家庭のルールと躾

 子どもが、多少なりとも、相手の立場や気持を考えて行動することができるようになったら、ルールは作れます。その多少なりともという年令が三、四歳です。
 そして、この年令は、友だちづきあいが活発になり、また、そろそろ幼稚園などの集団生活への準備を考えるときでもあって、ルールとはなにか、なぜ必要か、などを教えるのにぴったりの時期だと思います。
 ただ、あまりルールが多過ぎると、緊張感も高まり、ふんわり温かい家庭のムードがそこなわれる恐れがあります。
 まず、お子さんが気楽に守れそうなもの、また、なければトラブルの起きそうなものから作っていき、決して無理をしないのがよいでしょう。

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 大家族だった昔の家庭は、民主的に家族の意見を出しあってルールを作るという習慣はなく、家長、あるいは先祖伝来の家訓によって、家族みんなの従うルールが作られていたようです。まあ、大勢で意見を出し合っていたのではいつまでも決まらないといったこともあったのでしょう。そして、少人数の核家族はルールがなくても、たいした混乱も起こらず、ルールの必要性も感じない。
 しかし、できることなら、どこに、どんなルールが必要か、子どもたちも含めて考えさせ、決めたいと思います。その方が、小さな子どもにも、ルールの必要性や効用がよく理解できますし、自分の作ったルールなら、抵抗なく守ることもできます。
 「ぼくはテレビの見方のルールを作ったらいいと思うよ。いつもけんかみたいでしょ」「わたしはね。外から帰った人は、自分の靴を自分でしまうように決めたらいいと思うの。だって、ママいつも一人でかたづけてるもん」
 だいたい、ルールが必要な場は、家族が共同で使うもの、家族が共通してやることなどが多いものです。そして、みんなで、共同、共有、共通しているから、トラブルも起こり、ルールが必要になる。家庭で混乱が起こらないのは、だれかが遠慮したり、サービスしたり、交通整理をしたりしているせいだと気付かせましょう。
 もし、幼稚園や遊園地だったら、二つしかないブランコは「順番を守る」というルールが絶対必要だということを考えさせて、ルールを決めてください。
 このルール作りの過程そのものが、躾です。
 家庭内のルールというのは、集約すると、だいたい二種類になってしまいます。
 一つは、家族としてしなければならないこと。例えば、家にいるなら食事は必ず家族と一緒にとるというように。
 もう一つは、してはいけないこと。例えば、夜、遅く起きていて、ほかの家族の睡眠を妨げるようなことはタブーというように。
 子どもは、小さくても人の感情の動きには敏感ですし、その見通しも確かですから、ルールの底にある人の感情、人へのいたわり、思いやりをよく説明してやれば、ルールを尊重するようになります。
 ただし、融通はききませんから、大人が当惑するようなこともよく起こります。「ママ、あの人、何か食べてるけど、歩きなから食べるのはいけないのよね。ほら、この人よ」などと、ゆび指したりして。こんなときは、ひとりひとりの人間の異なる事情を話してやり、例外についても理解させる必要があります。杓子 定規の石頭では、ルールは守られても、人間を押しつぶしてしまいかねません。
 「社会はルールの束だ」と言った人がいますが、まさに、それで秩序を保っている感じがします。子どもは、小学校四年生ごろから、簡単な社会のルールを理解し、それに従って自主的に行動できるようになっていきますが、そのためには、析にふ れ、社会のルールについて教えておく必要があります。
 お母さんが、その気になれば、外出のたびにたくさんのチャンスが与えられるでしょう。
 現代は、個人の自主、自由が大切に考えられている時代のせいか、家庭の中でも、禁止のルールが少ないと言われます。現代の子どもが、ささいな要求不満に耐えられなくて、オーバーな反応をすることも、このことと関係があるような気がします。
 家庭にも社会にも禁止のルールはあるのが当然で、これで平和と秩序が保たれているわけです。
 子どもに対しても、いちいち「ダメダメ」と叱るより、禁止のルールを作り、自発的にそれを守らせる方がずっとスムースにいきます。
 さらに、それにより、耐えることを身につけたり、あるいは、他の方法を考え出したり、子どもなりに成長していきます。当然、自主性も育ちます。
 また、禁止のルールを作るなら、「なぜ、いけないのか」と「どうすればいいのか」を教えておくことも忘れないでいただきたいものです。
 ある時、バスの窓から手を出して遊んでいる子どもに対して、運転手が「手を出さないでください、危ないから。それが規則です」と注意しました。と、そばのお母さんが、子どもに向って、「ほら、だめって言ってるわよ。運転手が怒ってるんだから、およしなさい」
 これでは、もし、運転手が黙っている時は、手を出してもいいみたいに受けとれます。こんな指導では、せっかくの危険防止のルールも形無しです。
 実際の場面で、ルールの意味や必要性をきちんと教えなければ、それに従う意欲は芽生えません。

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