たくましい子

 たくましい子というのは、いったいどういう子どものことをいっているのでしょうか。おそらく、健康で、エネルギッシュで、少しぐらいの無理にも耐えられる強じんな体力の持ち主であるはずです。
 第二に、少しぐらいの逆境や困難にぶつかっても、何とか解決策を見つけだして、自分一人で解決しようとする気力というか、意志力といったものがそなわっているはずです。
 第三には、人前でやたらに恥ずかしがったり、ミスをおそれて逡巡したりすることがまったくなく、つねに積極的にものごとにかかわってゆこうとする勇気の持ち主であるはずです。
 まず、体力の問題ですが、体力をつけようと、週に一回か二回のスイミングクラブや剣道場や柔道場に通わせたぐらいでたくましさが身につくとは思われません。
 体力をつけるなどということは、そんな生やさしいことでつくとは思われません。こうしたことは、親の気やすめにすぎないようです。
 毎日、汗とほこりにまみれ、生傷のたえまがないといった状態、玄関の戸を開くと同時に、「お腹へった、何かない」と大声をあげて帰ってくるような状態、お母さんが夕ごはんのしたくするのが待ちきれなくて、冷蔵庫をあけて、そこらのものをつまみ食いをしているといった状態が起こらなければ、ほんとうにたくましい体力などはつかないと思われます。
 この程度の運動といいますと、毎日、二、三時間、力いっぱい動きまわるといった運動量が必要です。
 そのくらい運動をしていますと、二番目の気力といったものも同時に養うことができるでしょう。
 あの高校野球の選手たちの姿を見てください。もうとうてい捕球できそうもない飛球に、最後の最後まで、転んでもすべっても飛びつこうとする気力は、われわれに感動を呼びおこさないではおれません。
 それはサッカーにも、バレーボールにも現れています。

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 気力とは、「よし、やってやろう」といった積極的に解決しようとする意志力とか欲望の一種ともいえます。
 こういう気持は、朝起きた時から、服を着せてもらい、忘れものをしないように気を配ってもらい、忘れものをした時には間違いなく届けられる、学校に遅刻しそうになると自家用車で送ってもらえる、といった過保護の家庭の子どもに育ってくるものではないことは明らかなことです。
 このように心の問題ばかりでなく、物質的にも豊かすぎる家庭からは生まれないに違いありません。小づかいは他人よりも多くもらい、欲しがるものはたいてい手に入るといった育てられ方。あるいは、お正月というと、親せきや知人から、何万円ものお年玉をもらったり、小さい時から、ゲームやテレビ、コンピューターなどを持っている状態からは、絶対に気力の充実した子どもは育たないでしょう。
 精神的にも、物質的にもつねに不足した状態で育てられていて、はじめて、解決するための積極的な気持が育つはずです。
 小づかいはほかの子どもより少なめ、ほかの子どもが高価なプラモデルを買っているのを横目で見ながら、じっと我慢をして小づかいを貯めようとする。ほかの人は買ってもらって読む本を、貸本屋で借りて読もうとしたり、図書館を利用しようとする心が気力のある子どもといえそうです。
 忘れものをして廊下に立たされた。この経験を生かして、手帳にメモしようと考える心。もし手帳を買うだけのお金がなければ、紙の裏を利用して、自分にとって使いやすい手帳を作ってみようとする心。そして、自分なりに工夫して作った手帳を、みんなが持っている高価な手帳より価値があるのだと思える心こそが気力を作るのでしょう。
 精神的にも、物質的にもつねに不足している状態を作ることです。
 問題は、その不足の程度です。あまり不足しすぎると盗みがおこったり、ひがんだりするようになっては逆効果です。その程度はその子どもによってみな違います。それを決定するのはお母さんしかいません。
 あまり幼い時代から恥ずかしさといったことを身につけさせないことです。恥ずかしさというのは、一種の社会性の成長とも関係があります。
 つまり、大勢の子どもの前でミスをすることを恐れて、勇気を失った状態です。だから幼い時から、近所の子どもたちと自然に交流させておくことです。そして、つらい目にあったり、困ったことにぶつかったりといった経験をさせることです。こんな時、大人はあまり立ち入らないようにしてください。
 臆病というのは、親の臆病さがそのまま感染することが多いようです。
 お母さんが雷や動物、虫などにおびえてみせることは禁物です。独身時代ならともかく、人の子の親になったら、そういう態度を毛ほども見せないようにしたいものです。
 また、隣近所の奥さん方とつねにフランクに気楽につきあう必要もあるでしょう。
 すぐに苦情を言ったり、交際を断ったりするのは臆病もののやることです。
 また、お客様がこられた時、必要以上に家をかたづけたり、着飾ったり、態度を変えたりするのも子どもの勇気の芽をつみとることになります。
 なぜなら、他人というものには、そんなにカマエたり、とりつくろったりしなければならないのか、ということを教えていることになるからです。

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