子ども部屋を作るとき

 一般に、子どもが小学校の三、四年生になったら、個室を与えるのがいいと言われています。それは、この時期から、子どもの考え方や好みがはっきりして、きょうだいとの同室はトラブルが多くなります。また、他人に対して批判的になるので、とかくうるさい。おまけに、小学校高学年ともなれば、独立感も高まり、一人で生活してみたいと言い出すにきまっています。
 ただ、一般論を申し上げれば、なにがなんでも建増しをと言うわけではありません。現代の住宅事情では、子どもにそれぞれ個室を与えるのは大変です。親が不自由をしのんで、無理算段をしてまで、子どもに個室を与えなければならないわけではありません。
 ただ、子どもが自分の城として使える一定の空間を与えてやりたい。例えば、廊下のつき当たりのコーナーでも、六畳を仕切ったのでも結構です。要は、だれにも侵されない独立感が昧わえればいいのです。

スポンサーリンク

 知人の建築家の話では、最近、個人住宅の設計を依頼されたとき、非常に多い注文が「子ども部屋を一番いい条件で」というものです。なかには、お年寄りのいる家庭もあって、設計者は複雑なおもいにかられるといいます。
 子ども部屋は条件の悪い、粗末なものをと主張するわけではありませんが、家族みんなが等しい条件で考えるべきだと思うのです。子どもだけ王子さま扱いは感心しません。
 最近のニュースによれば、子ども部屋をねだられた親が、「おばあちゃんが亡くなったら、あの部屋をあんたの部屋にしてあげるから」と話すのを聞いて、自ら命絶ったお年寄りがいるそうです。なんと惨酷なことでしょう。
 また、研究者の父親が書斎もないのに、子どもに勉強部屋を与える家庭もあるとか。
 アメリカの家庭へ招かれて泊り客になったら、母親が中学生、高校生の二人の息子を、さっさと彼らの部屋から追い出して「さあ、どうぞ、どうぞ」と迎え入れてくれたというたぐいの話はよく聞くもの。「部屋は 親の所有物、あなたたちに貸してあげるが、都合によって何時でも出てもらいますよ」と、与える前から宣言してあると、アッケラカンと語ってくれた母親もいました。
 彼女たちだって、もちろん、子どもを愛していないわけではありません。しかし、愛情を物質に替えて与えることの危険さを計算しているのでしょう。
 特別の優遇をしないなら、私とて、子どもに部屋を与えることは大賛成です。
 それも、前述のように、個室が原則です。
 子どもは、ここを他人に侵入されない自分だけの城と考えて、その子どもなりに個性的な住い方をするはずです。したがって、親があまり飾り立てたりして与えない方がいいのです。いわば、カラの部屋と、勉強机兼作業台のようなものと、可動できる部分的照明と部屋全休の照明、物を入れる戸棚とこれも可動性のある棚などは用意してやっても、細かい設営は子 ども自身にやらせてください。小学校中学年なら充分やれるはずです。
 そして、部屋を与えるとき、次の二点をよく納得させて与えることです。「この部屋をあなたの部屋として貸してあげます。それは、そろそろ自立の準備をしなければならないからです。まず、この部屋を管理する練習をしてみてちょうだい。この部屋の中は、あなたの思いどおりで結構です。でも、この家は家族全員の共同生活の場ですから、ほかの人に迷惑をかけないこと。このことは、社会生活をしていくのと同じです。
 それから、もう一つ忘れないでほしいことがあるの。それは、ほかの人との心の通わせ方、つきあいの問題です。家族とは、喜びも苦しみも悲しみもわけあ い、いたわりあっていくものです。だから、自分の部屋にこもりっきりで、ほかの家族のことは知らないよでは、家族の一員とは言えません。特に、自立、独立の練習をしている時期ですから、親はそれを指導したり、相談に乗ったりしてやらねばなりません。これまで以上に、まめに家族とつきあい、家庭での役割も果たしてくださ い。
 この点をはっきりさせないで、部屋を与えますと、青年期などは、まるで家族とは無縁の下宿人のようになってしまいます。これでは、自立の練習としても 不充分です。
 したがって、子ども部屋にテレビから電話まで備えつけて、一切間に合うようにし、家族とのふれあいが乏しくなるような設営は考えものです。個室にしたら、なおさらまめに話し合いましょう。
 もう一つ気をつけたいのは、せっかく部屋を作って、自立の練習をさせているのですから、親が世話をやき過ぎないことです。よくあるのは、注意をしているつもりが、あれこれ手を貸す結果になってしまう親。問題を起こさないように監督しているつもりが、干渉のしすぎになってしまう親。
 大切なのは、部屋の世話をやくことではなくて、子どもと心を通わせる機会をつくることです。

躾とは/ 躾と発達段階/ 家庭の躾・学校の躾/ 上手なしつけ方/ ほめ方について/ 叱り方について/ 体罰/ 過保護と放任/ 箸の使えない子/ 食卓のマナーが悪い/ 偏食、小食/ 食事の遅い子/ 排泄のしつけ/ おもらし/ 夜更かしと睡眠のしつけ/ そい寝について/ 物をしゃぶりながら寝る子/ 衣服が汚れても平気な子/ 脱ぎ着のしつけ/ 片付けのしつけ/ だらしのない子/ 友だちの物を平気で使ったり、持ち帰ったりする子/ 子ども部屋を作るとき/ 時間にルーズな子/ あいさつの躾/ 目上の人に対する言葉と態度/ 家族の一員としての躾/ 家庭のルールと躾/ 家での手伝い/ 勉強と手伝いの問題/ 小遣いの与え方/ 無駄使いをする子/ 物を粗末にする子/ 高価な物の与え方/ 子どもへのプレゼント/ 外での躾/ 公共の場の躾/ よその子の躾/ 他人の奉仕を躾ける/ 来客のとき/ 訪問のとき/ 留守番の躾/ 共働きの家庭の躾/ 家の中の事故防止/ 交通事故を防ぐ躾/ 水の事故を防ぐ躾/

       copyrght(c).子育てと育児.all rights reserved

スポンサーリンク