社会教育関係団体

戦前の社会教育は、国家権力による上からのイデオロギー教化という官府教化的性格をきわめて濃厚にもっていました。戦後の社会教育は、この戦前の苦い経験から、社会教育を国民による自主的、自発的な自己教育、相互教育ととらえ、国民こそ社会教育の主人公(主体)であるという考え方を社会教育法制の基本にすえました。
社会教育関係団体という言葉は、上述の国民の自主的、自発的な自己教育、相互教育を実質的に保障する手だてとして社会教育法のなかではじめて規定された言葉です。

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同法では、第三章「社会教育関係団体」において、一〇条で関係団体を定義し、一一条から一四条まで、文部大臣および教育委員会との関係、国および地方公共団体との関係等について規定しています。まず一〇条で、関係団体を「法人であると否とを問わず、公の支配に属しない団体で社会教育に関する事業を行うことを主たる目的とするもの」と定義しています。関係団体の要件として、まず「公の支配に属しない」ことが明記されたことは、戦前の半官半民の社会教育団体が戦争体制に容易にまきこまれたことへの反省から導きだされたという意味で、重要な意義をもっています。そこではあくまでも国民の自主的、自発的な自己教育、相互教育の団体こそ社会教育の発展にとって有効かつ適切であって、行政権力の支配する団体は関係団体としてこれを認めないということが明確に示されたからです。
以上の関係団体の自主性の原則は、行政当局との関係においても貫かれています。つまり、一一条において、文部大臣および教育委員会は「社会教育関係団体の求めに応じ、これに対し、専門的技術的指導又は助言を与えることができる」とされ、関係団体からの求めがあったときだけ、しかも社会教育事業の具体的なすすめ方等についての「専門的技術的指導、助言」を行うことに限定されています。行政権力による社会教育への統制、支配の可能性を断ち、社会教育の主人公としての国民の自主性を守ろうとする考え方は、一二条において、「国及び地方公共団体は社会教育関係団体に対しいかなる方法によっても不当な統制的支配を及ぼし、又はその事業に干渉を加えてはならない」と一層明確に表現され、さらに関係団体に対する補助金交付に関して「あらかじめ、国にあっては文部大臣が社会教育審議会の、地方公共団体にあっては教育委員会が社会教育委員の会議の意見を間いて行わなければならない」ことが厳しく条件づけられています。
一三条はもともとは関係団体に対して一切の補助金交付の禁止をうたっていたが、昭和三四年六月、憲法八九条(公の財産の支出利用の制限)にいう「教育の事業」を「教育する者が教育される者を教え導いて計画的にその目標の達成を計る事業」とし、それ以外の事業には公費支出が可能であるという解釈で、現行のように改正されたものです。しかし、一三条は憲法八九条に抵触し、ノーサポート、ノーコントロールの原則に反するという反対意見は今日でもなお強い。行政権力が、補助金交付とひきかえに、講師選定、事業内容の編成等への直接的、間接的介入によって関係団体をコントロールするというケースはけっして少なくないからです。とはいえ、社会教育だけでなく私学教育の今日的実態に即して考えるならば、むしろサポートバットノーコントロールの原則を実質的にどう保障するかという問題が、憲法八九条をふくめてあらためて検討されるべき時鉄がきているといえます。
なお、関係団体の具体例としては、青年団、子ども会、YMCA、YWCA、婦人会、PTA、体育協会、各種グループサークル等がある。

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