個性的な子

 個性的な子どもというのは、いったいどんな子どものことを言うのでしょうか。
 まず第一に、誰に遠慮もなしに、自分の思ったことを思ったとおり表現し、行動のできる子ども、ということができるでしょう。しかも、そうした行動が誰にも迷惑をかけないし、みんなから認められているはずです。
 もし他人に迷惑をかけたり、ほかの子どもから仲間はずれになっているようなら、それはわがままな子であって個性的な子どもとは言わないに違いありません。
 第二に個性的な子どもというのは、先生とか両親が、あらかじめ予定して設定した型にはまらない子どもであるかもしれません。
 先生や、両親が作りやすい型は、学校の成績が良くて、良い学校へ入って、良い就職をしてくれる子ども、何でも素直に言うことを聞いて、先生や両親の思うとおりの行動をする子ども、というようなものです。
 もし、個性豊かな子どもに育ってほしいと思ったなら、このような型にはめようとしないことです。
 少なくとも個性豊かな子どもを育てようとするならば、ま ず自分の設定している子ども像を薄めておく必要がありそうです。
 もちろん、最低の躾や習慣をつける必要はありますが、先に書きましたように、あなたが考えているのとは違って、必ずしも学校の成績が良くないかもしれませんし、必ずしも一から十まであなたの言うこと全部をきく子ではないかもしれない、という覚悟はしていなければならないでしょう。

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 そういうように考えてきますと、世の中に沢山でているいわゆる、育児書、家庭教育書などというものだけをたよりに、子どもを育てるということは、マイナスになる恐れもあります。
 というのは、そこに書かれている意見というものの多くは、一般論にすぎないからです。例えば、「小学校一年生になったら、自分の部屋の片付けができなくてはなりません」などということが書いてあったとします。
 しかし、そのことは、だいたい平均的な子どもがそうできる、ということを現しているに過ぎないのです。
 平均的な子どもというのは、個性のない平凡な子ども、ということです。
 こういう記事を読んで、そのとおりの子どもにしようとすればするほど、平均的な子どもに近づけることになるはずです。そのことは個性を失わせていることになります。
 もともと、子どもというものは、個性的なものなのです。ところが育児書のたぐいのものを読んで、そのとおりしようとしすぎるから、両親が教育に熱心であればあるほど、没個性的な子どもになってゆくようです。
 子どもというものは、平均的な伸び方をするものではありません。
 ある子どもは、ある時期は読書に夢中になって、算数など見むきもしないという時があるものですし、また別の時期には、読書をしなくなって、ブラモデルにコッてしまうこともあります。そうかと思うと、テレビに夢中になったり、野球に熱を入れる時期、将棋ばかりやっている時期などがあるものです。また別の子は早くから片付けができる子もいれば、なかなかそれのできない子どももいます。片付けができなくても、虫のことについては大人顔まけぐらい詳しくなることもあります。
 絵一つにしても、ある時にはデッサンだけをていねいにやる子どももいますし、形などはどうでもよくて、色のことばかり気になる子どももいます。同じ色でも、できるだけ正確に対象 の色にしようと努力する子もいますし、正確さより、配色のよさに気を配る子どももいるのです。
 それを許して見守っているゆとりがほしいものです。
 日本人には、となり百姓の心情があると言われます。となり百姓というのは、となりが田植えをしているからわが家でも田植えを、と考える、となりが刈り取りをしているからわが家でもやろう、という心理を言います。
 こういう農業をやっているのは日本だけだといいます。
 私たちの祖先は八五%まで農業で生きてきました。だから徹底的にこの、となり百姓の心情が残っているといいます。
 となりでピアノを習わせているからわが家でも習わせよう、となりでは塾へ通わせはしめた、わが子も通わせよう、というのがそれです。
 そのことの効果や意味についてはほとんど考えられてはいません。ただ同じことをやればよいと思っているだけです。
 私たちの心理の奥底に、となり近所と同じことをやることが安全な道であるという気持ちが住んでいます。だから、近所の人たちと違うことをやろうとす ると、何となく不安にかられるものです。
 こういう私たちの心の奥底にある心理を整理しないかぎり、個性的な子どもを育てることはできないはずです。
 なぜなら、まわりの子どもと同じような子どもを育てようというのは没個性的で平凡な子どもを育てようとしていることになるからです。

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