社会教育施設

教育基本法七条は、社会教育の振興のために、国および地方公共団体は、図書館、博物館、公民館等の施設の設置、学校の施設の利用その他適当な方法を講ずるべきことを定めています。ここに示される原則は、戦前日本における社会教育が、もっぱら国民思想統制のための上からの「教化」であったことへの反省に立つものです。すなわち、人びとが自主的で自発的な教育、学習、文化活動を行ううえで自由に活用できる施設の設置、あるいは自律性が保障された教育施設による民衆への教育、文化サービスの提供が、行政機関の任務とされ、教育の内容にわたる指導は行わないとされているのです。とはいえ、社会教育施設の設置状況は、最近こそ増加傾向をみせるものの、なお貧困な状況にあります。

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都市部において最もなじみの深いものは図書館ですが、図書館法の定めるところによれば、国民の教養、調査研究、レクリエーション等に資することを目的とした情報センターとして、充分な図書、記録、資料を有し、専門的力量を有する職員が配置され、無料開放(公立図書館)が原則とされているとともに、読書会、研究会等の住民の教育、学習活動へのサービスが定められていることが注目されます。美術館、音楽堂、動物園、水族館等も含めて広い領域にわたる博物館も、博物館法の定めるところにより、資料の収集、保存、展示にとどまらない教育活動が奨励されています。
一方で公民館は、第二次大戦直後から主として農村地区を中心に普及をみたもので、日常生活圏域内に設置される教育、文化施設である。その施設の構造や、教育活動の形態は多様ですが、運営への住民参加、住民に広く聞かれた利用条件、専任職員(主に公民館主事)の配置の原則が守られている場合には、公民館主催事業も、公民館を利用する住民の学習、文化活動も活発で充実したものがみられます。最近は、人びとの学習意欲の高まりを反映して総合的な教育文化センターとしての期待をもたれて都市部でも設置がふえています。なお、公的な施設としては、このほか青年の家、少年自然の家、婦人会館などがあります。
ところで、社会教育の自主性、自発性の特質からみて、こうした社会教育施設には次に示す二つの意義が確認されなければなりません。
第一には、社会教育施設が、自主的な教育活動を行うために必要な教育的機能と自立的な運営原則をもっていることであり、第二には、社会教育施設の運営は、住民の意思と直結して行われる原則をもっていることです。第一の点についていえば、人びとの多様な教育、文化要求にこたえるため、それぞれの施設の固有な機能が生かされるような、資料、図書、情報の十分な収集と適切な利用体系をもつこと、また、施設の行う教育活動や、施設を利用する教育、学習、文化活動への援助、協力をにないうる専門的力量を備えた職員体制が整備されていることが基本です。同時に行政機構のなかにおいては、ちょうど学校が本来そうであるように自立的な教育文化施設として機能しなければならず、独自の運営方針をもちかつ実際活動を行いうるように職員が組織されていなければなりません。それは集団の支え合いのなかで、住民の学習権の保障を自らの任務として自覚しかつ高い教育的な見識をもつことにほかななりません。従来から、教育施設としての自立性の大切さについての認識を欠く職員が担当した場合に、一般行政部局への従属や住民の学習要求への不適切な対応をするなどの事例が生じています。
第二には、これらの諸原則が生かされるために、住民意思との直結が不可欠です。現行法に規定されている公民館運営審議会が、その本来の趣旨に即して、住民の意思を公平に反映しつつ、基本計画の立案、事業内容の検討、館長任命への意見具申などの機能を果たしていくことはきわめて重要です。

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