内弁慶の子

 家では兄と張り合ってよくしゃべりますが、学校では先生とも友だちともまったくしゃべっていないようです。担任の先生は熱心な方でいろいろ指導してくださっているのですが、一向によくなりません。
 このような子どもの場合、熱心な先生と熱心な母親とが、問題を悪化させているものです。
 たいていは、「先生に何かたずねられたら、ハイッと大きな声で話をするのよ」などと言葉だけでなおそうとするから、よけいに、しゃべらないということを意識させてしまうのです。
 夜、寝られない時に寝ようと考えれば、考えるほど寝られなくなるのと同じことです。
 また、熱心な先生は、クラスの中で何とかしゃべらせようと努力します。
 例えば、「ハイと言ってごらん」とか「なぜ、しゃべれないの」などとやります。
 こういうことを繰り返していると「あの子はしゃべらないのだ」ということを、クラスの子ども全部が知ってしまいます。また、それを本人が意識してしまいます。
 「みんなは、ぼくがしゃべらない子だということを知っている」と考えはじめると、よけいしゃべらなくなってしまいます。
 なぜなら、突然しゃべりはじめたら、全員が、自分を注目するに違いないということを知っ てしまうからです。
 おそらく、始めは幼稚園時代か小学校の低学年時代に、しばらくしゃべらないことが続いたに違いありません。
 ところが、熱心な先生がいて、それをいち早く見つけ、何とかしゃべらせようとして、このようなことをやり、さらに母親に連絡したために、お母さんがこれは大変だとばかり、口先だけでしゃべらせようとしすぎたためにこうなったのだと思います。
 基本的には、放っておくことです。まわりの大人を見まわしてみてください。無口の人はいます。それは一つの個性であって、けっしてとがむべきことではありません。世の中には、よくしゃべる人もいていいと思いますが、慎重で、よくものごとを考えてからしゃべるといった無口の人もいていいわけです。
 大人になっても、必要なことをまったくしゃべらないという人はいません。どこかで治っているのです。

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 気になるようでしたら、次のようなことを実行してごらんになることをおすすめします。
 第一に、このお子さんは、もともとが社会性の不足している点があったのではないかと思います。おこりっぽい子とは、一見、対照的な子どもに見えますが、社会性の未熟なためにとまどってしまって、積極的に相手を攻撃して優位に立とうとするのが、おこりっぽい子になり、引っこんでしまったのがお宅のお子さんなのです。だから原理は同じだといえます。
 もう一つの方法は、まず担任の先生と親しくさせる方法です。
 あらかじめ先生と連絡しておいて、先生に手紙を持って行かせることにします。はじめは白紙でもよいのです。最初は渡すだけにします。いそいで返事をもらってこさせるようなことをすると失敗します。
 少しずつやらせるのがコツです。
 これが何のとどこおりもなく実行できるようになったら、次に、先生から、口答で、イエス・ノーの返事だけをもらってくるような内容にすること。それも、はじめはイエスの返事のもらえるような内容がよいと思います。
 先生の応答を、催促しないでも、お母さんに伝えられるようになったら、今度は、先生に返事を(書いたものを)もらってくるという段階になります。先生にご迷惑をかけないように、白紙でもよいことにします。もらってきて、お母さんに渡せたら褒めてあげることはもちろんです。
 その次の段階では、口答で返事をもらってくることにします。それもできるだけ簡単なものにします。
 例えば、「先生はあした何時に登校されますか」というような手紙にすれば、「八時半です」という答で十分です。
 これがスムーズにゆくようになったら、言葉で簡単な伝言を頼むのです。
 こうして、先生と親しくなれば、自然にロをきくようになるものです。
 もし、学級の中に、前に書いたような雰囲気、つまり、クラスの子ども全員が、あの子はしゃべらないということを考えているようだったら、中学校へ進学する時に、そうした子どもが一人も行かないような私立中学校へやればしゃべるようになるはずです。
 そうするとおしゃべりでしょうがないというほど、おしゃべりになるものです。
 しかし、あまりおすすめできる方法ではありません。できるなら、前の方法をとりながら、できるだけ「しゃべらない」ということにツベコベ言わないでおくことをおすすめします。

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