身体障害者の就業、保育差別を打破するには

障害児のように不幸な子どもたちにこそ、手厚い社会的保護が必要なはずなのに、現実には、政府をはじめ地方自治体の多くも、これをやっかい者のように扱ってきました。そのために、行政の面における障害児に対する差別は、広く来就学児の保育から義務教育、高等教育にまで及んでいます。近年、福祉政策の重視が叫ばれるようになり、多くの点で改善がはかられていますが、なお、身障児の前にある行政の壁は冷たく厚いと言わなければなりません。
 児童福祉法は、「児童はひとしくその生活を保障され、愛護されなければならない」との観点から、国々都道府県に対し、精神薄弱児施設、盲ろうあ児施設、肢体不自由児施設などの設置を義務づけています。
 ですから、本来国や地方公共団体の責任において完備すべきこれらの施設の「人的、物的体制が充分でない」ことを理由に、いったん入園させた障害児の保育措置を解除するというのは、まったく本末を転倒しています。これは明白に児童福祉法に違反するものと言うべきです。

スポンサーリンク

最近、批判の強まっている就学猶予、免除制度の根拠になっているのは、学校教育法とそれにもとづく政府の通達です。同法第二三条は、「病弱、発育不完全その他のやむを得ない事由のため、就学困難と認められる者の保護者に対しては、市町村の教育委員会は、監督庁の定める規程により、義務を猶予又は免除することができる」と規定し、これにもとづいて、文部省は、昭和三二年に「精神薄弱の学齢児童生徒に関する就学について」と題する通達をもって、学校教育に耐えられないと認められる精薄児については就学を猶予、免除する旨指示しました。また、同じ昭和三二年、厚生省は「精神薄弱児通園施設に関する事項」と題する通達をもって、重度精神薄弱児収容施設に入所させるのは義務教育を猶予、免除された児童に限る旨指示しています。
 この結果、重度精神薄弱児施設に入るうと言えば、まず就学猶予または免除頭を出さねばならず、しかも施設の収容能力には限界があって入所できないことが多い、という状態が現出しました。また、精薄児施設、盲ろうあ施設、肢体不自由児施設等に入所できないたくさんの子どもだらけ、ただ形だけ通常の学校に通うか、就学猶予または免除願を出して家の中に閉じこもるか、いずれにせよ、事実上、その能力に応じた教育を受ける機会を育われてきました。
 憲法は「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」と明記していますが、身体障害児といえども国民であることに変わりはありませんから、当然「教育を受ける権利」を享有しているのです。
 この憲法の趣旨をさらに明権にしたのが教育基本法第三条で、その第一項は「すべて国民は、ひとしく、その能力に応ずる教育を受ける機会を与えられなければならないものであって、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない」と規定しています。ここで人種と列挙されているのは、あくまでも例示的に差別の代表的なものを列挙しただけであり、不合理な差別のすべてが本条によって禁止されていると解すべきです。
 こうみてきますと、就学猶予、免除制度がこの精神に背反していることは明白です。高校、大学への入学差別についてもまったく同じことが言えるでしょう。
身障児であるというだけで公立保育所への入所を拒否されたり、いったん入所を認められながら措置解除となったような場合には、その処分が福祉事務所長や市町村長によりなされたときは都道府県知事に審査請求を行なうことができます。審査請求に対する都道府県知事の裁決に不服があるときは、厚生労働大臣に再審査請求を行なうことができます。
 就学の猶予、免除は、一応、保護者から願い出たときにこれを許可する建前になっていますから、行政当局からどのようにすすめられても、就学猶予、免除の願書を出さず、あくまでも、学校その他の教育施設、もしくは児童福祉施設において教育の機会を保障するよう要求しつづけることが大切です。以前は、重度精神薄弱児施設等に入るうとするときは、就学猶予、免除の措置を受けなければならなかったので、やむを得ずその手続をとらねばなりませんでしたが、当時の厚生大臣は「厚生省の福祉施設入所児童は就学猶予、免除者に限るという通達は、文部省と相談し、撒回したい」と答え、冷たい壁の一角がくずれました。
 それでもなお、市(区)町村の教育委員会が就学を認めないときは、行政不服審査会による不服申立てや行政訴訟で争う方法も考えられますが、国家賠償決により当該の地方公共団体を相手どって損害賠償を請求するのも一つの方法です。

PTAによる半強制的な学校寄付集めを止めさせるには/ 身体障害者の就業、保育差別を打破するには/ 保育所の不足でなかなか保育所に入れないとき/ 子ども達に公共の遊び場を与えたいときは/

       copyrght(c).子育てと育児.all rights reserved

スポンサーリンク