勉強と手伝いの問題

 勉強第一で、手伝いは後まわしの風潮が、すっかり世間に広まって、テストが、宿題がと言われたら、親は黙って何でもしてやってしまうのが普通になってしまいました。
 人間として生きるためには、勉強だけでは不充分と思っている親でも、入試のこと、就職のことを考えると、つい、勉強、勉強と言うことが多くなります。長い間、親のそんな言葉を間いて育った子どもは、人間の価値は成績できまると錯覚しても無理ないことかもしれません。
 それに、親を見ても、昔ほど忙しがってはいない。昔は、忙しさのあまり不幸にも子どもが労働力として当てにされていたほどでした。勤め人が多く、家業に真剣に取り組んでいる親を見ることも少ない。家事も機械化された結果、母親の関心は、家事からはなれ、どんな文化講座を受講するかだといわれます。だから、昔のように特別しつけなくとも、親の忙しい生活を見せれば、自然、手伝いをすると夕力をくくってはいられません。
 発達に応じて、それなりの働きかけと指導が必要です。六年生くらいならかなりのことが理解でき、実践にも移せます。
 まず、理解させたいのは、自立、独立の問題。人間は家庭や社会を築き、それを運営していますが、よくみると、家庭や社会という神輿を担ぐ人と、神輿にぶらさがっている人がいます。なかには、担いでいるつもりでもたれかかっているだけの人もいます。自立、独立とは、担ごうというはっきりした意識をもって、担ぐことなのだというような話を聞かせてあげてください。そして、勉強も手伝いも、いわば、ちゃんと神輿が担げるようにする練習であるということも。
 もう一つは、家族とは、強い一体感で結ばれて、心理的にも実際の生活面でも、支え合い、分け合い、助け合っていく連帯感でつらぬかれているものだということも話してあげてください。
 学校の勉強の内容が理解できるなら、この程度のことは充分理解できるはずです。ただ叱ったり、こぼしたりでなく、親 が本気になり真剣に話してやる態度が大切です。

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 「ねえ、ママ、第三土曜日はガラス拭きときめてあるけど、月曜日はテストなの。ママ、代わってやってくれない」と言われると、たいていの親は、成績はガラス拭きより大切、一回くらい代わってやったからといって働く気がなくなるわけではない。代わってやろうと思うのですが、そう簡単に引き受けては困ります。
 テストを予告されたのは何時か、テストまでにまだ何日あるか、日ごろどの程度勉強しているか、もし、ガラス拭きをしなかったらどれはどの成績がとれるのか、それが人間としてどんな意味があるかなど、多方面から考えさせてみようではありませんか。
 例えば、テストの予告は四、五日前だった、テストの日までまだ三日あるとしたら、ガラス拭きを代わってほしいと言うのはおかしいと、子どもが気付くはずです。
 多少、恨まれても、反感をもたれても、家族の連帯性について、きちんと了解させてあるなら、心配はいりません。代わることは、相手を当てにしないこと であり、家族としての地位を奪うことですから。
 また、この時、叱ったり、意地悪い言葉を浴びせたりしないように。むしろ、やさしく「ほんとに、仕事とテストが重なるのはつらいわね。ついテストが不安になって」と同情してやること。しかし、同情はしても、代わってはやらない。一度代わってやったら、ズルズルと踏み こまれぱなしになってしまいます。
 親の厳しさとは、こんな時、かわいそうと同情しながら、計画どおり手伝わせることです。厳しさは、叱ることや、罰することだけでなく、こんな場合に、暖く、そして毅然としていることだと思います。
 となると、親としては大へんな忍耐力が必要です。失敗するのは、この忍耐ができないときではないでしょうか。
 毎日の家庭内の仕事は、家族が分担すれば、一人当たりは大して時間のかかるものではありません。が、一人ではかなりの量となります。
 これを、少しずつみんなで分けて責任をもちます。子どもの練習には、家事一覧表でも作成して、あれこれと仕事を変えてやらせるのもいいでしょう。これが定期の仕事です。
 きまっているので、工夫しだいでいくらも勉強と両立させることができます。
 次に、家庭には、一週間に一回、一か月に一度というような、定期の仕事もあります。ガラス拭き、草取り、大掃除というようなものがこれです。これも早くから予定がたつわけですから、割り振って、勉強の合い間にさせてみるのがいいでしょう。いずれも両立するはずです。
 以上、二つの外に、家庭には予測できない不定期の仕事が、かならずといっていいほどにあるものです。病人が出た、来客があった、台風に見舞われたというような種類のもの。
 この場合、どんなに勉強にくい込んでもやらせてみることが必要です。というのも、人生の不慮の出来事に、泣きごとなど言わないで、立ち向かっていく力も身につけさせたいからです。そのためには、日ごろから心の準備をさせておくこと。
 そして、これらの仕事は、いずれも無報酬が原則です。日本の多くの家庭は、日ごろ、無条件で、おこづかいを与えているのですから。
 むろん、アメリカの家庭のように、こづかいは与えないで、仕事をさせて報酬を支払うというのも一つのやり方です。
 いずれにしても、「ありがとう」という家族の感謝とねぎらいは、たっぷり与えてやりたいものです。

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