少年法の法制

非行性のある少年に対する国家的ないし公的保護を少年保護とよびますが、法制的には二つの体系に分かれています。その一つは少年刑政体系のものであり、他は児童福祉体系のものです。少年保護の施策として旧刑法下に懲治場制度があり、明治三三年には年少非行児を監獄外で教育保護せんとする感化法が公布されました。その結果、少年保護は旧刑法、監獄則による刑段上の保護体系と感化法による社会事業的保護体系とが並立し、天皇制別段確立が追求されるなかで前者の優位が貫かれました。前者はその後新刑法(明治四〇年)監獄法(明治四一年)旧少年法、・矯正院法(大正一一年)新少年法、少年院法(昭和二三年)犯罪者予防更生法(昭和二四年)へと展開し、後者は少年教護法(昭和八年)、児童福祉法(昭和ニ二年)へと展開しました。この間両体系は相互に影響を与えつつ、調整のための改正を重ねて今日にいたっています。

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感化法の制定は非行児を懲戒の場から解放し、教育の場に迎えることを可能にしたと同時に、「一般の教育さえ行き届かぬのに不良少年の教育なんて」と語る段府のもとで、彼らを公教育から排除することをも意味しました。それはまた児童養護事業における「不良児」の分離処遇を公認したという意味で、少年感化事業を社会事業のなかでも独特の閉ざされた立場におくものでした。他方感化事業推進者であった一部内務省監獄官僚が、監獄の司法省移管(明治三三年)後、感化院の理想を幼年監において実現せんとして失脚させられたように、天皇制刑政は社会事業的保護体系を刑政の補充物としての役割にとどめてきました。こうした教育、福祉、別段の谷間におかれた社会事業的少年保護が、少年保護に独自な開らかれた役割をになうには、戦後児童福祉の出現と、少年法の大転換による少年刑段の出現を待たねばならなりませんでした。新少年法、児童福祉法は児童福祉機関(都道府県知事または児童相談所長によって代表される)に一四歳以下の非行少年の処遇について先議権を与え、かつ一四歳以上の非行少年についても家庭裁判所からの送致を前提に処遇を行う。その処遇は児童福祉法二六条、二七条に規定されているように、児童または保護者に訓戒を加えまたは誓約書を提出させること、児童または保護者を児童福祉司、社会福祉主事または児童委員に指導させること、児童を里親もしくは保護受託者に委託し、または精神薄弱児施設、精神薄弱見通園施設、盲ろうあ児施設、虚弱児施設、肢体不自由児施設、情緒障がい児短期治療施設、養護施設、教護院などに入所させることの三種よりなります。ただし児童の親権者、後見人の意に反してこの措置をとることはできず、強いて必要な場合は家庭裁判所の家事審判法にもとづく承認を得るか、少年法にもとづく決定に従うことになります。また処遇において児童の行動の自由を制限したり、またその自由を背ったりするような強制的措置が必要な場合は、一時保護を除き、家庭裁判所の決定を必要とします。このように、今日の児童福祉法を中心とする少年保護は少年の強制的自由拘束を伴わない保護方法をもって、少年刑政とも連携しつつ、法的には一般児童保護と一体のものとして、開らかれた存在となっています。
少年法は家庭裁判所を少年刑政の中枢機関とすることによって、検察官業務を補強する少年保護から、一般刑政と異なる特質をもつ独自な少年刑政への転換を可能にしました。それは少年法、少年審判規則を中心に、犯罪捜査規範、少年院法、少年院処遇規則、少年鑑別所処遇規則、犯罪者予防更生法などの諸法令のもとで、教育、福祉、労働諸政策等との結合を強め、具体的問題緩和をはかろうとしています。

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