友だちのまねばかりする

 満三歳の長女ですが、友だちの中でも特に親しい子のまねばかりするので非常に困っています。洋服、持ち物、おやつなど、何から何までまねをします。うちの子は、その子のことをずいぶん尊敬しているようですが、このまま、まねをさせておいてよいのでしようか。
 子どもが赤ちゃんから次第に成長していく姿をみてみますと、最初は、なんでもまねから始まっていることに気がつくと思います。子ども時代は、遊びと模倣の時代だという学者すらいます。
 いちばんわかりやすいのは、言葉の学習だと思います。赤ちゃんがアーアーとかブーブーとなん語を話すようになってきますと、お母さんは、赤ちゃんに一生懸命話しかけます。その行為の中には、まねをして同じように言って欲しいという気持ちがあります。赤ちゃんは、話しかけられ、声を出した時のお母さんの反応をみながら、言葉の意味に気づき、やがて積極的にまねをするようになっていきます。そして、少しずつ言葉を覚えていくのです。それから、ごはんを食べる時の食べ方やおふろに入って休を洗うといった生活技術やマナー、ボールを投げたり積み木を積んだりする遊び方や遊びのルール、はさみで紙を切ったりのりで貼ったりセロテープを使ったりという道具の使い方もみんな最初は、人から教えられたり、他の大人や、仲間のやっていることをみながら覚え身につけていくものなのです。お母さんごっこやお店屋さんごっこ、学校ごっこといったごっこ遊びも、目でみたり、触れたりしてきた日常生活のさまざまなようすをまねしながら遊んでいる姿です。子どもたちは、そこで、家族の生活の仕方や、役割、社会のしくみ、適応の仕方などを、ごっこ遊びの中で再現しながら自己学習しているのです。
 まだまだあると思います。子どもは、じつにさまざまなことを、模倣することによって学習していきます。ですから、友だちのまねをしている子どもは、まねをすることで新しい学習を始めたと考えてよいのです。

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 園に入った子どもが、いつも隣の友だちの絵をまねして、同じものしか書かないと心配しているお母さんがいました。形から色までそっくり同じで、ほんとうにひとりの子どもが同じ絵を二枚書いたと思えるほどでした。しかし、子どもに注意しないで、好きなようにさせているうちに、いつのまにか違う絵を書くようになってきました。入園するまでは、それほど絵を書くことが好きではなかったのですが、友だちの書く絵に刺激されて書いてみようという気持ち になったのです。けれども、最初はどういうふうに書いてよいかわからなかったので、隣の子のまねをしていたのです。やがてその子どもは、色彩豊かな、ユニークな絵を書くようになったのです。
 あなたが、なにか新しい場面に出会った時のことを考えてみてください。何も手がかりがないとしたら、身近な人のまねをするのではありませんか。例えば、初めて教師になった人は、むかし教わった先生や周囲にいる同僚のまねをすることから出発するのがふつうです。まねをしているうちに、次第に自分なりにどうすればよいかということがわかってきます。まねをすることは、自分の立場をつくる手始めになるのです。まねをするのは、自主性がないからではありません。まねをする相手が、その子どもにとって、ちょうどよいお手本になっているのです。お手本をなぞっていく過程で、自分らしい工夫が生まれ、興味が深まっていくのだと考えて欲しいと思います。
 子どもは、誰かが高いところからピョンと飛び降りることができると、ぼくも、わたしもと、つぎつぎにまねをする子があらわれてくるものです。ときには、クラス全体がこの遊びに夢中になってしまうことすらあります。また、少し変だなとたとえ思っても、周囲がみんなそうだといえば、理屈にあわなくてもしり馬に乗り、同調してしまうこともあります。子どもは、同調行動をとおして、親との関係では得られない気安さと楽しさを昧わっているのです。友だちとの付き合いの中でしか得られない生活は、子どもをずいぶん解放的にするので、そこから自由な試みが生まれてくる可能性が予測できます。
 問題になってくるのは、まねをすることではなく、いつまでもまねをしている子どもの場合です。そういう子どもは、自分に自信がないのかもしれません。反抗期に反抗もせず、親のいいなりになってきたおとなしい子は、大きくなっても、周囲の状況と闘いながら意欲的に生き、自分の世界を創りあげていく者にはなれません。身を保っていくだけの人間になってしまいます。独立心が育ってこなかったのかもしれません。独立心は、自分で新しいなにかを発見したり、作り出していきたいという気持ちのあらわれです。やる気です。模倣を脱却して、自分なりになにかを作ろうとする力にもなっていくものなのです。いずれにしろ、大人の態度を反省してみる必要があるかもしれません。
 関連した問題では、いたずらや、乱暴の激しい子どもがいると、まねをすると困るからといって、遊ばせないようにするお母さんがいます。そもそも悪いことと大人がいっていることが、子どもの成長にとって本当に悪いことなのかどうか、そのへんも吟味しなければならないことですが、仮にそうだとしても、それは、はしかのようなものです。周囲の大人が、毎日の生活の中で望ましい生活のしかたを実践していれば、必ず子どもは、悪いことがつまらなくなるときがきます。その判断力は、子ども自身にあることを信じて欲しいと思います。
 まねをすることを絶対に禁止しなければならないことももちろんあります。例えば、足の悪い人の歩き方や、相手がいやがっているのにしつこく言葉をまねたり、動作をまねしたりするといったことです。これらのことは無条件の禁止事項でしょう。

友だちの選び方/ 友だちにいじめられる/ 友だちをいじめる/ 友だちとすぐケンカになる/ 仲間外れになる/ 友だちに嫌われる/ 友だちをえり好みする/ 友だちのまねばかりする/ 友だちの言いなりになる/ 友だちの悪口を言う/ おせっかいやき/ 親の気に入らない友だちとつき合う/ 気に入らないとすぐ噛み付く/ ボスになる/ 異性の友だちとだけ遊ぶ/ 友だちができない/

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