野球に熱中する子

 うちの小学校六年生になる男の子は、野球に熱中し、毎日学校から帰るとグローブを持ってすぐ飛び出していき、暗くなるまで帰ってきません。勉強のほうがおろそかになりはしないかと心配です。このままさせておいてよいものでしようか。
 野球に熱中しているとか、結構なことではないかと言いたくなります。何時間もテレビの前でダラダラと時間を過ごしている子どもより、はるかに健康な生活をしているのではないかと思います。
 もともと、子どもというものは、大人とくらべるとはるかに活力に富み、学校の休みの時間や体操の時間だけでは満足できないはずです。
 これは野球に限らず、サッカー、バレーボールなどというスポーツにも言えることですが、それらのスポーツはただ体力を養うばかりでなく、さまざまな貴重な体験をさせてくれます。
 まず、チームワークを通じて高い社会性を養ってくれます。
 だいたい、私達は、四年生ぐらいになって野球ができるかできないかによって、その子どもの社会性の成熟度を知ることができます。
 小学校の一、二年生に野球をやらせたとします。この年令だと、バッターが球を打つと、そのコース上のショートばかりでなく、サードもセカンドも、いや、ファーストやピッチャーまでもがその打球を追いかけ始めます。
 これでは野球にはならないわけです。ところが同じ子どもでも、四、五年生になって野球がわかりかけると、捕球することはショートにまかせ、サードはそれをカバーし、ファーストはファーストベースヘ、キャッチャーはそれをカバーするために走り、セカンドはセカンドベースヘ、ピッチャーはサードベースヘかけこみます。
 一人一人の動きは、まったく違った任務を果たすために、違った動きをします。打球がセカンド方向へ転がった場合はまた、まったく違いますし、ランナーがいる場合、いない場合とでもまた違います。
 これが、ほんとうのチームワークと言われるものです。

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 男女同権を主張して、夫婦が交代で料理から育児、掃除にいたるまで同じことを同じようにやるべきだと考えている人は、男女の質の差や役割の違いを無視しているわけで、一、二年生の野球と同じだと言えましょう。能力の差や個性の違いを無視して、平等を叫んでいる大人も同じことでしょう。
 つまり、高度の社会性が成熟していないと見てよいように思います。
 こんな大切なことを体験的に教えてくれるのが、野球、サッカー、バレーボールなどのスポーツなのです。
 もしピッチャーが、「オレは、毎回、毎回、力いっぱいの球を投げなければならない。ライトはさっきからまったく球が飛んでゆかない。だから、まったく遊んでいるのと同じだ。不公平ではないか。これは人類平等の原則に反する」といい出したり、「月、水、金はオレが投げるから、火、本、土はお前が投げるべきだ。投・右同権」などと言い出したら野球にはなりません。
 また、そうしたスポーツは、ルールというものを体験的に教えてくれます。しかも、そのルールの中で、ギリギリのところまでがんばることも学びます。
 さらに、とかく自分や自分の家族だけが得すればよい、といったエゴイズムが旺盛な現代社会の中で、つねに自分をチームの勝利のために極限まで使おうとする心は、こうしたスポーツでしか育てることはできないように思います。
 甲子園の高校野球の中に、私達が清々しさを感じるのは、こうしたことに感動するからではないでしょうか。
 何も、全部の子どもに野球選手になれとは言いません。しかし、少なくとも、体も心も旺盛に育ちつつある少年少女時代には、こうしたことは体験的に学ばせたいものです。
 また、こういうスポーツをやった子どもは、勝負に強いと言われています。
 算数で悪い点をとった時、先生から「怠け者め」と叱られると、たいていの子どもはクシュンとしおたれてしまいます。
 ところが、野球で捕球をしくじった時、「へたくそめっ」とどなられても「もう一本ノックをお願いします」とさらにやる気を起こします。これが勝負に強くなる元です。
 だから、野球はできるだけやらしてやってほしいと思います。
 かといって、ご両親の心配もわからぬわけではありません。
 野球ばかりやっていると、勉 強の方がおろそかになって、入学試験その他でおくれをとるような子どもになるのではないか、そういう懸念がつねにつきまとうに違いありません。
 問題は、この二つのことをどう調和させてゆくかということでしょう。
 まず第一に指導しておきたいのは、頭の切りかえを明確にする習慣をつけることです。
 それには、親の方でもそうした模範を示してやることです。生活の中にケジメをつけることによって、それを示してやることです。
 また、時間を有効に使う訓練をすることです。遊ぶでもなく、勉強するでもないといった中途半端な時間をなくすことです。
 さらに、集中力をつけることも、もっと大切なことかもしれません。

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