性格づくりと情緒

 情緒というのは、一般的に言うところの感情と考えてもよいでしょう。
 悲しい、くやしい、寂しい、怒り、反抗、恐れ、などというのが、それです。
 こういう情緒は、誰でもみんなもっています。そして、だいたい一歳半から三歳ごろまでに、一応全部出つくすと言われています。
 こういう情緒は、だいたい次のような手順によって出てくるようです。
 (1) 強い欲求がある。
 (2) その欲求を、人が阻止する。
 (3) そうすると、人にむかって出てくる。
 例えば、(1)お母さんに家にいてほしいという欲求があります。(2)お母さんが家にいない(阻止)。(2)お母さんが帰ってくると、そのお母さんに泣いて訴える(悲しさ)。
 (1)おもちゃを全部自分のところに置いておきたい (欲求)。(2)友だちがそれを取る(阻止)。(3)その友だちに怒りをぶつける。といったようなことがそれです。
 第(2)の「人にむかって」という場合、自分という「人」にむかって出てくる場合もあります。(1)安定した生活をしていたいという欲求がある。それに対して、(2)まわりの子どもが騒ぐ(欲求阻止)。(3)恐ろしいという情緒が自分という人をおかしはじめる。といったことがそれです。これは自分をいじめる情緒といえます。

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 今まで述べてきたのは、不快の情緒についてです。実は情緒には、もう一種類、快の情緒があります。
 おもしろい、珍しい、うれしい、きれい、などというのがそれです。
 この快の情緒が起こってくるためには、たしかに不快の情緒と同じように、(1)の強い欲求はありますが、(2)(3)の手順がありません。
 むしろ、自分のもっている欲求が、認められ、励まされて、身も心も一体になって現れるものです。
 この快の情緒というものが現れているかぎり、それほど大きな問題を生ずるものではありません。
 情緒に対する取扱いを誤ると、歪んだ性格の人間になりやすいというのは、多くは、不快の情緒に関係があると考えてよいでしょう。
 ということは、できるだけ認めてあげること、励ましてあげることが、幼い時代の扱いのうえで、もっとも重要なことといえます。
 こういうと、いかにも簡単なことのようですが、長子の方を育てる時には、認める、とか、励ます、ということより、注意をする、とか、たしなめる、とか、叱る、といったことが多くなるものです。
 なぜそうなるかといいますと、ご両親が子どもを育てた経験がない、ということがあげられます。
 おかしなことですが、私たちは、小学校、中学校、高等学校、大学と、ずい分長い期間教育を受けましたが、子どもをどのように育てたらよいかということは、ほとんど教えてもらってはいないのです。
 そして、その経験もないわけですから、何をどのようにしたらよいか、見当もつかないのです。
 一方で、家庭の電化によって、お母さん方の手が余ってきました。昔はつぎつぎに子どもが生まれてきますから、そんなにていねいに子どもを扱ってはおれなかったに違いありません。ところが最近では、一家に平均二人しかいないわけですから、いよいよ手が余ってきます。
 少ない子どもですと、余った力で、理想的に育てようとばか り、両親の方の欲望が先行することになります。
 かくして、どうしてもいらぬ干渉をすることになってしまいます。
 それが口の欲求の阻止を起こしてしまい、不快の情緒ばかり出てくるようになります。そうすると、情緒的に歪んできます。そこでまたよけいに干渉するという繰り返しをすることになります。
 そんなことから、育児は難しい、という言い方が生まれてくることになるようです。
 ところが、よく考えてみると、もともと子どもを育てるということは、そんなに難しいことではないはずです。
 というのは、教育学とか心理学というようなもののなかった大昔から、われわれの祖先は立派に子どもを育ててきたはずですから。
 何が難しくさせているかというと、繰り返すようですが、いらぬ干渉が多すぎるからです。ごく自然な形での母親であり、父親であればよいのに、あさはかな知識や知恵でいじくりまわすから性格のひずみが出てくることになるようです。
 認めてやる、励ましてやるといっても、そのとおりやろうと思っても無駄でしょう。それは嘘になるからです。子どもは、その嘘はすぐに見ぬきます。
 まず、自分の子どもの時代のことを思い出してみることです。思い出せないなら、おじいちゃんやおばあちゃんにあなたの子どもの時代のことを聞いてみることです。
 そうすると、自然に認めてあけくれる親になれるようです。ただし、おじいちゃん、おばあちゃんの話は、多分に潤色されていますから、そのへんは割り引いてください。
 認めるということと、甘やかすということとはちがいます。また認めてばかりいるわけにもゆきません。躾たり、指導したりする面もなくてはならないことはもちろんです。ここで述べたことは、まず認めることを出発点にすべきであるということです。

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