共働きの家庭の躾

 家庭も、子育ても、仕事もとがんばる女性には、意欲的な人が多い。が、これが子どもに向けられると、つい期待的、強制的になるようです。母親が仕事をしているからといって、他人にとやかく言われるような子にしたくないというところでしょうか。
 となると、貴重なふれあいの時間を、うるさい注文や催促でつぶすことになりかねない。これでは、母親の帰宅を楽しみに待っていた子どもは、期待外れでがっかりしてしまいます。
 教育も大切、躾も大事にはちがいありませんが、なにはともあれ、帰宅したら、まず親子の親密なふれあいを優先させることです。
 といっても「かわいそうに、寂しかったでしょう」と、慰めにお土産など買って帰るのは見当ちがいです。子どもはお土産よりじかのふれあいを待っているからです。
 そこで、帰宅後は家事をしながらでも、話を聞いてやり、相手になってやり、短時間で心の渇きをいやしてやることが大切です。親子の心が通いあっていれば、子どもは敏感に親の願いを汲みとり、親を見習って伸びていきます。

スポンサーリンク

 時間がないから、躾が充分できないと考えるのは、少々早とちりです。時間がたっぷりあって、一日中親があれこれ言ったら、子どもはうるさがって逃げ出してしまいます。むしろ、親の指導は短時間に、本当に必要なこと、大切なことをしっかりと仕込むのが、躾上手というものです。
 共働きの親は、だれでも忙しい時間の中で、何をしつけるかの選択に真剣になります。これがかえって躾にプラスになり、学校の先生方に聞いてみても、共働き家庭の子どもはしっかりしていて頼もしいと評価されています。
 そこで、親自身で考えて「人間としてこれだけは大切」と思うものをしつけることです。家庭教育にはきめられたカリキュラムなどないのですから、親の人生観、価値観に従って考えてください。
 例えば、人としての善悪の判断、他人への思いやりや暖い関係、自力で生きられる生活技術、働くことをいとわない気持、家庭を管理する練習、自分の個性や価値を見つけだす努力など、子どもの年令や能力に応じ自由に考えてやることです。
 ただ、時間にゆとりがありませんので、しつける時は、最初に、ひとつひとつていねいに基本を仕込むことです。きちんと基本が分かっていれば、応用へと子どもが発展させていくはずです。
 長年共働きをしながら、見事に子どもたちを育てあげたベテランママたちに尋ねてみると「親子でルールを作り、それに従って、各自が自分をしつけていくようにする。ただ、実際的なサンプルが必要ですから、親がまず、そのルールを守って実践してみせてサンプルになるのです。自分のことは自分でと決めたら、親も子も同じにそれを守ります。父親も、気の毒でも、何でも自分でしてもらわなくてはなりません」と口々に話してくれました。
 この場合、指導は親がしても、そのあとの監督者はルールであり、子ども自身というわけです。サンプルの親もルールに従ってみせるわけです。
 そこで、ルールを決める際には、「なぜこのルールが必要か」をとことん子どもに納得させ、それに従わないときどんな結果になるか、できれば実際に体験させ、万一、従えない事情のときは、どんな処置をするかまで徹底させておくことです。
 毎日家にいる母親の躾と比べ、ちがうところはここでしょう。自主管理なのです。
 また、ルールは具体的、実際的であること。単なるお題目では役立ちません。
 母親が留守でも、子どもが全力投球で打ちこめる対象があれば、さして心配はいりません。多少寂しくても、打ち込むものがあれば耐えていきます。むしろ、現代の子どもの問題点は、寂しさにも不自由さにも一人で耐えてみる経験がないことです。
 したがって、母親が帰宅するまで、学習塾だおけいこ教室だと巡り歩かせることには、大いに疑問があります。これでは、一日中、他人敷設のレールに乗せることになります。
 大切なことは、自力で楽しめること。一人でも遊びを生み出す創造性があること。この創造性こそ、いずれ仕事に生かされるのです。そこで、子どもが熱中していることに、親も関心を示し、大いに支持してやりましょう。子どもは、自分に自信をもち、自分が値打ちのある存在だと思うようになります。
 そして、こんな気持をもっている子は、めったに道を踏み外すことはなく、自分自身の期待に応えるようにがんばります。
 また、お子さん二人で、おばあちゃんを助けて、日常の生活が何でもこなせるようにしつけることです。日常の生活が一通りこなせたら、自分を哀れに思うことはなくなります。おばあちゃんやお母さんと一緒に働かせながら、自力で生活できる力を養わせてください。手伝わせるより、一つのことを任せて責任をもたせる方がいいでしょう。
 一方、突発的な事態が起こったとき、だれに頼み、助けてもらうかなど、話し合ってきちんと分かりやすく準備しておいてください。頼む人とは、日ごろから連絡をとりあって、お互いに気心を通じさせておくことです。

躾とは/ 躾と発達段階/ 家庭の躾・学校の躾/ 上手なしつけ方/ ほめ方について/ 叱り方について/ 体罰/ 過保護と放任/ 箸の使えない子/ 食卓のマナーが悪い/ 偏食、小食/ 食事の遅い子/ 排泄のしつけ/ おもらし/ 夜更かしと睡眠のしつけ/ そい寝について/ 物をしゃぶりながら寝る子/ 衣服が汚れても平気な子/ 脱ぎ着のしつけ/ 片付けのしつけ/ だらしのない子/ 友だちの物を平気で使ったり、持ち帰ったりする子/ 子ども部屋を作るとき/ 時間にルーズな子/ あいさつの躾/ 目上の人に対する言葉と態度/ 家族の一員としての躾/ 家庭のルールと躾/ 家での手伝い/ 勉強と手伝いの問題/ 小遣いの与え方/ 無駄使いをする子/ 物を粗末にする子/ 高価な物の与え方/ 子どもへのプレゼント/ 外での躾/ 公共の場の躾/ よその子の躾/ 他人の奉仕を躾ける/ 来客のとき/ 訪問のとき/ 留守番の躾/ 共働きの家庭の躾/ 家の中の事故防止/ 交通事故を防ぐ躾/ 水の事故を防ぐ躾/

       copyrght(c).子育てと育児.all rights reserved

スポンサーリンク