教育と自治体

地方自治法上、普通地方公共団体の機関には、大別して執行機関と議会があります。執行機関としては、普通地方公共団体の長のほかに、長からある程度の独立性をもった、合議制をとる委員会および複数をつねとするが単独でも活動しうる複合型機関の委員(監査委員)があり、それぞれに補助機関がおかれています。補助機関とは、執行機関の職務の遂行を補助する機関であり、補助部局ともいいます。都道府県知事にたいする副知事その他の機関、市町村長にたいする助役その他の機関がその例です。現行地方自治制度の構造的特色は、第一に、国における議院内間判に対して首長主義、第二に、執行機関の複数併立を原則とする多元多義の採用です。

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地方議会は、執行機関とともに相互に独立しつつ、原則として、執行の前提となる普通地方公共団体の最高意思の決定機関です。その権限の主たるものは、議決権であって、条例の制定、改廃、予算の決定、決算の認定など法律で制限列挙されておりそれら以外の事項に関しては、各執行機関が意思を決定し、執行します。議会の議決は、普通地方公共団体の意思を内部的に決定するにとどまり、議員の懲罰の議決などを除き、長の表示によってはじめて外部的に効力を生じます。その他の権限として、自治事務に関する書類等を検閲し、長、教育委員会等の報告を請求し、事務の管理、議決の執行および出納を検査し、監査委員に求めた検査結果の報告を求めうるほか、機関委任事務に関する説明要求および意見陳述、地方公共団体の公益に関する事件に関し関係行政庁に意見書の提出、自治事務に関する調査など多岐にわたっています。
知事および市町村長は、長として当該地方公共団体を統轄し、かつこれを代表し執行機関として自治事務および機関委任事務を管理執行するそのほかに、地方自治法一四九条は、長の管理執行すべき事務を概括的に列挙し、法の定めのない場合にも一般的権限を与えています。
 地方自治法が設置を義務づけているものに、教育委員会、選挙管理委員会、人事委員会またはそれをおかない場合は公平委員会、監査委員その他の委員会があるこれらはいわゆる行政委員会の一種です。それは、行政機関として、一部の行政権を担当し、自ら企画、調整、立案等にあたるものですが、「戦後改革」過程を通じ弱体化と解体が促進され、とくに、その構成の方法と内容およびその財政権をも合めた独立性等において変動してきたものです。
普通地方公共団体における行政委員会制度の特色は、一般的にいって、第一に、行政の中立性の確保、高度の技術的専門性、手続の慎重性、関係行政機関相互の調整、利益代表および住民の参加などの要請に応ずべく、監査委員を除き、合議制の機関とされています。第二に、それは、権限内容の執行作用、司法作用および立法作用の全部または一部の混在的性格を有しており、特に、委員会のすべてに規則制定権が与えられている第三に、それは、独立性を特色とします。つまり、法律に特別の定めがある場合を除き、例えば、普通地方公共団体の予算の調整、執行、議会への議案の提出等の一定の権限を有しないが、法令に定められた権限に関しては、長から独立してそれを行使するものです。
長と議会との関係では相互の牽制と均衡とによって公正な行政を期待し、時には、判断を裁判所に委ねます。両者の対立抗争に際し、容易に住民の監視と批判によって、妥当な職務遂行を期待しうる。調整方法として、第一に、長は、議会の議決に対し拒否権を有します。長は、条例の制定、改廃、予算の議決に異議のあるとき、違法な議決、選挙、財政上の異議ある議決などに対し、これらを再議、再選挙に付することができ、特に、違法な議決、選挙については、出訴の途が開かれています。第二に、議会には長に対する不信任議決権が認められ、議決があったとき、長は、通知を受けた日から一〇日以内に議会を解散しうる。期間内に議会を解散しないとき、また解放後初めて招集された議会において再び不信任の議決がなされたとき、長は、その職を失います。第三に、議会の不成立やその他法定の場合や、議会より委任を受けた場合は、長に専決処分権があります。
各執行機関は、その権限に属する事務を自らの判断と責任において管理執行します。しかし、長の所轄のもとに執行機関相互の連絡をはかり、すべて、一体として、行政機能を発揮するようにしなければなりません。そのために、長は、組織、職員の定数または職員の身分取扱いに関する内部管理事務の合理化および機関相互の権衡の保持を勧告しうるが、委員会等が法令にもとづいて行使する権限の内容にまで立ち入り、これに干渉を加えるための総合調整権はなく、指揮監督権も存在しないのです。
議会が原則として普通地方公共団体における最高の意思決定機関であるとはいえ、法的効果を有する諸権限の行使にあたっても、少なくとも、目的の正当性と手段の相当性、合理性との両者について慎重に考慮検討することが必要です。まして、法的効果のない事実上の決議の場合においては、客観的合理的理由のある場合を除き、抑制すべきです。例えば、党派的決定になじまない教育領域においては、特に、不当な支配とならないよう配慮しなければなりません。

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