交通事故を防ぐ躾

 うちの子も自転車に乗れるようになったという親の喜びは、また、一つ心配のタネがふえたという裏腹の気持に通じます。自転車の安全教育とは、要するに、交通安全のすべてに係る問題なのです。というのも、自分が安全に乗るだけでなく、歩行者の安全を侵さないようにしながら、さらに他の車からわが身を守らなければならないからです。低学年の子どもの自転車使用を禁止している学校や地域があるのは、このように、交通安全についての多方面の理解や、道路交通法の広い知識を、小さな子どもに期待するのが無理だからでしょう。
 もちろん、地域の事情によって一概には言えませんが、繁華街で人も車も多いとあれば、念には念を入れて指導をし ていただきたいと思います。

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 東京都を例にとれば、およそ八割ぐらいの小学校が、自転車指導をしています。基本のルールはそこで学習するはずです。
 でも、これらの指導は解説中心になりやすく、子どもが実際の経験を通して、からだで覚えていくところまではいきません。まして、それぞれの子どもの性格やクセまで考えて、手をとって覚えさせるのはほとんど無理です。この点は、親が責任をもたねばなりません。
 そこで、ルールを教えたら、親子で実際の道路へ出ていっしょに行動してみます。左乗り降りの意味、正しい乗車のしかた、ブレーキのかけ方、一時停止のしかた、手信号の知識、降車して押して歩く時の通り方、信号や標識、標示に従っての左折、右折、横断のしかた、ベルやランプの使い方、細い路地の出入口での注意のしかた、他の車の動きに注意しながらの乗車 のしかた、歩行者への配慮のしかた、故障したときの扱い方などは、いく度も繰り返して、ルールどおり自然にからだが動くまで練習させてください。
 はじめは親がやってみせる、次に手をとって教えてやらせる、さらに子どもを乗せて、そのうしろから観察して大丈夫というのでなければ、ひとりで乗せることはできません。
 また、危ない地域や混雑する時間帯を避けて、乗せるなどの配慮も必要でしょう。
 調査によると、自分の自転車を自分で手入れしない子どもが約半分。手入れをしない子は、当然のことながら、自転車の機能、点検、整備についての知識も不充分です。
 現在は、幼児期に早々と自転車を買い与える家庭が多いそうですが、幼児期ではこんな指導は無理。そこで、いずれ大きくなってからと考えているのですが、子どもが頻繁に乗り回すようになっても、指導の方は忘れっぱなしです。
 しかし、安全に来るにも、歩くにも、車に強くなることが絶対の必要条件。親が苦手なら、他人に頼んでも、きちんと指導しておくこと。少なくとも、手入れくらいは、親が監督してやらせたいものです。
 そして、出かけるときには、ブレーキ、ハンドル、タイヤ、ベル、ランプ、キーなどを確認してから乗るように、ルーズな子には、ルールを書いてはっておくようにさせましょう。
 また「危ないからね」と送り出さないで「安全のルールを守ってね」と送り出すこと。
 次に強調したいのは、他の車の知識を豊かにすること。大型車の巻きこみ事故など、自転車側に知識があれば防げるはずですから。少なくとも、バックギ ヤが入ったときどこのランプが点灯するか、停車、左折、右折の合図、停車したらドアの近くにいては危険なこと。とくに教えておきたいのは、大型の前部エンジンのトラックでは、前方の六メートルほど、バスでも四メートルほどは死角になって、直前が見えないこと。後方のバックミラーでも見えない死角のあること。また、車輪差を考えないと巻きこまれることなどは、実際の車でぜひ教えておかねばなりません。
 また、横断や右左折の際、運転者が気づいていないときは、危険なことも話しておきたいものです。この種のことは、歩行者になったときにも役立ちます。
 交通事故は瞬時に起きることだから、何よりも機敏さが大切と思いやすいのですが、敏しょうだけでは事故は防げません。何よりも行動を司どる心理状態が問題です。
 不安定で落ち着きのない子、モラルやルールに鈍感な子、他人の立場で考えない子、興奮しやすく夢中になるとほかに注意の向けられない子、人に負けたくない子、外の経験に乏しい子など、日ごろの生活で問題と思われる心理状態が、交通事故とも深くかかわっているようです。
 また、警視庁の資料を見ると、子どもの交通事故は、四月、九月など長い休暇の後で気のゆるみのあるとき、あるいは 新入学、新入園などの道路に不慣れなときに多いようです。環境の変化は心理的動揺につながり事故を招くのでしょう。そこで、この時期には、幾度も実際の道路について学習をし直して、心の準備をさせることが大切です。
 また、安全教育は、小さい時から大人になるまで、道路の事情、交通量の変化、車の種類や機能の変化に応じて繰り返し考え直し、しつけ直していかねばならない問題です。もう卒業と考えないで、たんねんに継続してやっていきましょう。

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