家族の一員としての躾

 もうじき高校に入る一人娘が、食事の時とテレビを見る以外は、自分の部屋に入りっぱなしで、家族の一員として話し合ったり、一緒に仕事をしたりということがありません。祖父母が病気をしても、親が寝込んでも助けようとはしないのです。よその人には親切でやさしい気持ちがないわけではないのですが・・・
 最近、このような話がとても多くなり、家族の一員らしからぬ子どもが増えたことを実感しています。
 考えてみると、現代の家庭には、この種の問題が起こる要素がいくつもあるのです。
 まず、子どもの数が少なく、サービス過剰で、家の中に子どもの役割も仕事もない。いわば、サービスはされても、当てにされていない。これでは下宿人です。
 次に、成績第一で、勉強さえしていれば、親は満足している。自分の部屋に入りっぱなしで、親と心を通わせることも、家庭の運営を見習うことも、手伝うこともない。だから、家族との共感、連帯感も育たないし協力も生まれない。本来、家庭とは、夫婦、親子、兄弟などが同じ家に住み、日常の生活を共同 して、じかに触れ合い、心を通わせて一体の家族意識を持つわけですから、これでは家族としての第一条件で欠ける欠陥家庭教育です。
 そこで、まず、親が、親として何をするかを考えていただきたいと思います。

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 一般に、この問題は、親が気付くときは手遅れになっていることが多いようです。というのも、サービス過剰で育った子どものわがままが、青年前期の反抗的、批判的傾向と重なり、目も当てられない暴君になったとき、はじめて、これは大変と気付くからです。
 家族の一員としての躾は、普通は幼児期から、遅くとも小学校低学年ごろからはじめていたら、これほど悩み手を焼くこともなかったでしょう。
 というのも、小さいうちから役割を与え、親と一緒に家の仕事をさせ、認めたり、当てにしたりして、なくてはならない存在にしてしまうのです。こうして強い連帯感を育てるわけです。
 そして、仕事をしながら、家族で話し合ったり、相談したりする。子どもは、この体験を通じて、家族の支え合いの大切な こと、心を通わせることのよろこびを知るでしょう。この体験があれば、青年期で少々反抗的になっても、本質的には下宿人にはなれません。
 ですが、サービスされ続けてきた子どもには、この体験の積み重ねも、親との心の交流もないでは、お子さんの指導は難しいと思いますが、相手は青年期、情理をつくして説明し、まず、理屈で理解させてみることからはじめましょう。
 家庭とはなにか、家族とはなにか、そこで大切なものはなにか、愛情、責任、信頼、役割など、子どもが将来、家庭をつくるとき、心得ていなければならないことを話してください。そして、いま、その準備や練習が必要なことも。人はだれでもしあわせになる権利がある。でも、しあわせになる知恵と技能がなくてはおぼつかないことも話しておきましょう。
 話をして納得したら、早速、家の中で役割を与えます。失敗しても、あまり幼稚な役割でない方がいいでしょう。
 やり方を教えたら、家族は当てにしてよりかかっていること。叱ったり、こぼしたりしないで、やってくれたら、大よろこびをしてやります。テレるでしょうけど、サラッとして、気にする必要はありません。
 こうして、次々にいろいろな役割をさせてみます。そして、子どもの感想を聞いてやってください。なかば同情し、なかばアドバイスをしながら。こうして、親の方も共通の話題を探す努力をします。
 また、勉強が大変と言い出すはずですが、勉強が上位で家庭の生活は、その次というものではありません。バランスを工夫して、両方やれる範囲で努力するように話し、決して妥協しないこと。それには、親が成績偏重の考えを改めることが前提です。「大変と思うけど、人間、両方共大切よ。うまくやってね」同情しながら、肩替わりしないことです。
 お子さんは、外づらがよく、他人には親切な一面をもっていらっしゃる。いわば、外で「いい子ちゃん」として期待されている子どもに、よく見られる傾向です。が、この際、この傾向を利用して、外で他人のために働いてみる経験をさせて、幼稚な甘えた生活態度を改めていく手がかりにしたいと思います。普通は、家族の一店としての心情と責任が持てるようにとって、社会の一員となる手がかりにするわけですが、これを逆にしてみる。というのも、お子さんが青年期だからです。
 先日も、ラジオで、わがままで非行歴もあった少年が、夏休みに障害をもった子どもたちのキャンプで奉仕活動をし、自分の甘えがとれて、少しは成長した感じだと話していましたが、その中に子どもとの触れ合いのよろこび、愛情、誇らしさがにじみ出ていました。
 家族が、子どもの問題に手を焼くとき、社会の力を借りてみるのはいい方法です。子どもは、家庭人としても社会人としても伸びていきます。

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