障がい者教育

障がい者の生活と権利を守り、発達保障を実現させていくうえで、かかる生存、発達権の内実を形成し、かつその基礎工事ともいうべき、障がい者の発達、学習の権利保障としての障がい者教育は絶対不可欠です。
発達保障に立つ権利としての障がい者教育は、さらに次のような基本的課題を提起しています。
第一に、障がい者教育は、昭和五四年度義務制実施に明らかにみるがごとく、近年その制度的基礎を確立しつつある段階に到達しているにすぎず、第二に、またこの義務制完全実現のためには、従来からの障がい者の教育は、健作者の教育に準ずる特殊教育ではなくて、あくまで憲法、教育基本法、児童憲章の示す普通教育の一環として、民主的主権者の形成をめざして行われなくてはならない。これらの前提としての障がい者観、発達観、教育観の科学的、民主的認識の一層の徹底と、その実践的検証がめざされなければなりません。
第三に、障がい者は、それぞれ教育可能な者は学校、訓練可能な者は教育権と引き換えに施設で保護を、治療可能な者は病院へと、劣等処遇と分類処遇の原則のもとに、教育と福祉(医療)を分断され、貧困で多様な障がい者施策のなかから選択を強いられてきました。しかし、障害者の発達保障にとって、障害と発達と生活実態に応ずる、教育、医療、福祉など諸権利の総合的統一的保障は最も重要視されなければなりません。

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国民の生存権的基本権を規定した憲法二五条は、二項で「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と述べています。憲法二六条は、この二五条を受けて、生存権的基本権のいわば文化的側面として、国民にひとしく教育を受ける権利を保障し、その反面として、国に対しこの教育を受ける権利を実現するための立法その他の措置を講ずべき責務を負わせています。
障がい者教育について、国および都道府県は、教科用図書の購入費、学校給食費、通学または帰省に要する交通費および付添人の付添に要する交通費、学校附設の寄宿舎居住に伴う経費、修学旅行費、学用品の購入費について、その全部または一部を支弁しなければならないと定めた「盲学校、聾学校及び養護学校への就学奨励に関する法律」は、特に障がい児の教育権保障実現のために不可欠な教育奨励法制として定められた、福祉的アプローチであると解されます。盲、聾、養護学校に寄宿舎を設置し、保母をおかなければならないとの規定もこの点にかかわっています。前者については、補助費目を大幅に増加し、段階区分を撤廃するなど、教育におけるこれら福祉的機能の充実をめざすことは、義務教育無償の原則の徹底をはかるとともに、義務教育だけでなく、障害児学校にあってすでに一部実施されています。就学前および後期中等教育段階への教育奨励は国民教育のすべてにおよぶ福祉的機能の必要とその実現可能性を示唆するものです。
一方、児童福祉法では、「精神薄弱児施設は、精神薄弱の児童を入所させて、これを保護するとともに、独立自活に必要な知識技能を与えることを目的とする施設である」と定めていますが、これは、施設の長は、入所中の児童を就学させなければならないと定めた同法四八条に立ちつつ、発達上やむをえず通学が困難な児童、生徒のために設置さるべき施設内学級および施設訪問教育を考慮すること等含めて、福祉サイドにおける教育的機能の必要を明らかにしたものと解されます。
また、心身障がい者対策の総合的推進をはかることを目的とした「心身障がい者対策基本法」は、一〇条で医療、保護等について述べ、一二条で、「国及び地方公共団体は、心身障がい者がその年齢、能力並びに心身障がいの種別及び程度に応じ、充分な教育が受けられるようにするため、教育の内容及び方法の改善及び充実を図る等必要な施策を講じなければならない」と、教育について述べています。しかしここでは、教育は福祉の一分野に限定され、その目的も明らかにされないまま、「心身障がい者は、その有する能力を活用することにより、進んで社公経済活動に参与するように努めなければならない」と述べられており、憲法、教育基本法の教育理念、目的と切断された福祉目的に従属されるという関係になっています。かかる教育と医療、福祉の分断ではなく、児童憲章がさし示す、「すべての児童は、身体が不自由な場合、または精神の機能が不十分な場合に、適切な治療と教育と保護が与えられる」との、相互の独自的機能、分野を重視しつつ、障がい者、国民の発達権保障のための相互関連、結合、統一保障のダイナミックをいかに日常的に高めていくかは、障がい者教育において最も切実に聞かれているといえます。

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