泣き虫の子

 同じ泣き虫といっても、さまざまなものがあります。もちろん便宜的な分け方で、それぞれが重なっているものですが、一応分類して解説してみましょう。
 第一にありますのは甘えの泣きです。何でも、大人に頼ろうとし、大人にすがろうとする泣き方です。こういう泣き方をする子どもに、「泣くことをやめなさい」と泣くことだけに注目しても無駄です。
 こうした子どもには甘えそのものを治してやる必要があります。
 第二には、欲求としての泣き虫というのがあります。すでに立派に言葉で欲求することができるのに、何でも泣くことによって自分の欲求を満たそうとするやり方です。大人に頼るという意味では、一種の甘えともいえますから、第一の場合の扱いも必要なことです。
 しかし、こうした泣くという欲求の仕方に応じてしまうと、だんだん言葉で欲求しなくなり、言葉の成長に問題が生ずる恐れもありますから、とくに気をつける必要があります。
 「泣き虫で困る」と言いながら、実は泣くとその要求に応じてしまっている例が少なくありません。
 また、ふだんは子どもの言うことをあまり聞いてやろうとせず、泣くとあわてて応じてしまうという親も少なくありません。
 本人が泣いているときには、できるだけ知らん顔をしていることです。ややおさまった時に、肩の一つもたたいて「どうして泣いたの、言ってごらん」と言ってやるとよいでしょう。
 聞いた時に、しやくりあげたり、再び泣き出すような時は、その聞くタイミングが早すぎたわけですから、叱らないでもう一度やりなおすことです。

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 そのかわり、本人が言葉で言えた時には、できるだけその欲求をかなえてあげることです。
 それから、ふだんの生活の中で本人が言葉でしやべり始めたら、できるだけゆっくりあいづちを打ったり、面白がったりして聞いてあげてください。
 ふだんこのような応じかたが十分でないから、泣くという非常手段に訴えやすくなりますし、泣いた時に応じてやるから、泣くことが万能語になってしまうのです。
 第三番目には、悲しみ、寂し さ、恐れ、困惑の泣きです。
 学校から帰った時にお母さんがいなかったために泣く、デパートで迷子になってしまって寂しくて泣く、といった泣き方がそれです。
 これは、幼い子どもであれば当然のことですから、十分になぐさめてやる必要があることはもちろんです。
 また、そうした悲しさや寂しさを味わわせないようにしておくことも必要でしょう。例えば、家をあける時には、玄関のところに本人への手紙を書いておいておくとか、迷い子になった時にはどうすればよいかといったことを、あらかじめ教えておくのがよいでしょう。
 小学生ぐらいになって、下校した時に、ちょっとお母さんがいないとか、買い物で迷子になった程度で激しく泣くようですと、それは甘えの一種とも考えられますので、まず甘えを治しておく必要があることはもちろんです。
 犬にほえられて泣くのは、恐れからくる泣き方です。びっくりしてしまって泣いたのでしょう。こういうお子さんには、ふだんから犬になれさせるとか、ほえられたらどうしたらよいかを教えておいてください。
 学校などで先生の指示がよくわからなくて、何をどうしたらよいのかわからなくなって、すぐに泣き出すという子どももいます。
 これは一種の甘えかもしれません。
 社会性が未成熟なのかもしれません。つまり、先生と一対一ならよく聞きとれるのに、先生がクラスの子どもに話している場合に聞きもらすというのは、社会性が未熟と考えてよいと思います。
 また、うっかりしていて先生の指示がよく理解できなかったというような場合もあり得ると思いますが、そんな時には「隣の子にそっと聞いてごらん」といっておくことです。大人には何でもないことのようですが、子どもはこんな簡単なことも思いつかず、ウロウロと困ってしまう子もいるものです。
 第四番目は、共感したためにおこってくる泣き方です。
 つまりほかの子どもが泣き出すと、自分もつられて泣いてしまうというのがそれです。こういうことは大人にもあります。テレビドラマに感動して泣く、他人の不幸に同情して泣くというのがそれです。これは、将来、人に愛情をもったり、人を尊敬したり、人を信頼したりする心にも結びついてゆくものですから、大切に育ててよいことだと思います。
 泣き虫のお子さんは、その芽が出てきたところではないかと思います。だから放っておいてもよいと思いますが、ただその現れ方がちょっとおさない感じもしますから、経験を豊かにして、社会性や情緒の成熟をはかってください。

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