってスムースにいっているのではないでしょうか。
 もう一つ、この時期によく見られるのが、「これ欲しいな」と思ったら、すぐにポケットやランドセルヘ入れて持ち帰ってしまう傾向です。客観的に見れば、明らかに盗みですが、子どもは決してそうは思っていません。
 「ちょっと借りたの。あした返すから。ただ、持って帰っただけ。返すんだからいいでしょ。」言ってみれば盗む気もなければ、盗んだとも思っていない。ただ興味があったので持ち帰ったというところです。「それを盗みというんですよ」というとびっくりします。
 要するに、所有の観念が、まだきちんと身についていないのです。
 したがって、第一条件は成長ですが、小学校二年生の中ごろから少しずつ変化していきます。いわば、客観的に自分のしていることを評価できるようになるのです。そこで、これからの指導が大へん大切で、それにより子どもは急速に伸びていきます。

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 核家族で両親と子どもが一人か二人という人員構成の家庭が多くなりました。大家族では、みんなの所有物をはっきり分けて、混乱しないように管理する必要がありますから、どうしても「自分のものをちゃんとしておきなさい」「人のものを使わないように」という躾を徹底させることになりますが、少人数ではこの必要がありません。仮に一枚のタオルを三人が使っても、時間が少しズレていれば支障はないわけです。自然、この種の躾がルーズになりやすいのでしょう。もちろん、感覚的に衛生的に問題ですが。
 そのうえ、住いも挟く、各人がもしバスタオル、フェイスタオル、ウオッシュタオルと持っていたら掛けるところに苦労します。まあ、家族だからとあいまいにしておきますと、子どもはひとの物を使うのに抵抗を感じなくなってしまいます。所有の観念よりもまず潔癖さが問題です。
 ある会社で、手洗いに社員の名前をはったタオル掛けがあり、みんな自分のタオルを使っている。ところが、ある年の新入社員の数人はタオルを持たず、名前のタオルかけはいつもカラ。ある日、先輩社員が他人のタオルを使っている新入社員を見つけ注意したら「そんな固いこと言わないでくださいよ。たかがタオルじやないですか。みんなのを満遍なく使っているんですから」と平然としている。これには、先輩社員が二度びっくりだったとか。
 となると、お子さんの問題は放っておいていいとは思いません。まず、家庭で各自の物をはっきり区分して、いつも自分の物を使うように指導する必要があります。
 それには、物を管理しやすいような設備も整えてやらねばなりません。
 面白いものだから、ほしかったからといって、他人の物を黙って持ち帰ってはならない。だって、持ち帰られた人が、それが必要になったとき、困ったり、 悲しかったり、怒ったりするはずよ。あなたにもそんな経験があるはずよ、と同じ気持を思い起こさせて、他人の困惑や怒りを理解させることが必要です。
 というのも「他人の物を黙って持って帰るのはドロボウよ」といっても、子どもはピンとこないからです。
 ひどいことをしてしまったという理解は、体験からくるものであり、感情的なものです。
 そこではじめて、「もし、借りて帰りたい時は、ちゃんと話して、友だちの許可をもらわなければなりません」という説明が生きてきます。
 また、学用品のような物は、みんな自分の物があるのですから、欲しいからといって、人の物を借りるのはどうかしらと考えさせてみることも必 要です。というのも、相手にことわれば、いくらでも借りられるものと思いやすいからです。自分の物があったら、ひとの物は借りない」という節度も身につけさせねばなりません。
 そして、もう一つは友だちの持ち物がすてきでも、自分のものがあるなら我慢すること。次々に欲しいものを借りたり、買ったりはできません」と、我慢するこころも養う必要があります。子どもが我慢していると分ったときは、「とても、りっぱよ」と、認めてやって、耐えるための後ろ盾になってやるのが いいでしょう。

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