家での手伝い

 子どもというのは、総合的、全体的に気を配ることが難しいようです。一つのことに一生懸命になると、ほかのことには気がまわりません。なかでも、成績がいいと褒められたり、勉強の好きな子が即いい子のように言われたりすると、自分は勉強好きで、成績がいいのだから、それ以外のことはしなくてもいいというような気持になります。
 この点、周囲の人も気をつけて、人間の価値は成績できまらないことを分からせるような働きかけが必要です。
 また、頭のいい子は、手前勝手な理屈を考え出して「家の仕事は、お母さんの仕事でしょ。わたしの仕事は勉強だから、それさえすればいいのよ。もし、お母さんの仕事を手伝ってもらいたいなら、お金を払ってね。そしたら、してあげるから」などと言う子も珍しくありません。が、この躾は、一人前になるための大切な課題ですから、その点を理解させていただきたいものです。

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 一般に、幼児期で自分の身のまわりの管理を練習しますが、これが、一応、小学校低学年ごろに完成します。
 次が、家族の一員としての役割と責任を学ぶ時期で、これが小学校中学年ごろの課題。ちょうどお子さんの年令です。
 その後、社会の一員としての役割と責任も学んでいって一人前に近づくわけです。
 だいたい、躾は、子どもの発達に合わせて、次第にレベルをあげると共に、その範囲も広がっていくのが普通です。自分のことから、家庭のこと、社会のことと広がるわけです。
 そして、小学校中学年ごろは、意識の面でも、能力の面でも、家庭内の大半の仕事がこなせるといわれています。したがって、できないのは、やらせていない証拠とも言われます。
 そして、家庭の手伝いには、三つの目標があります。お子さんに伝えてあげてください。
 第一は、家族の一員としての自覚を育てること。家族と心を通わせ、仕事を分担し、協力、共同して家庭をもりたてていく意識です。手伝いもしないで、サービスだけ受けるのは、家族のメンバーとして失格です。一体感、連帯感が大切です。
 第二は、将来、家庭を築き、生活していくための生活訓練、技術訓練として手伝いがあります。他人にもたれかかっていては、自立とはいえません。
 第三に、手伝いとは、働くこと、労働の練習でもあるのです。なにしろ、人は働かなければ生きてはいけない。で、質のいい労働とは、誠意のある労働とはなにかを、手伝いを通して考えておくことが大切です。
 意外にも、子どもは、毎日暮らしているわが家にどんな仕事があり、それをだれが、どのようにこなしているかを知らないことがあります。
 そこで、家庭内のこまごまとした仕事までリストアップして一覧表を作り、お子さんに見せてあげてください。リストにしてみると、家庭には驚くほどたくさんの仕事があるものです。
 その表の中から、お子さんがしてみたいと思う仕事を選び、やらせるわけです。仕事は多過ぎず少な過ぎず、一定期間で回転させて、いろいろの経験ができるように計画するのがいいでしょう。
 また、毎日きまってする仕事、曜日によって変わる仕事、来客時などの不意の仕事、いろいろありますが、学校と遊びの合間をぬっての仕事ですから、だい たいは定期的なものの方が歓迎されます。
 また、新しい仕事を与える時は、仕事の内容、使用する道具、注意する点、うまくやるコツなどを教えて、まず、お母さんがやってみせます。質問も受けて、理解できたら子どもにやらせます。最初は手をとって指導し、一通りやれるとみたら、一つの仕事を丸ごとまかせてしまうのがコツです。お母さんの助手や半端仕事はいやがられます。
 この年令なら家庭の仕事は一通りやらせてみるべきですが、特に食事の仕度、食後のかたづけ、買い物、掃除、洗濯、寝具の始末、簡単な器具の修理や整備、留守番、動植物の世話、ベビーシッターなどはぜひここでやらせたい仕事です。
 手伝いもお金に換算したいという考え方は、前述の手伝いの目標が理解できていないからでしょう。が、おこづかいを与えているならお金は出さないこと、一家庭の仕事は、みんなが報酬などもらわないで働いているのです。それは、家族だからです。お金をもらっては、助け合いにも、支え合いにもなりませんと話してください。
 ただし、お駄賃は与えなくとも、かならず与えてほしいものがあります。それは、家族みんなの感謝とねぎらいの言葉です。「ありがとう。お母さん気になって仕方がなかったんだけ ど、忙しくてできなかったの。日曜日、お客様がいらしても、もう大丈夫。こんなにガラスがピカピカになったんですもの。お父さん、見てやってください。大したものでしょ」というように。
 自分が家族のために役立てた、お母さんがあんなによろこんでくれたという体験こそ、お金とは比べものにならないよろこびです。
 子どもは、この言葉から、自信と誇りと意欲を汲みとります。これがなくては次の手伝いの意欲は生まれません。
 もちろん、一年に一、二度は、析を見てねぎらいのご褒美を出すのはかまいません。また、中高生などに特別プロに頼むような仕事をさせた時は、その出来具合に応じて、報酬を支払うこともありますが、全く例外的なことです。

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