協調性のある子

 うちの学区では、日にちを決めて、小学生が廃品回収の奉仕をすることになっています。よその子は忙しく動いているのに、うちの子だけは何もやろうとはしません。そこでやらせようとしたら「ぼくはみんなとするのは嫌いだ」といって動こうとはしません。
 このような場合「ぼくはみんなとするのは嫌いだ」という言葉が、本人の本心を現しているとするなら、それはあまり問題にする必要はないといえます。
 なぜなら、あまり他人といっしょに調子を合わせて何かをするよりは、一人でコツコツ自分の思うままに生きてゆくことも、決して悪いことではないからです。世の中の子どもすべてが、一様に協調性があって、つねに他人と協力して行動をする子どもばかりである必要はありません。ある子どもは、つねにチームワークを大切にし、喜びをわかちあいながら生きる子どもであってよいし、ある子は、自分で計画したことを自分だけの力で仕上げてゆく楽しみ方をしてもいっこうにさしつかえないわけです。一つの個性と言えるでしょう。
 しかし、もし「みんなとするのは嫌いだ」と言っているのは、実は口実であって、ほんとうはみんなといっしょにやりたいのだけれど、どうしてやったらよいのかがわからないというのであれば、問題にしてもよいことのように思えます。
 この場合、大勢の子どもの中に入ると、その勢いにけおされて、手も足も出ないといった臆病さのせいかもしれませんし、あるいは、みんなで協力して仕事をしとげることの喜びを知らないのかもしれません。
 いずれにしても、社会性の成長が十分ではないお子さんなのかもしれません。
 このような場合、お母さんの力が必要だと思います。

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 まず、お母さんが社会性を発揮してみせることです。順序よく書きますと、第一に、学校のPTAなどでまず先生にお願いして、同じ方向から通ってくる子どもで、同じように社会性の不足している子どものお母さんを紹介してもらってください。
 社会性が乏しいというわけで、社会性の旺盛な子どもを相手として選びますと、その子に甘えてしまって、よけいに社会性が育たなくなってしまいます。同質の子どもを選ぶというのがこういう場合のコツです。同質の子どもですと、そのお母さんも同様のことで悩んでいるから、その点でも好都合です。
 第二に、お母さん同士がおつきあいをしてください。お茶を飲みにいったり、来てもらったり、いわゆる昔の井戸端会議です。
 「私は社交性がありま せんので、そんなことはできません」というのなら子どもに社会性をつけることはあきらめるべきです。なぜなら、ご自分は社会生活をしないでいて、子どもにだけ豊かな社会性をつけようなどというのは虫がよすぎるからです。
 第三は、お母さんどうしが親密になったら、子どもを利用してください。
 例えば、「お茶が入ったから飲みにいらっしゃい。と言って来てよ」とか、「田舎から送ってきたものです。おすそわけです。と言って渡してきてよ」といったのがそれです。
 そういう往復をやらせていますと、その二人はかなり親密になるはずです。
 第四は、ある程度親しくなったら、土曜日などを選んで、いっしょに夕食を食べるなどということ。あるいは、いっしょに風呂に入るとか、いっしょのふとんで寝るなどということを実行してみてください。
 いわゆる「同じ釜のメシを食わせる」わけです。こういう関係がいちばん親密感を育ててくれます。
 これをやるためにも、まず親同士が親密でないと長続きがしません。お互いが恐縮しあっているのでは効果はないからです。
 第五には、夏休みなどに、会社の保養所などを借りて、家族で泊りにゆくような場合も、相手の子どももいっしょにつれてゆくようにします。多少の費用がかかるかもしれませんが、あなたのお子さんの社会性を育てるための出費だと考えれば安いものではありませんか。
 こういうことをやれば、必然的に同じ釜のメシを食うことになります。
 二人の間が親しくなりますと、そこで自然に社会性のテクニックといったものを習得しますから、今まで中途半端な形であいまいな結びつきをしていた第三、第四の子どもとも、すぐに結びつきを強くするようになるものです。
 社会性を育てるのには、スポーツなども効果があると言われていますが、スポーツというとすぐに野球とかサッカーといったチームワークを必要とするスポーツを考えてしまいますが、社会性の乏しい子どもをこのようなスポーツに向けることは無理がありますし、失敗する率が高いようです。
 野球を例にとりましょう。バッターの打った球がショートの方へ転がったとします。ピッチャーもセカンドもサードもいっしょになって、その打球を追っているのはチームワークとはいいません。
 サードはショートの裏へまわってカバーをし、ファーストはファーストベースの方へ走り、セカンドはそれをカバーに行き、ピッチャーはあいているセカンドベースを守りに走るといったまったく別々の動きをする時に、はじめてチームワークがとれるのです。これはかなり高度の社会性が身についていないとできない行動です。
 社会性の乏しい子どもはこうした行動ができませんから、たちまち劣等感をもってしまって、ますます運動がきらいになってしまいます。
 社会性の乏しい子どもにはまず、一人でもできるスポーツを始めさせるべきです。山登り、スケート、スキー、馬術などがそれです。
 これをやっているうちに同好の子どもと親しくなります。そして、どこかで協力しなければならないことが生じてきます。そういう順序で社会性を育てるべきでしょう。

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