教職員の意義と範囲

学校は通常は教師が働いているところと考えられますが、現代の学校には教師のほかにいろいろな仕事に携わる多様な職員がいます。教師といっても、校長をはじめ教頭、教諭、養護教諭、司書教諭などがいます。教師以外の職員では、学校運営に必要な事務をする事務職員、学校給食関係の仕事をする栄養士、調理員、校舎や運動場などの生活環境を整備する現業用務職員などが仕事を分担して全体として学校教育を支えています。学校教育法二八条は、校長、教員、事務職員などを職員と総称しています。大学や高等専門学校の場合は、学長、教授、准教授、助手、事務職員のほかに、副学長、講師、技術職員などをおくことができると定められてますが、呼称こそちがえ多種多様な教職員によって構成されていることは同様です。
学校で働く教職員については、学校教育法の職員という規定のほかに、教育職員免許法では教育職員、教育公務員特例法では教育公務員という呼称があるが、教育職員は、小、中、高等学校、盲、聾、養護学校および幼稚園の教諭または助教諭、養護教諭または養護助教諭を指しています。また教育公務員という呼称は、学校教育法に定める学校のうち、国公立学校の学長、校長(園長)、教員、部局長ならびに教育委員会の教育長および専門的教育職員(指導主事、社会教育主事)を指しています。このような規定のうちで、ふつう教職員といえば、学校で働くいわゆる教師と多種多様な事務職員、技術職員など意味するものと考えられています。

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このような教職員のうち教員は、全体の奉仕者として職務を遂行することが求められています。教育基本法六条二項は、「法律に定める学校の教員は、全体の奉仕者であって、自己の使命を自覚し、その職責の遂行に努めなければならない」と定めています。ここにいう教員は国公私立のいかんを問わず、すべての学校の教員を意味しているので、その「全体の奉仕者」性は、公務員の「全体の奉仕者」性とは性質を異にしています。それは、教員の仕事である教育が公共的な性格をもつことと、学校の設置形態のいかんを問わず教育の仕事のもつ普遍性から要請される事柄です。教員の国民全体に対する職責は、教育が「不当な支配に服することかく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」ということから導かれるものと考えられます。
国民全体に対する教員の職責の遂行は、何よりも、子ども、青年の教育を受ける権利を保障することにあります。日本国憲法二六条は、わが国の教育法制史上はじめて国民の教育を受ける権利を明示しました。国民の教育を受ける権利は、国民すべてが学習によって人間的に発達する権利であり、特に成長しつつある子どもにとっては、将来にわたる人間的発達の基底をなす生存権的基本権の一部として不可欠な権利であると考えられます。教員は、国民の基本的な権利としての教育の実現という仕事を通じて国民に奉仕することを職務としているのです。これは、戦後の教育法制のもとでしだいに定着してきた考えで、何よりも教育に関する国家と国民の権利、義務関係の根本的な転換によるものといえます。
教師の中心的な仕事は、子ども、青年の人間的な発達を促し、教育を受ける権利を保障することにあります。教師の仕事の内容は、一人ひとりの子ども、青年の身心の発達をみきわめながら、科学的な真理、真実や普遍的な価値に触れさせ、子どもたちを個性的、創造的な生活と文化の創造主体に育てていくことです。学校教育法二八条は「教諭は児童の教育をつかさどる」と表現していますが、学校での教師の仕事を具体的にみてみると、教科の学習指導をはじめとして、給食、掃除、クラブ、生徒会指導など生活の規律と自治能力を培うこと、子どもの健康と安全についての適切な指導を行うこと、というようにその内容は多種です。しかし、そのいずれもが子ども、青年の人間的な発達に必要なことであり、学校の教職員集団の相互の協力関係のもとでその仕事をすすめていかなければなりません。
教育は、学習によって人間の諸能力を全面的に発達させる営みであり、人間の内面的な自由にかかわる創造的な活動です。そしてそれが子ども、青年の教育を受ける権利の保障たりうるには、教育内容が真理、真実にもとづいて科学的に編成されるとともに、子どもの発達の法則にかなった教育方法の探求が必要です。教師の教育の自由は、こうした教育活動の本質に照らして、国家による教育内容の干渉を排除しながら、人間の諸能力を全面的に発達させる教育実践を創造的に組織する自由です。それは、個々の教師が固有にもつべき自由という側面とともに、すぐれて組織的、集団的な自由であるといっていえます。学校という教育の場における一人ひとりの子どもの発達は、教職員集団全体の教育的な営為によるものであることが、この教師の教育の自由を性格づけています。
教師一人ひとりは教育の専門家でなければなりませんが、子ども、青年の権利の保障のために多様な内容にわたる教育活動が必要であることから、個々の教師が全くその恣意によって子どもの教育にあたるという自由はなく、教職員集団の間での協力的な関係が成立していなくては責任ある教育指導はできなくなります。学校における教育は、すぐれて科学的、組織的、集団的な基礎をもつものです。教職員はそこで子ども、青年の教育を受ける権利を保障することを本質的な任務としているのです。

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