高価な物の与え方

 現代の親の中には、ほしい物をがまんした体験があって、自分の子どもには、あんなかわいそうな思いをさせたくないと、ねだられると、自分の生活を切りつめても、高価な物を買い与える人がいます。これは自分の過去に対する痛ましさであり、不満であって、子どもとは関係ないわけですが、ついつい甘くなります。このような心理を代償的満足などと呼びますが、これでは子どもはスポイルされてしまいます。
 そこで、子どもが高価な物をほしがったとき、いくつかのチェックポイントをきめておき、親と子でその線にそって話し合ってみることが必要です。いわば制限条項といったところです。
 物を買うにはお金が必要です。ほしい物が高価であればあるほど、たくさんのお金を用意しなければなりません。チェックポイントの第一はこのお金です。
 誰のお金を使って買うのか、いわば出どころはどこかが問題です。もし、子どもがそれだけのお金を蓄えてもっているなら、このチェックポイントはOKと言うことになります。最近の子どもには、かなりのお金持がいて、十万円もの貯金をしている子どもも珍しくありません。なにしろ、お年玉の平均が、小学校四年生〜六年生で一万七千五三〇円ですから、高額の買物指向もおして知るべしでしょう。
 しかし、親の家計から出してもらって、高価な物を買いたいとなったら、考えさせなければならない点があります。
 その一つが、一人の子どもが高額な買物をすることで、家計を圧迫しないか、他の家族ががまんさせられるのではないかという点。
 さらにつっこんで考えさせれば、家庭が、あるいは家族のだれかが、もっとさし追って必要な物がありはしないかという配慮。
 お子さんは、もうじき青年期です。この年令で、他の家族との連帯を考えないのは問題でしょう。
 しかし、家族もそれを必要と認めたが、実際には、子どもの貯金も不足し、家計にもゆとりがない。としたら、残る方法は、購入を延ばすことです。貯金を増やすように計画し、励ましてやるのがいいでしょう。家庭内で特別の仕事をさせて、報酬を支払ってやるという形で助けてやるのもわるくありません。

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 すぐに壊れる安物をたくさん買うより、高価でも、質のいい物を購入して、大切に長い間使うというのは、教育的に見ても、生活的にみても、また経済的にみてもいい方法です。
 ただ、問題はそれがほんとうに必要か、果たしてその高い代価を支払う価値のある物かどうかという点です。
 人はだれでも、自分の考え方や興味に合った個性的な生き方をすることが、幸福な生き方だと言われていますから、たとえ高価な物でも、その子どもの個性にぴったりで、満足感が大きければ、いい買物をしたことになります。
 ですが、現代は物の豊富時代ですから、だれでも自分の個性に合った品物の一つや二つを持っていないわけではありません。その点、求めようとしている物が、ほかに類似の品物がないようなユニークな物かどうかも考えさせてみる必要があります。
 子どもたちに質問してみると「そっくりの物が家にあったのに、また、買ってしまった」「まだ使えたのに、新しいのを買ってもったいないことをした」「よく研究してから買えばよかったのに、衝動的に買ってしまったが、あまり使いよくない物で放ってある」などと、高価な物をよく調べてもみないで購入したことを、自ら反省しています。
 クリスマスを一か月後にひかえたロンドンの街では幾組もの親子が、日曜日に閉っている商店街を歩いてウインドーショッピングをしている。美しくおもちゃが並べられたお店には、人影はなく照明だけが華やかです。どの親子も、ぺったりと額を窓につけて、熱心に品選びをしているのですが、その一組に尋ねてみると、「夏休みごろから、こうして、クリスマスに何を買うかを調べて歩いているんです。このときが、一番楽しくて、買ってしまったら、楽しみは半分になる」と、言うのに、恐れ入ったことかありました。
 これと比べると、私たちは子どもに、大して研究もさせず、調べさせもせず、ポイボイと買い与えている感じです。
 いろいろ無理算段して高価な物を手に入れると、つい他人にみせびらかしたくなるのは、子どもとしてはごく自然の気持でしょうが、無理算段しようにも、できない事情の子どももいれば、無理算段したのに手に入らなかった子どももいるかもしれません。
 その三は、このときの友だちや兄弟との関係を検討してみることです。
 流行の先頭に立ちたがる子どもには、それにより注目を集め、優越感にひたりたい気持があるかもしれません。その裏には、競争心や劣等感や嫉妬などの歪んだ問題がひそんでいないともかぎりません。親も子も共に考えてみなければならない点でしょう。
 また、それまで問題がなくとも、高価な物を持つことにより、優越感をもったり威張り散らしたり、友だちが気嫌をとったりと、新しい問題が起こってこないともかぎりません。
 特に兄弟間の対抗意識をあおりたてるような危険性のある場合、あるいは不均衡を招くような場合は、よく考えさせて、ブレーキをかける必要があります。

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