国の教育行政機関

国や地方公共団体などは、行政主体として、法律上、行政権を自己の名において行使し、その結果生じる法律上の効果は自己に帰属します。国や地方公共団体によって行われる教育行政などの行政作用は、法律や条例によって一定の行政権限を認められた行政機関によって行われます。ここに行政機関とは、行政客体に対し行政主体の行政事務を担当する地位または職を指称する概念であり、行政主体との間において勤務関係に立つ地位における公務員の概念とは異なります。ただ、こうした地位や権限の担い手としての意味における行政機関概念に対して、現行国家行政組戦法は、府、省、委員会および庁のみを国の行政機関とよび、行政機関概念を、内閣のもとにおける国の行政事務配分の単位、または任務の担い手としての意味で使用しています。
したがって、教育行政機関とは、行政客体に対して行政主体の教育に関する行政事務を担当する地位または職を意味しますが、国家行政組織法上では、行政権が一体的かつ統合的に行使する一環として教育に関する事務を担当する内閣および内閣総理大臣を含み、狭義では、教育に関する事務を主として担当する文部省および文部大臣を指します。なお、地方公共団体の教育行政機関としては、地方公共団体の長および地方教育委員会がおかれています。

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行政機関には、行政庁、補助機関、参与機関、諮問機関、監査機関、執行機関、議決機関などの種別が存在しますが、国の教育行政機関に即していえば、最も重要な行政機関であって、行政主体の意思または判断を決定し、行政客体にこれを表示する権限をもつ行政庁(文部大臣)、行政庁の内部部局の機関として、その意思または判断の決定および表示を補助する権限をもつ補助機関(政務次官、事務次官、局長、課長、事務官)、および行政庁に対して、その諮問に応じ、その参考となるべき意見を陳述する権限をもつ諮問機関が存在します。
国の教育行政は以上の各種の教育行政機関によって行われますが、これらは、すべて、内閣を頂点とする一つの組織に統合され、その活動は、最終的には内閣の責任に帰せられています。国の教育行政はまた、地方公共団体の長および地方教育委員会にも機関委任事務として委任されますが、すべて、内閣を頂点とする国の行政組織に組み入れられて、国の行政の一端を担うのです。
内閣は、国の最高の中央行政官庁であって、首長たる内閣総理大臣および二〇人以内の国務大臣で組織される、合議体の機関である。内閣総理大臣や国務大臣は、法律の定めるところにより、主任の大臣として、行政事務を分担管理します。内閣は、憲法七三条所定の事務、その他憲法の規定による権限を行使します。内閣は、行政権の行使について、国会に対して連帯して責任を負います。
したがって、内閣は、国の教育行政事務についてもそれを処理する権限を有する最高の行政機関である。そして、内閣が教育行政事務などの職権を行うのは、内閣総理大臣が主宰する閣議によりますが、閣議において内閣の統一性、一体性を確保するため、内閣総理大臣には、文部大臣などの国務大臣の任免権、内閣を代表しての教育関係法案および教育関係予算の国会提出権限、文部大臣などの行政各部の指揮監督権、文部大臣と他の国務大臣との間の権限疑義の裁定権、文部大臣などの行政各部の処分または命令の中止権などの強い権限が認められています。
国家行政組織法は、内閣の統轄のもとにおける行政機関の組織の基準を定め、府、省、委員会および庁を「国の行政機関」とし、その設立および廃止を法律によらしめています。
同法によれば、文部省などの各省の長は各省大臣としてそれぞれ行政事務を分担管理します。各省大臣は国務大臣のなかから内閣総理大臣が任命しますが、内閣総理大臣が自らこれにあたることを妨げません。委員会の長は委員長とし、文化庁などの庁の長は長官です。文部大臣などのそれぞれの長は、その機関の事務を統轄し、職員の服務を総督します。文部大臣などの各大臣は、主任の行政事務について、法律もしくは政令の制定、改正、廃止を閣議において求めるなどの権限を有しています。
したがって、文部省の長たる文部大臣は、内閣の構成員であるとともに、内閣の下級行政官庁として教育に閣する行政事務を分担管理するという、二重の地位を占めるのです。
国家行政組織法上内閣総理大臣を長とする総理府は、青少年の指導、育成、保護および矯正に閣する関係行政機関の施策および事務の総合調整を行う権限を有し、その事務を行う機閣として青少年対策本部がおかれ、さらに附属機関として、内閣総理大臣の諮問機関たる青少年問題審議会が設置されています。
また、厚生省には、付属機関として厚生大臣の諮問機関たる中央児童福祉審議会がおかれ、日々保護者の委託を受けて、保育に欠けるその乳児または幼児を保育することを目的とする施設たる保育所は厚生省の管轄のもとにおかれている。この点で、幼稚園は、学校教育体系のなかに位置づけられ、文部省の管轄のもとにおかれているので、保育所と幼稚園とは、法制上は別な施設であって、管轄行政庁が厚生省と文部省とにわかれています。しかし、こうした保育所制度と幼稚園制度の二元化に対しては、保育所を子供のたんなる保護機関としてではなく、教育機関として位置づけ、就学前の子供の発達の条件を保障する法制の一元化が望まれています。

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