学校管理規則

昭和三一年それまでの教育委員会法にかわり「地方教育行政の組織及び運営に関する法律」が強行制定されました。この法律は、文部省を頂点とし、任命制教委によって教育における縦の系列を強化し、教育行政の中央集権化と官僚統制を強化するものとして強い世論の非難をあびたことは周知のところです。地教行法三三条は、教育委員会が「その所管に属する学校その他の教育機関の施設、設備、組織編制、教育課程、教材の取扱その他学校その他の教育機関の管理運営の基本的事項について、必要な教育委員会規則を定めるものとする」と定め、この場合「教育委員会は、学校における教科書以外の教材の使用について、あらかじめ、教育委員会に届け出させ又は教育委員会の承認を受けさせることとする」と定めています。これが管理規則制定の根拠です。

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各地教委で制定されている管理規則の内容はおおむね文部省試案に沿ったものです。同試案は「施設・設備に閲する事項」「職員に関する事項」「学級に関する事項」「教育活動に関する事項」「教材教具の取扱に関する事項」等学校管理に関する全般的事項を管理規則に織りこんでいる。東京の場合を例にとるとおおむね次のとおりです。
第一章「総則」で校長および職員は、この規則等の定めるところにより適正円滑な学校管理運営義務を負うべきことを定め、第二章以下で、高校その他の公立学校の物的人的管理について定めています。「修業年限、学期及び作業日」では、振替え授業に関する教育委員会の許可制、臨時休業の報告など、「職員」の項では、校長の職務(権限)として学校教育、所属職員、学校施設、学校事務の管理、所属職員の職務上身分上の管理、所属職員に対する校務分掌の命令など、「教頭」については、校長の職務代行権限と存在と、その条件、内容などを定めます。「教育課程及び教材の取扱」では教育課程編成について「学校」が指導要領および教委規則にもとづき行うべきこと、教育課程の教委への事前届出義務(校長)、学校行事の教委への届出と承認など、教材の選定につき条件を定め、また「準教科書」の使用について使用開始三〇日前までの事前の教委の承認制、継続使用する「学生または学級全員若しくは特定の集団全員の教材」である副読本、解説書、参考書、「学習の過程または休業日中に使用する各種の学習帳・練習帳・日記帳の類」の使用開始一四日前までの届出制などを定めています。校長と教委の権限強化が目立つますが、他県の例をみると、教育指導計画作成を校長の権限とし、また教科書の採択権を教委の権限と明定しているところが多い。なお教頭の法制化や主任制導入などに伴い管理規則を改正しその地位権限を定めているところがでてきています。
これらを通じて特徴的なことは、教育課程編成、準教科書の承認、補助教材の届出、教科書採択などの教育課程管理についての校長、地教委の責任と権限が強化されたこと、校務分掌決定についての校長の権限が強化され、職員会議などできめられていた従来の自主的学校運営のあり方が大幅におさえられていることなどです。また身分的序列関係を明定して上命下限機構として学校の運営管理が志向されています。
公立学校は、地方公共団体の設置管理する営造物であり、市町村教育委員会は、一般論として営造物たる学校の管理後を有すると解されます。したがって教育委員会は管理権の具体的行使に必要な、営造物管理規則たる学校管理規程を定めることができると一般的には解しうる。しかし、このことから、教育委員会の権限が、人的、物的組織を会社、有機体としての学校に対する包括的支配がおよび、特別後力関係が成立すると解すべきではありません。教育機関たる学校における教育は、非権力的作用であり、管理運営は公企業経営の本質をもつというべきであるから、学校管理に関する権限の所在は、公企業の性質により定められるべきであって、一律的に定められうるものではありません。
教育に関する憲法、教育基本法等の関係諸法規や教育の本質、教育条理などを前提として教育委員会の後限や校長の権限が定ってくるのであって、その関係は包括的支配権に服する特別権力関係ではありません。教育の自主性、自律性、教師の教育の自由保障等から、自ずから、学校管理に対する教育委員会の管理後行使には限界が存します。管理規則は、このような原則のもとに制定解釈されなければなりません。教育における教育委員会と校長、教師(教師集団)との関係および校長と教師(教師集団)との関係は、上命下服関係ではなく指導、助言関係にすぎません。したがって、教育の自主性、自律性あるいは教育の自由を侵害する管理規則を教育委員会は制定できないし、またこれを侵害する規則は制定根拠を欠き無効といわざるをえません。教育課程の編成、教科書採択、準教科書、補助教材の採択使用など、教育課程の編成管理後は学校(具体的には教師・教師集団)が有するものであり、行政機関たる教育委員会に帰属すべきものではありません。また、学校における校務分掌などは自主的に職員会議等で定めるべきものであり、校長の職務命令の対象とすることはできます。したがって学校管理規則のなかの教育課程管理等に関する教育委員会の権限条項は、教育の自主性、教育の自由を使すものであると解せざるをえません。また校長の校務分掌命令やその他教育内容にかたる職務命令についても同様です。

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