時間にルーズな子

 実際の生活と空間的な時間の経過を結びつけて、理解し行動できるようになるのは、九歳ごろからと言われます。時計を持っている大人が、ちゃんと帰宅するとはかぎらないのに。時計を持たない子どもに五時にお帰りなさい」と言うのは、どだい無理があります。 それに、子どもは遊びが楽しければ楽しいほど、時間のことなど忘れてしまいます。それほど楽しく遊べるというのは、このうえなく結構なことです。時間のことをやかましく言ったり、しかったりしますと、遊びに没頭することができなくなり、子どもの成長のためには大損害です。
 そこで、不安を与えないように、具体的、実際的にどうするかを教えておきます。また、子どもの意見もよく聞いて、親子で考えてみるのもいいでしょう。
 例えば、遊び場の近くに時刻をみるものがないかどうか。ないなら、だれか聞く人はいないか。
 友だちの家などで遊んでいる時は、家の人に「もうじき五時よ」と知らせてもらうように頼む。あるいは、時計のある部屋へ見に行くことを許してもらう。
 夕暮れの感じから、時刻を予測する。
 遊び場をきめておき呼びに来てもらう。
 交友関係、遊び場などで、方法は違えなければなりませんが、一つくらいは手があるはずです。目覚し時計を袋に入れて自転車にさげている子どもの知恵に感心したこともあります。

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 よく子どもにねだられたのは「遊んでいるところへ、呼びに来てね」ということでした。それも、友だちみんなに聞えるような大きな声で呼んでほしいと言う。日ごろ、友だちにアテられているせいでしょう。たしかに、夕方、子どもが遊んでいるところへ、お母さんが「もう、ごはんよ」と呼びにくるのはいい感じです。ほのぼのとした親子の交流を感じます。カチカチしつ けることも必要ですが、ほのぼのとした交流があってこそ躾の効果もあがるはずです。
 いずれにしても、放っておいたり、しかってばかりは困ります。発達をみながら、いろいろ親子で工夫してみることが大切です。
 七時に起こして、七時半に朝食で間に合うかしら。その間の三十分で、布団をたたんで、洗面をすませ、身仕度もし。時計で測ってみて三十分を実際の行動と結びつけて、どれだけのことができる時間かを考えさせます。こうして時間の流れに敏感にします。
 また、一定の時刻から逆算して行動を開始する時刻を決める練習もさせます。これがスムースにできれば、待ち合わせで失敗することもなくなります。
 あるいは、宿題の量と自分の速度とをにらみ合わせて、勉強の時間と遊びの時間を調整してみる経験も必要です。勉強のはじめと終わりに時計を見る。遊びのはじめと終わりに時計を みることを習慣にして、時間の流れを体験的につかむわけです。
 おそらく同じ時間だったら、勉強の時間は長く感じ、遊びの時間は短く感じることを知るはずです。このような心理的な時間の流れも理解できるようになれば一大進歩。待ち合わせのとき、持たされた人は、持たせた人より、長く感じることもわかるようになります。
 それには、大人が「学校へいく時刻よ」「もう寝る時刻よ」「早く仕度しなさい」などと直接的な命令を出すより「学校へ行くまでに、お花に水がやれるかしら」「三十分ほどしたら、就寝時刻の九時」「十分ほどで仕度できたら、丁度いい時刻」と、時間の経過がつかめるように、言ってやる方がいいでしょう。
 こうして、時刻、時間に気を使うようになれば、帰宅時刻についてもだんだん敏感になるはずです。
 時間というのは、自分の時間のようで、その実、他人と共有している場合が大変多いわけですが、うっかりすると、この他人と共有している時間については教え忘れがちです。帰宅時間が遅れると、お母さんはとてもあなたのことが心配になる。あなたは楽しく遊んでいる時間に、お母さんは心配でたまらない時間を過しているわけです。また、夕食を待っている家族は、みんなお腹をすかして、嫌な時間を過ごしているわけです。自分の時間だから、少しぐらい遅くなっても平気というのは、他人の時間、他人との関係を考えられない人の言葉です。時間はみんなで共有しているむのですから、他人の時間を考えて行動することが大切です。
 このような注意も、そろそろ必要でしょう。この他人とのかかわり合いが、ちゃんと理解できるようになれば、子どもの時間のトラブルの大半はかたづきます。
 ですが、このことをしつけ忘れているのが、子どもの時間の観念のなさをこぼす、当の親であることのなんと多いことでしょうか。

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