無駄使いをする子

 お金をはじめて手にしたとき、子どもはまず使うことからはじめます。貯金することからはじめる子どもなど、いるわけはありません。
 子どもは自由に使えるお金のあることがうれしくて、衝動的に何でも買ってしまいます。買った品物よりも、買うことの方に興味があるといった感じです。
 しかし、小遣いには限りがあり、ほしいものを全部手に入れることはできません。このことに気づきはじめると、途端に、お金の使い方は慎重になります。
 いわば、無駄遣いの失敗の経験が、子どもを教育してくれたというわけです。もし、いま失敗させないで、大人になり、その時失敗したとしたら、その結果は大へんな悲劇を招くかもしれません。ここでも「小さなケガを恐れると、大きなケガを招く」と言ういましめは通用しそうです。「小遣いなんか与えたのがいけなかったのでは」と、お母さん達は反省していらっしやいますが、むしろ、一年から与えていらっしやったら、かなり上達していたはずです。

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 小遣いがなんとかうまく使えるようになるには、長い練習の期間が必要です。けっして、簡単に上達するわけではありません。
 現在、多くの子どもたちは、小学校に入ると、一定期間に一定額の小遣いをもらうようです。たいてい、はじめは期間も短く、額も少ない。そして、子どもはすぐに使い果たしてしまいます。親からみたら、まさに、無駄遣いという感じでしょう。
 しかし、低学年で無駄遣いやその他いろいろの経験をした子どもは、三、四年生になると、こんどは、逆に、貯金に興味をもつようになります。なかには、 兄弟から惜りて、貯金箱に入れ「こんなに貯まった」などと自慢している子どももいます。
 また、こづかいの計画的な使い方をしつけるため、このころに学校でも「小遣い帳」の記帳を指導しますので、子どもも一応興味はもちますが、まだまだ本来の意味の小遣い帳として役立たせることは難しいようです。私の子どもなども、そのころ、小遣い帳に、なくなった、とか、出てきた、とか記入していて大笑いした記億があります。なくなったというのは、何に使ったとも思わないのにお金がなくなった場合、出てきたというのは、机の引出で偶然見つけた場合だと説明してくれました。
 まあ、この時期は、その都度、親と話し合って、小遣いについての基本の考えを身につけさせていくわけですから、珍事も大いに結構、楽しいじやありませんか。
 そして、この浪費型の低学年から、貯蓄型の中学年が終わる と、なんとかバランスのとれた使い方のできる高学年に入ります。この時期はかなりのリアリストで合理主義、人とお金の微妙な関係も分かってきて、かなりよく考えて、貯めたり、使ったりしています。
 ところで、はじめてこづかいを手にしたお子さんは、経験からいえば、まだ低学年の段階。パツパと衝動的に使ってしまうのも当然です。いろいろ注文をつけるのはかわいそうな気がします。
 貯金までしているよその子は、きっと、無駄遣いの時期を卒業したのだろうと思います。あわてないで、お子さんの成長を待ってあげてください。
 小遣いを手にしたら、すぐに買物に走るという時期を過ぎると、子どもも少しずつ考えるようになります。
 子どもにこんな様子が見えはじめたら、親が相談にのってやるのがいいでしょう。
 まず、子どもにいろいろの場合を考えさせてみます。
 一定の小遣いを長く持たせるためには、日割か、週割にして、きまった額しか使わない。でも、この方法は高いものは買えないと気づくでしょう。
 小遣いを全部使えば、高い物は買えるが、あとの長い日々をがまんしなければなりません。
 この両極端の二つの方法をどのように変化させ、組合わせるかを具体的に話し合ってみることです。
 この時、子どもの失敗の経験がものを言うはずです。いままでの買物を調べさせ、考えさせるのも一方法です。
 その結果、子どもが小遣いをよく考えて「計画的に使う」ことの必要性に気づけば、一段階成長します。
 高価な物を買うために、計画的にお金をためる。
 よい物を選んで、無駄な使い 方をしない。
 子どもは、だんだんそんなことを考えるようになります。
 しかし、この出発点は、使ってみること。使ってみた結果から、子どもは考え工夫するようになるのです。
 「大事な小遣いで、こんなくだらない物を」と、叱りたい気持はわかりますが、子どもに与えてしまった小遣いは、子どもに所有権があり、使い方もその範囲内なら、自由です。
 自分で考え、選択し、決断する。失敗しても苦情の持って行き場もない。この体験が、自主性と責任を育てます。
 だから、親は同情しても、けっして小遣いを追加してはなりません。
 ただ、ここで親として知っていてほしいことは、大人が無駄遣いと思う物が、その時、子どもにとって価値のある物かもしれないということです。とくに、子どもが興味を持って使っているなら必要で価値ある物なのです。
 また、子ども社会にも流行が あり「みんなが持っている物」は、持っていないと一緒に遊べないこともあります。まあ、子ども社会の入場券です。
 ところで、アメリカの子どもは、こんな躾を受けています。「あなたの一年分の小遣いの一日分を、もっと生活が苦しい人たちに寄付してあげましょう」そして、多くの子どもは、それを誇りをもって、実行するようです。しかも、その小遣いは、家の仕事や近所の家の仕事をして手に入れたものなのです。これを思うとき、私はいつも、日本の小遣いの躾に忘れ物があるように思えてくるのです。

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