教育費の内容

地方の学校教育費総額の約半分を占めるにいたっている経費であるが、市町村立義務教育諸学校の校長、教頭、教諭、養護教諭、助教諭、養護助教諭、寮母、講師、事務職員の給与は、教育費の学校設置者負担主義の原則の例外をなし、都道府県の負担となっています。以上の教職員は、身分は市町村の公務員ですが、給与が県費で負担されるため県費負担教職員と称されます。給与費とは給料、各種の手当および退職年金などの総称であり、国は都道府県の実支出額の二分の一を負担します。
教職員給与費の算定基準としては、各都道府県の教職員定数と個々の教員の給与基準との二つの要素があります。後者については国立学校のそれを基準として定めるものとされています。教育条件の整備確立の見地からみて特に前者の教職員定数の問題が大きい。教職員の定数は、学校数に一を乗じて得た数(校長の定数)、学校規模ごとの学級総数に所定の係数を乗じて得た数(教諭等の定数)などの合計数を標準として都道府県ごとに算定されますが、そこで大きな基数となっている学級総数は、同学年の児童、生徒で編制する学級の場合、一学級の児童、生徒数の標準を定められたものであり、学級総数に乗ずる係数も含めて、それらは教育的観点というより、国の予算上の都合からきめられてきたものといわねばなりません。
しかし、このように定められた教職員の定数が各県の給与費のあり方を強く規定しているのです。基準財政収入額が基準財政需要額をこえる都道府県については、従来から国は、実支出額の二分の一ではなく、国庫負担の最高限度を定めてきましたが、地方交付税の交付団体についても政令改正を通じて教職員の実数が定数をこえる都道府県については、定数に対して支出された給与費の二分の一としてきているのです。実績負担主義示なしくずしに改悪され、県レベルでの教職員の増員や給与費の改善に大きな制約がもうけられています。
なお、司書教諭、給食調理員、用務員、警備員など、県費負担教職員以外の市町村職員の給与費は、全額市町村負担です。

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地方教育費のなかで給与費の次に多額なものは施設費です。特に市町村の教育費の場合はその半分近い比重を占めています。施設費とは、学校の建物(校舎、屋内運動揚および寄宿舎)の建築に要する費用のことであり、施設費に関する現行制度は次のようになっています。
教室不足の解消または学校統廃合のための校舎、屋内運動場の新築または増築に要する経費は、市町村と国がそれぞれ二分の一ずつ負担します。この場合の国の経費算定基準は、建物の工事費と事務費にかぎられ、新増築の工事費は学校の必要面積(政令で定める)から保有面積を控除した面積か二平方メートル当たりの建築単価に乗じて算定し、事務費は工事費の百分の一と定められています。
教室不足解消の場合、児童、生徒急増地域については国の負担割合は特例として三分の二になっています。学校統廃合の場合、過疎地域についてはこれも特例として国庫員負担は三分の二になっています。
構造上危険な状態にある建物の改築に要する経費は市町村が三分の二、国が三分の一の割合でそれぞれ負担します。危険度の判定基準は、省令の基準により測定された財力度によりますが、国庫負担の対象となる建物は財力度が文部科学大臣と財務大臣と協議して定める程度に達しないものです。
施設費負担法上のものではないが、その他施設にかかわる経費として次のようなものがあります。災害復旧費(国庫負担率三分の二、災害復旧費負担三条)、給食施設設備費(国庫補助率二分の一、学校給食法、同施行令)、学校建物の維持、修繕費(全額市町村負担、学校五条)。
施設費に関する法制上の主な問題点は、条件整備の基準が、特に義務教育諸学校の場合、設置基準が制定されていないこともあって、建築基準などが不十分な教育財政法の基準に委ねられていることです。その結果、「教育を行なうのに必要な最低限度」の確保も危うくなって、いわゆる自治体の超過負担の問題を引き起こしています。また、過疎地域の学校建築の場合、通常の国庫負担率と差異を設け、統廃合を財政誘導し、遠距離通学問題など非教育的な状況を生みだしていることも軽視できません。
地方教育費に占める比重は大きなものではありませんが、日常の学校での教育活動に必要かつ不可欠な経費として、教材費、設備、備品費、図書費、消耗品費などがあります。
義務教育諸学校の教科用図書は無償であり、それに要する経費は全額国庫負担です。
義務教育費国庫負担法三条は教材に要する経費の二分の一を国が負担するとしているが、理振法に規定する経費を除くとしているだけで、教材に要するどのような経費を国庫負担の対象としているのか、明文の規定を設けていません。しかし、同法の運用状況のなかに現行制度をたしかめることができます。文部科学省の通達によれば、「教材基準」に掲げられた教材と学校図書館の図書が国庫負担金の対象になっていて、理科教育設備整備費補助金、中学校産業教育設備整働費補助金々どの対象とされる設備、教材であっても耐用年数が三年未満のもの、個人用そろばん、計算尺、辞書など保護者負担が相当とされるものなどは対象から除外されています。「教材基準」については学習指導要領との関連で教材がきめられていること、またそこに掲げられた品目の数量や耐用年数が実態に合わないケースが多いことなどが問題点として指摘されています。図書費については一九五八年の政令改正前の学校図書館法施行令の図書基準によるものとされています。
理科教育、産業教育などのための設備費は市町村と国がそれぞれ二分の一ずつ負担します。
耐用年数が三年未満で「教材基準」から除外されている教材用消耗品費(備品購入、修繕費なども含めて)などは全額市町材負担ですが、基準財政需要額の算定基準となる単位費用の算定において、需用費あるいは備品購入費などの区分で一定の積算がなされています。

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