教育奨励法制

すべて国民は、教育を受ける権利の主体であり、ひとしく教育の機会を与えられなければならないものであって、不当に教育上差別されることがあってはならない。しかし、国民が現実におかれている条件いかんで、その教育を受ける権利や教育機会に差別的な状況が生じることもありうるから、これを防止し、教育の機会均等を保障する具体的方策を講じることは、教育を受ける権利の内実の問題です。教育基本法三条二項が「経済的理由によって修学困難な者に対して、奨学の方法を講じなければならない」と定めるように、従来、経済的理由による修学困難者にたいしてこの具体的方策を講じることが重視されてきましたが、ここでは、教育の機会均等の実質的保障のために、広く修学困難者に対して奨学の方法を講じることを教育奨励とよび、その法制を教育奨励法制といいます。

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経済的理由による修学困難者に対する教育奨励については、義務教育段階におけるそれにつき、学校教育法二五条、四〇条が市町村の一般的責務を定めますが、具体的な法制として、まず、「就学困難な児童及び生徒に係る就学奨励についての国の援助に関する法律」をあげなければなりません。本法は、本法にもとづいて市町村が就学奨励措置を講じる場合、国が市町村に対してその経費の一部を補助することを定めたものであり、就学奨励措置の内容は、学用品費、通学費、修学旅行費、校外活動費の支給です。また、学校保健法、学校給食法、日本学校安全会法にも一定の経費の補助か定められています。これらの法令は、地方公共団体等が各種の措置をとった場合、国がその経費の一部を補助することを定めているのみで、子どもや保護者等が各種の援助を請求できると明記しているわけではありません。そのため、各種の就学奨励措置を請求する権利が実定法上認められているといえるかどうか、見解が対立しています。
義務教育以外の教育奨励措置としては、奨学金貸与、給付、授業料減免、寄宿舎の設置、供与等があります。このうち、高校生以上を対象にした奨学金制度として日本育英会法にもとづくそれが重要ですが、同法一条一項は、「優秀ナル学徒」に奨学金の貸与等を行い、「国家有用ノ人材ノ育成」を目的とすると定めており、教育奨励の観点からは問題があります。
「盲学校、聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律」は、障害児学校への「就学の特殊事情にかんがみ」、就学に要する費用を支給することを内容とします。この教育奨励は、経済的貧困を必ずしも要件とせず、「児童又は生徒の就学による保護者等の経済的負担を軽減するため」に必要な費用を支給することを内容としている点に注目しなければなりません。
原因はいろいろありますが、通学条件等によって修学困難な状況が生じることがあります。このような場合の教育奨励もここにおける問題として考える必要があります。適切な通学手段を講じ、あるいは、寄宿舎を設置、利用させることなどがその具体例です。現在、障害児学校の寄宿舎については学校教育法七三条の二に根拠規定がありますが、その他の措置は、財政上の措置となっており、法律上のものとはされていません。今後の検討課題です。

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