学校施設の意義

学校施設は、広義には意図的、計画的、組織的に営まれる高い教育効果を企図した学校教育の物的環境条件の総称です。狭義には学校における建築物をさし、教具、教材は設備として分別されます。
いずれにもせよ、これらの学校施設は、従来教育という仕事の物的条件として、教育的価値を追究する教育活動そのものとは内在的に無関係で、外的なもの、たんなる道具だというように考えられてきました。いまだに、校舎や教室は「いれもの」としてのみみられがちな傾向が存在します。その一方、学校施設にはお金をかければかけるほどよい教育ができるのであると考えて、寄付行為などを要請してまで、各種施設を整える傾向もあります。これらの考え方は、現象的には相反する様相をもつものですが、学校施設を子ども、青年の発達を目的的に促す、教育的価値実現のための物的条件とし把握する考え方からは外在的であり、学校施設を機械的に把握している点では共通の考え方です。
学校施設をどのように整備するかは、そこで営まれる教育の目的や性格によって規定されてくるものです。子ども、青年に、国民として、未来の主権者として、共通にこれだけの知識、技術、態度、体力を身につけてほしい、そして自覚的能動的で民主的な人格の持ち主に育ってほしいと考えれば、学校生活のなかで、彼らがのびのび、生き生きと主体的創造的に学習し生活していけるような条件と環境を物的にも人的にも整えてやらなければなりません。
日教組は、「教育課程改革試案」のなかで次のように述べています。「私たちの教育課程を具体的に実施する学校規模、一学校建築のあり方を、子ども、青年の人格形成に総合的に働きかける観点で創造的に立案していかねばならないし、その場合に教育課程が要求する設置基準を具体的に明らかにし定めていく必要がある。」
学校施設の整備に、この観点が欠落すると学校施設が教育活動や研究活動の物的基盤であるがゆえに、逆に所期の教育、研究活動を規制し、それらの効果をあげえないばかりかその目的、計画を変更せざるをえない事態をも招くことになりかねないのです。

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一九五三年八月、ジュネーヴで開催された国際公教育会議において各国学校建築計自の方針に関する五原則が次のように決議されました。児童の精神・肉体的発達を保証するように配置計画を立てるべきである。特にクラスの形態と設備とは、児童の発達の各段階に適合すべきである。教室の十分の採光と通風は、健康な児童を育成するのに必要な前提である。学校の建物の大きさと区分も、児童の発達の段階と、各種の学校教育に適合するようにすべきである。野外の学校教育を可能ならしめ、学校庭園と十分な運動場を設定すべきである。学校は全住民の文化的努力に報いるように設置すべきである。それゆえ各地方自治体の学校を、老若すべての人に対する公開の場所とするようにすべきである。
この決議にみられるように、学校はそこに学び生活する子どもや育年の学習権を充分に保障したうえで、さらにすべての地域住民の文化やリクリエーションのセンターとして機能するものでなければならない。それは日本においては教基法七条、学技法八五条、社教法四三条、四八条、スポーツ振興法一三条の各条項の規定するところです。
また災害時における避難場所として住民の生命を直接保護する場所としても要請されています。そのために学校施設は地域住民に利用されやすい工夫が加えられる必要があります。このように学校施設を地域住民に聞かれたものとして整備することは、学校そのものを地域住民の生活と教育への要求に根づかせ、国民の教育権を保障する条件整備としての意義をもつものです。

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