訪問のとき

 友人宅でも、用件があって人を訪ねるときは、小さな子どもは連れていかない方がいいでしょう。そのためには、日頃から、子どもを預けたり、預かったりし合える間柄の人を探しておくこと。もちろん、ベビーシッターのようにお金を支払って預ってもらうのも一つの手です。
 しかし、急な用ができて、そんな手の打てない時は、玄関先で用をすませて、あがりこまない方が無難です。また、玄関先なら、決して長話はしないこと。大人が話に夢中になっていて、子どもが退屈して道路へ出ていったのに気付かず、交通事故にあった例もあります。
 電話や手紙で用が足りるなら、なるべく子ども連れではいかないこと。これは子どものためでもあるのです。
 というのも、幼児は環境の変化にすぐに適応できないので、興奮したり、不安になったり、緊張したりで、日ごろ家庭でやらないような変わったことをやる恐れがありますから。一度珍事を起こすと、子どもはますます緊張し、不安を抱きますし、相手の大人もおかしな先入観を抱かないともかぎりません。
 子どもを他家へ連れていくためには、それより前に、近所の遊び場で他人に慣れさせたり、友だちの家へいってみたり、デパートなどの人混みにも連れ出したりして、世間に慣れさせておくことが必要です。なかでも小さい子は、暴れん坊で横柄ですから、他家へ連れていくには不向きな年代でしょう。

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 親しい間柄の家庭でも、子ども連れで訪問するときは、かなり前に連絡して、その心づもりをしてもらうのがよいでしょう。とくに、子どものいない家庭には、はっきり、大切なもの、壊れやすいものなどをかたづけてもらうように頼んでおく方がお互い気が楽です。
 また、子どもの扱いに慣れない人は、とかくサービス過剰になりやすいですから、その点もあらかじめ話し合っておいた方がいいでしょう。なにしろ、幼児は大げさに歓迎されると、興奮して常軌を逸した行動をとることが多いもの。さりげなく扱ってもらうように頼んでおくのが無難です。
 さらに、子どもの客には、とかく食物がたくさん出ますから、大皿に盛らないで、めいめい皿に付けてもらうこと。片っぱしから手をつけて、親が後始末に困ることがあります。
 また、親が子どもに注意している時に、子どもの昧方にならないようにと頼むことも忘れずに。タブーがあるなら、最初に言ってもらいましょう。
 しかし、こんなことを頼めない間柄なら、幼児を連れていくのは不向きです。もちろん、相手が特別の子ども好きなら話は別です。
 どんなに親しい家庭でも、たまに訪問するなら、子どもには不慣れの家ということになりますから、準備をしてから出かけること。
 まず、退屈して騒ぎ立てられないための準備として、とっときのおもちゃを持っていくことです。
 次に、にわか仕込みはやめることです。日頃躾不充分な親ほど、いざ訪問という直前になって、あれこれ急に仕込みたがるものですが、これは子どもに緊張感や不安息を与えるだけで益ないものと思っていただきたい。
 家でやったこともないようなマナーなど急に仕込んでも、かえって、不慣れの失敗を増やすようなものです。子どもによっては、失敗して笑われ、訪問嫌いになることもあります。
 「お家でいつもしているとおりでいいのよ」と、安心させて連れていく方がいいでしょう。
 とはいえ、予期しない失敗は子ども連れにはつきものです。ハンカチ、タオル、ティシュ、ポリ袋、着替えの下着など、一通り用意して出かけたいものです。
 要するに、親の準備が大切なのです。
 子どもが騒ぎ出したときは、部屋の隅や部屋の外へ連れ出して、子どもの肩を抱くようにして、しっかり子どもの眼をみつめながら、本気で言ってやることです。「よそのお家へお客様できたのですから、よその人をいやな感じにしないようにしましょう。走りまわらないで、持ってきたおもちやや絵本を見て静かに遊びなさい」と。
 こんなとき、「いやな子」などと笑っていると、子どもは親が面白がっていると思い、やめようとはしません。
 また、興奮しているときは、黙ってじっと抱きしめてやるのもいいようです。
 失敗をしたときも、親がむやみと騒ぎ立てるのは感心しません。「すみません」「失礼いたしました」と、親もお詫びを言い、子どもにも詫びさせて、すぐに子どもにも手伝わせて後始末をすることです。大声でしかるよりも、その場に合ったしつけをする方が、訪問先の人にも 感じよく受けとられます。
 騒ぎ立てる子どもとは逆に、気が小さくて不安な子には、「ママがしているように、よく見てやってね。分からないことは、そのとき聞いてね」と安心させて連れていきます。
 そして、子どもがまねしやすいように、親が手本を示してやります。そして、子どものしていることに合わせて、言葉を添えてやります。「いただきます」「ありがとう」「ごちそうさま」「お先に」というように。子どもは、これにより、よそいきの言葉と動作を結びつけておぼえていきます。

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