水の事故を防ぐ躾

 幼児の事故では、水死事故が最も多く、交通事故よりも多いのです。したがって、夏だけのことではなく、ふだんからの訪止の心構えが大切となります。
 そこで、水死事故の防止について、次の二つのことを分けて考えてみましょう。一つは事故防止の対策であり、他の一つは事故防止の教育です。水死事故の防止対策防止教育対策とは、設備や取締りのことで、設備は物について、取締りは法律についてのことです。
 つまり、用水池に網を張るとか、川岸にガードレールを作るなど、要するに子どもを水から遠ざけて守る対策です。また、この場所は水泳禁止といった規則を作り、危険な場所に接近することを禁ずることによって、水から子どもを遠ざけて安全を確保しようというものです。
 このように対策とは、物や社会の規則によって子どもを水の事故から守ろうとするものです。
 これに対して防止教育というのは、直接子どもに教育的な働きかけをすることです。したがって、危険について教えることによって、子ども自身が水の危険から遠ざかるようにしつけることです。
 また、かりに溜池や用水に落ちても、自分の力で水に浮くとか、泳ぐなどの能力を身につけさせる訓練をすることです。
 このように、防止教育は、子ども自身に働きかけて、子どもが水死事故を防ぐ注意力、責任感、能力などを身につけて、自分で危険を防ぐ行動がとれるようにさせることです。
 対策と教育の特徴をハッキリさせて指導しましょう。

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 教育や躾というものは、水から子どもを遠ざけるという方針ではできません。遠ざけさえすれば安全という考え方は、対策の特徴で、教育や躾は反対に、水の性質について教えたり、水についての経験をもたせて馴れさせたり、水についての理解を深めさせることがねらいです。
 子どもは水が大好きですから、水から遠ざける対策ばかりやろうとしても、いつかは大人の目を盗んで接近していきます。そして、水の理解が不十分だったり水に馴れない子どもは、抵抗力がないので事故をおこしやすいのです。
 例えば、洗濯機は、水を使いしかも音が出るので、子どもの興味をひきます。子どもからすれば、「ママだけ遊んでいて、僕には近よらせない」という不満が残り、何とかしてのぞいてみたいという好奇心をつのらせます。そしてママのいない時にのぞいて頭から落ちこむのです。
 ですから、躾としては、洗濯機をよく見せてやり、動かない時に水に手をつけさせてやって、好奇心を満たしてやりながら、一人の時、動いている時にはさわってはいけないことを危険さと共に教えます。
 また、用水池やプールなどに連れていってよく見せたり、池の端やプールサイドに立たせて、危ないという体験をさせてみて、落ちないような接近のしかたを練習させる必要があります。とくに土手の土が崩れやすい所とか、草が生えて見えにくい所など、危険な場所をよく見せて、落ちない歩き方を訓練するとよいでしょう。
 幼児には、単にロで「危ない」とか、「近よってはいけない」というだけでは、充分実感のある理解はできないのです。体で体得させることが肝要です。
 水の恐ろしさについて、大人は充分承知しているために、子どもに水に対する恐怖感をうえつけることによって事故を防ごうと考える人が多いのです。
 たしかに恐怖感は水から遠ざける効果はありますが、それでは対策のねらいと同じになり、教育や躾にはなりません。
 恐怖感を抱かせることは、いざというときには逆効果になります。例えば池や用水池に落ちたとき、あるいは浅い川で倒れたときなど、恐怖のために絶望感や極度の緊張感がおこって、精神的に死の伏態に陥り、自分の手も足も動かすことができなくなります。
 この反対に、水に対する馴れ をつくり、水の中に入っても、自分の目でみて、自分の手足を動かせるだけの気持の落ち着きがあれば、水に浮ぶこともでき、また大声を出すこともできて、助けられる可能性が増します。
 とくに水中で水を飲まなければ、気持の動揺もおこらず、岸の草をつかむとか、崖につかまるなどの動作ができるのです。
 泳ぐことを教える前に、頭からすっぽり水につかり、目をあけて水中運動や水中生活の経験をさせて、水に対する恐怖感をなくし、水に対する馴れと抵抗力を養うことが大切ということです。これが幼い子どもの生命を水から守る秘決というのです。
 ですから、赤ん坊からスイミングをはじめることの理論的根拠を「生命を守るため」におくのです。これは家庭のふろ場でもできますし、プールでもできます。水に接近させ、水に馴れさせることによって、水からの危険を克服させるのがねらいです。

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