目上の人に対する言葉と態度

 対人関係での言葉づかいや態度の基本的な躾は、幼児から低学年のころに、一つの山があります。このころは、親の指導によく従い、親のすることをよくまねて、躾が素直に身につく時期だからです。
 そして、次の山とも言えるのが、青年期へ入る前、ちょうど小学校の高学年の時期です。親に対しても、中学生ほど批判的、反抗的でなく、他人に対してはとても好意的ですから、躾の効果はあがります。
 このころまでには、友だちづきあいの経験も深まり、対人関係でも人の気持や立場が分かり、場面により、相手により、態度を変えることができるようになっています。また、大人のしていることや本や放送などもよく見聞していて、言葉づかいについての知識も豊富です。
 したがって、お子さんが小学生の場合、これからが磨きをかける時期ですから、嘆くには当たりません。中学生になるまでに、気分よく躾てください。

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 子どもにとって、人との対応の第一の手本は、身近な大人のしていることです。勉強部屋へ閉じこめておかないで、できるだけ大人のしていることを見聞させてください。親のしていることは、いつとはなしに身につくが、教えたことは身につかないと言われます。
 親があらたまった態度や言葉づかいをしているとき、子どもがそばにいることが大切です。
 また、来客の析などに、客と親との対応をそれとなく見せておくのもいいことです。
 そして、よそ行き気分の外出や他家の訪問をする機会を多くして、いろいろの場面での人との出会いに、親も子も多少きどった対応の経験をしてみるのも効果的です。現代は、人前でどんな態度をとっても平気なところがあり、うっかりすると、大人もうちのやり方を人前に持ち出し、子どもによそ行きを学ばせる機会を少なくしてしまいました。
 次に、子どもに理解させておきたいのは、関係把握です。現代の子どもは、言葉を知らないと言うより、関係把握ができていないために、対人関係でぴったりの対応ができないからです。「まず、相手の人との関係を考えなさい」とアドバイスしてください。
 例えば、相手の人やその家族に対するときの思いやりのある態度や尊敬語、自分や自分の家族のことを話すときの謙遜した態度や謙譲語、これらはその関係がきちんと分かっていなければ使いわけられるものではありません。
 また、分かったからといっても、場なれしなければスムースにはいきません。
 さらに、同じ目上の人や年配の人でも、親密さの程度、距離などによっても、態度や言葉づかいは違ってきます。親子、兄弟なら、目上や年上でも、気楽なくだけた調子で対応するのが普通です。このような関係でしやっちょこばっていたのでは、心の休まるところがなくなってしまいます。
 お子さんが、お姉さんに乱暴な口のきき方をするのは、その意味で自然ですが、ただ、いくら親しくても、当のお姉さんが傷つくほど乱暴な態度や言葉は禁止しなければなりません。当のお姉さんの意見も尋ねてみましょう。
 ということは、相手の人柄や性格や敏感さによって、対応を考えねばならないということです。そして、敏感できちんとした相手ほど傷つきやすい。鈍感の物知らずは傷つくことも少ない。そんなことも考えさせたいです。
 そこで、親しい関係なら相手に応じてとなりますが、あまり深く知らない他人には、とにかく、ていねいな応対をするのが無難でしょう。
 このことは時間をかけてしつけていかねばなりません。
 現代の子どもに、目上の人だから尊敬語で話しなさいと言うと、納得のいかない顔をします。そして、大人だって尊敬できるとは限らないでしょと反論してきます。そこで、人はお互にいたわり合い、尊敬し合ったら、世の中は住みよくなり、これがマナーの基本と説明すると、ようやく納得します。
 また、自分をより美しく、価値あるように見せるための演出と言えば、もっとよく納得します。子どもも、よりよく自分をアピールしたいのです。
 ところで、外国語には、謙譲語や尊敬語が少ないと言われますが、実際には、それに類する心づかいをしているようです。アメリカの日系二世の女子大生に聞いてみると「目上の人、年配の人には、会話のレベルをあげて、言葉も少し難しいのを使って、態度にも気を遣って話す」とのこと。やはり相応の心づかいがあるようです。
 いま、日本の子どもたちの問題は、会話のパターンの少ないこと、語らいが乏しいこと。だから、どこでも仲間言葉、一幼稚な話し方で押し通そうとします。そこで、丁寧な話し方ばかりでなく、できるだけたくさん会話のパターンを身につけさせたいのです。いわば、先生に仲間言葉で話しかけるのもおかしければ、友だちにバカていねいな話し方をするのもおかしいという感覚を身につけさせたいわけです。
 その練習に、家族の会話、来 客時の会話、友だちとの話し合いなどを録音して、親子で聴いてみるのも一つの手かもしれません。それを通じて、子どもは相手にふさわしい話し方を工夫するのではないでしょうか。

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