自主性のある子に育てたい

 運動も好きで、寝起きは悪い方ではありませんが、忘れ物が多く、自分の部屋の片付けなどもできません。このような子どもは干渉が過剰になったり、世話をやきすぎるために、どうしても忘れものの多い子どもになるようです。
 このような時、すぐに、言葉だけでなおそうとするようです。
 例えば、「あなたは忘れものが多いね。なぜ、そんなに忘れものが多いの、訳をいいなさい」などというのがそれです。
 考えてみると、こんな無理な言い方はありません。なぜなら、忘れものの理由が言えるぐらいだったら、忘れものなどするはずがないからです。
 つまり、今日、学校へ行ったら、何をするのかという計画性というか、やる気といったものができていないからではないでしょうか。
 後片付けについても同じことがいえるかもしれません。
 それに対して「あなたは、なぜ、片付けができないの」とたしなめてみても、まったく無駄です。なぜなら、片付けができないことの理由など幼い子どもに言えるわけがありません。
 この次に、このおもちゃで、こうして遊ぼうなどという先の見通しだとか、計画性があれば、片付けようとするかもしれませんが、小学生などに、そのような計画性などあるはずがありません。もし、あしたあさっての計画をもって遊ぶ小学生がいたとすれば、それはむしろ異常な子どもと言えましょう。もともと、子どもというものは、それほど計画性のあるものではなくて、その場その場で刹那的に遊んでいるものです。
 そういう意味では、「あなたは、どうして、そんなに計画性がないの」などという言い方もナンセンスといえましょう。
 われわれ大人でも、いつもそれほど計画的な生き方をしているものではありません。

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 わが国には、たくさんの家庭教育に関する本が出ていますが、そういう本によると、七歳ぐらいになったら、自分の部屋ぐらい片付けられるはずである。などという内容が書かれて いることがありますが、どうもそういうことのできる子どももいる、といったように読みとるべきではないかと思われます。
 といいますのも、大勢の子どもについて調査してみますと、七歳ぐらいで、自分の部屋が片付けられるなどという子どもは、それほど多くはないようです。
 もちろん、子どもには個性があって、幼い時代からそれのできる子どももいますし、十三、十四歳になってもできない子どももいます。前者が優れた子どもで、後者が劣悪な子どもともいえません。
 あまり家庭教育書なるものの標準などでいう言葉にまどわされないことです。
 お母さん自身が七歳の時、どれぐらいかたづけができていたか、よく思い出してみてください。それほどできていたわけではないと思います。
 片付けなどしなくてよいといっているのではありません。七、八歳の子どもだったら、「これはどこへ置くの」とか「これはどこへしまっておくことにするの」と聞いてやりながら片付けができる程度でよいのではないかと思います。
 いや、もう少し厳しく片付けをやらせたいと考えられるのでしたら、次のように考えてください。
 われわれ大人が片付けをするというのは、だいたい次の二つの理由によります。
 第一は、周囲の状態を清潔に保ち、美しく保っておきたいという欲望による場合。
 第二には、次に使う時に、改めて探しまわらなくてもすむように整えておきたいという欲望をもっている場合です。
 子どもには第一の場合は、特別な例を除いてまだ無理でしょう。
 第二の場合を利用することです。それには、自分の大切なものを見失ったというつらい経験をしなければ生まれてはきません。お世話をすることをやめて、繰り返しそういう経験をさせてみることです。
 忘れものをさせないようにするためにも、同じ原理が利用できそうです。
 つまり、忘れものをしたために、ひどく不自由で泣くほど困った経験、先生に注意されて、つらい目にあったということがないと、うまくゆかないかもしれません。
 担任の先生と打合せをしておいて、そういう経験をさせる必要がありましょう。
 もう一つの原理はこうです。
 先にも書きましたように、先の見通しや計画性があれば、忘れものはしないに違いありませんが、幼い子どもにそれを望むのは無理です。
 しかし、子どもは、興味をもつことには、強い関心をもつものです。それを刺激してみる方法があります。
 学校から帰った時に、その日の学校生活の話をじっくりと聞くことです。問いつめるような聞き方や、話の腰を析らないようにすることが必要ですが、とにかく面白がったり、珍しがったりしながら聞いて、そして、その次の日の勉強について想像させてみるという方法です。そこから、あす持ってゆくものを思い出させるのです。
 断っておきますが、片付けをするとか忘れものをしないというのは、自主性のごく一部のことに過ぎません。それらのことができたから自主性の豊かな子とは言えませんし、できないから劣っているとも言えません。

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